メインコンテンツへスキップ
見出し画像

三重・ルーブル彫刻美術館|ツッコミどころ満載!黒川紀章設計、ルーヴル唯一の姉妹館は、バブリーな昭和の世界

    【#375、約5,600文字、写真約115枚】
    ルーヴル美術館(フランス)の姉妹館である、三⚫︎重⚫︎県⚫︎のル⚫︎ー⚫︎ブ⚫︎ル⚫︎彫刻美術館に初めて行きました。その感想・レビューを書きます。

    ▶︎ 結論

    特殊な美術館だったため、訪問する価値はあると思いました。それは主に、1)ルーヴル美術館唯一の姉妹館!、2)ルーヴルなどにある彫刻から直接型を取った彫刻が1,300点!、3)設計は黒川紀章、4)大観音寺も含めてツッコミどころが満載だったことによります。昭和の香り漂う、バブリーで場末感のある楽しいスポットでした。三重県旅行の際はオススメです。

    留意点は以下です。
    ・学びはほぼない
    ・時間に余裕がなければ、大観音寺の訪問は不要
    ・電車は1時間に約1本、帰りの時間は要確認

    おすすめ度:★★★☆☆
    会話できる度:★★★★☆
    混み具合:★☆☆☆☆
    場所:ルーブル彫刻美術館
    休館日:年中無休
    開館時間:午前9:30~午後5:00
    住所:三重県津市白山町佐田東谷1957
    アクセス:榊原温泉口駅から徒歩約5分
    入場料(一般):1,500円(大観音寺とセット:2,000円)
    事前予約:ー
    所要時間:大観音寺とセットで約2時間
    撮影:すべて可能
    URL:こちら

    ▶︎ 訪問のきっかけ

    画像
    怪しい雰囲気が漂う

    三重県で1人アート旅行を企画した時、県内の主な美術館を検索しました。その中で、ルーブル彫刻美術館という怪しい名前を発見。興味本位で訪問してみました。

    ▶︎ アクセス

    画像

    ルーブル彫刻美術館へは、榊原温泉口駅から徒歩約5分。津駅からは、伊勢中川駅での乗り換えも含めて約50分です。

    画像
    画像

    駅から出た瞬間、めっちゃのどか。本当にここに「ルーヴル」があるのか?ちょっと心配になりました。

    画像
    画像
    激安料金
    画像
    それっぽいものが見えてきた
    画像
    お寺が隣接…?

    ▶︎ ルーブル彫刻美術館とは?

    画像

    古代から近代までの作品1,300点すべてがパリ・ルーブル美術館から日本へ運ばれ、展示されているのですから、まさにパリ・ルーブル美術館の彫刻展示室がそっくりそのまま日本へ移動したようなものです。(…)門外不出だった彫刻美術の美しさはきっと多くの日本の人々の心を魅了するに違いないと確信いたしております。

    ルーヴル美術館・フランス博物館協会 会長
    ピエール・コニャム

    Q. 誰がルーブル彫刻美術館をつくった?

    画像
    美術館はお寺の境内にある

    ルーブル彫刻美術館の創立者で初代館長は、竹川勇次郎(1998年、68歳没)。彼は、大観音寺の住職で、真言宗の大僧正でした。

    画像

    HPにも「ルーブル彫刻美術館の運営・管理は同じ敷地内にある真言宗別格本山 大観音寺が行っています」と記載があります。

    Q. なぜルーブル彫刻美術館をつくった?

    画像

    竹川勇次郎は昭和40年代に渡仏した時、ミロのヴィーナスを目撃、その荘厳さに感動しました。当時は高度成長期、1ドル360円の時代で、実際にルーヴルに行ける人はごく一部。日本でも作品を公開したいという志からプロジェクトが始まりました。

    「彫刻」に的を絞った理由は、絵画は複製が難しい一方、彫刻なら「型取りをすれば全て同じものを見せられる」と思ったかららしいです。

    Q. なぜルーヴルと提携できた?

    画像

    彼はルーヴルと交渉するも、なかなかうまくいかず。17回目の交渉で、ちょうど新しくルーヴルの館長に就いたユベール・ランデは、親日家であったことに加え、竹川の熱意に心を打たれたため、姉妹館の開設許可をGET。そして、竹川の私財を使い、1987年に開館しました(参考)。

    画像

    なお、ルーブル彫刻美術館はルーヴル美術館の「姉妹館」であって「分館」ではありません。分館は「ルーヴル美術館ランス別館(フランス)」「ルーヴル・アブダビ(UAE)」の2つです。

    Q. コレクションの特徴は?

    画像

    コレクションは、ルーヴル美術館 美術部長ド・シャロンの陣頭指揮のもと、フランスで作製された1,300点の復刻作品!それらは、実物から直接型取りしています(ルーヴル史上初!)。大きさや傷まで実物と同じです。

    画像

    なお作品群には、ルーヴル美術館以外にも、大英博物館、メトロポリタン美術館の作品も含まれています。

    Q. どうやって資金を集めたの?

    画像

    美術館は、総工費で数十億円と言われています。その主な出所は、宗教法人 大観音寺の収益や、個人などからの寄付です(参考)。

    宗教法人は儲かるのでしょうか。宗教活動に関する収益の法人税・固定資産税・所得税・相続税などはすべてゼロ。さすがに、ルーブル彫刻美術館は宗教活動ではないため、そこに伴う税金は払っているのでしょうか。

    とにかく、美術館、お寺ともに「バブリー」です。大観音寺には、高さ33メートルの「純金大観音」もあります(1982年建立)。

    Q. 設計は黒川紀章ってホンマ…?

    画像

    建物の設計は黒川紀章!失礼ながら「ほんまかいな?」と思ってしまいました。そもそも、ニケ、ヴィーナス、自由の女神が横並びしたゲテモノっぽさからは、センスの高さを感じませんでした。

    黒川紀章建築都市設計事務所のHPにある「PROJECT」にも記載がありませんし、Wikipediaの「主な作品」にも掲載されていません。

    画像
    裏にも例の3人

    不思議なのは、建築家イオ・ミン・ペイの設計によるルーヴル美術館のガラスのピラミッド(1989年)よりも、ルーブル彫刻美術館の開業が早いこと(1987年)。ペイの公開デザイン案を見た上で、それを三重県でも引用したようです。

    また、ルーヴル美術館から「姉妹館をつくってもええよ!」と言われ、ルーブル彫刻美術館が開館するまで、375日しかたっていないことも不思議です。

    画像
    たった1年で完成!(画像引用)

    建築家を探し、ルーヴルでどの作品のレプリカをつくるのか決め、設計図を書き、建築資材や建築業者を手当てし、各地でマーケティングも打って…と、どう考えても1年では実現できないウルトラCだと思いました。

    なお、大観音寺のHPには「黒川紀章設計事務所監修による大観音寺造営工事着工(1981年)」としっかり記載があります。ルーブル彫刻美術館の設計は副次的なもので、大観音寺の設計が主だったようです。

    画像
    当時の完成予想図に美術館はない(画像引用)

    Q. 入館料はナンボ?

    画像

    ルーブル彫刻美術館の入場料は1,500円。これは、開館当時の1987年と同じ価格だそうです。今の価値観でも「ちょっと高い」と思いましたが、当時の物価では「めっちゃ高い」と思われたのではないでしょうか。

    それにもかかわらず、開業からたった112日で入館者10万人(=1日892人!)を達成したそうです(参照)。さすが、世はまさにバブル時代!

    Q. 館内は撮影できる?

    画像

    館内では、すべて撮影可能。SNS投稿特典もあるらしいです(参考)。それに加え、写生や三脚を立てての写真撮影も可能とのこと。さすが、本場ルーヴルを姉妹館にしているだけあります。しかも、作品は触ってもOKらしいです(参考)。

    画像
    開館当時は撮影禁止だったみたい
    画像
    画像
    いざ、館内へ
    画像
    art cruise gallery(虎ノ門)のフライヤーがこんなところにも
    画像
    『びじゅチューン!』が来たらしい

    ▶︎ 展示の感想

    画像
    / ドーン! \
    画像
    2フロア構成

    館内に入った瞬間、めっちゃバブリー!場末ばすえ感!まるで秘宝館のような雰囲気にワクワクしました(笑。入場者はほぼ私のみだったので、のんびり楽しみました。

    画像
    ギュウギュウ詰め
    画像
    画像
    《王妃ネフェルティティの胸像》
    画像
    《瀕死の奴隷》
    瀕死の割にはずいぶん安らか
    画像
    《スパルタカス》
    ディズニーっぽいご尊顔
    画像
    《ツタンカーメン王の黄金のマスク》
    これだけ模刻らしい

    館内は何でもあり!キュレーションもヘッタクレもありません。例えるなら、ルーヴル彫刻のテーマパーク。ゲテモノ趣味、節操のない悪趣味とも。よく言えば、ヴンダーカンマー。

    画像
    ちょっと美意識を感じる階段
    画像
    地下もギュウギュウ詰め
    画像
    《崇拝者》
    ソーラン節かな
    画像
    《王を守護する鷹蔵》
    画像
    股に何かいる
    画像
    《書記パーリ》
    美しすぎる体育座り

    今の時代、美術館をつくるにも、展覧会を企画するにも「来た人に何をもち帰ってほしいのか?=コンセプト」が求められます。しかし、ここでは、コンセプトを1mmも感じませんでした。

    画像
    《十一面千手千眼觀世音菩薩》
    画像
    「ルーヴル」と菩薩の美しいミスマッチ
    画像
    宗教法人が運営しているため、仏像が中央に鎮座
    画像
    世界最大の千手観音座像らしい
    画像
    画像
    画像
    本当に手が千本あるらしい

    現代では、ルーブル彫刻美術館的なものを企画しても、誰も賛成してくれないのでは?と思います。そのため、むしろ今となっては、貴重な存在なのかもしれません。

    画像
    裸の像が多い
    画像
    裸だと、暑さ寒さや怪我が心配
    画像
    当時は布が相当貴重だったのか?
    画像
    画像
    《鵞鳥を抱く子供》
    怪力すぎる
    画像
    《ふくれっつらのキューピット》
    なぜあえて変顔?
    画像
    《棘を抜く少年》
    地味すぎるモチーフ
    画像
    《キューピット》
    絶対にダークサイドに堕ちている

    作品の並びに意味はなく、ただズラズラと置いてあるだけ。人によって、15分で見終わってしまうと思います。「おぉ〜…」と思うことはあるかもしれませんが、特段の学びは得づらかったため、入館料1,500円は高いと感じました。そのため「ツッコむなら何だろう」と考えることに専念しました。

    画像
    画像
    画像
    《女性の頭像》
    急にモディリアニが登場
    画像
    美術館の焼印が入った台座は風情がある
    画像
    スタバの人かな?
    画像
    《阿修羅》
    突如現れる魔神
    画像
    さくらももこが描きそうな渋い顔

    私が「学びは得づらい」と感じた理由は、作者やキュレーターの「思い」が見えなかったからです。なぜつくったのか?見る人に何を訴えたいのか?それが伝わってこないと、感想は「ふーん」しか生まれません。

    撮影可能だったため、写真だけでも撮ろうと記録に残しました。もし撮影もできなかったら「私は一体何をしにきたんや…」と困惑したと思います。

    画像
    《ボルゲーゼの剣闘士》
    ウルトラマン風
    画像
    《ルリスタン青銅器》
    画像
    小さな彫刻もたくさん
    画像
    これらも全部、本物から型取り?
    画像
    ここらへんで作品数を稼いでいる
    画像
    画像
    君らは何者や…?

    ミュージアムグッズ売り場も、まるで場末の温泉宿にあるお土産売り場の雰囲気でした(それはそれで面白い)。

    画像
    画像
    グッズは意外と本格派
    画像
    画像
    画像
    画像
    年季を感じる
    画像
    ビックリマン風
    画像
    数々の漫画家が描いたカッパが貼り付いている。
    藤子・F・不二雄もあるとか

    複雑な気持ちを引きづりながら、ルーブル彫刻美術館を後にしました。

    ▶︎ 大観音寺の感想

    画像
    入口に漂う昭和の場末感

    本来、この敷地のメインは「真言宗別格本山 寳珠山ほうじゅさん 大観音寺」です(1982年開山)。

    画像
    時代を感じる立体風フォント

    大観音寺の入山奉納料は800円。ルーブル彫刻美術館と共通券を買えば、300円お得です。美術館のチケット売り場で30秒くらい悩んで「せっかく三重まで来たから、お寺も見てええか…」と思い、共通券を買いました。

    画像
    共通券の購入者全員へサービスされる十二支御守メダル(800円相当)
    画像
    護摩木も無料進呈品
    画像
    ここはお寺か…?
    画像
    やる気系の珍しいだるま
    画像

    結果的に、時間に余裕がない旅行者には、お寺の訪問は必須ではないと思いました(面白いので、時間があればオススメ)。大観音寺もルーブル彫刻美術館と同じで、とにかくバブリー、場末感に尽きます。

    画像
    三重にいながら、お寺100カ所巡りができちゃう
    画像
    私も好きな四字熟語
    画像
    5円玉に両替し、100カ所の賽銭箱に入れる仕組み
    画像
    意識高い系
    画像
    お得に四国も88カ所巡れちゃう
    画像

    「数置けばええってもんちゃうで」と思うくらい、とにかくいろいろあります。そしてどれも内心クスッとしてしまうものばかり。開業当時は気持ちが豊かな時代だったんだな、と思いました。また、とにかく資金がいっぱいあることが伝わりました(おそらくご利益もあるのでしょう)。

    画像
    画像
    世界一!高さ33メートルの御本尊
    画像
    観音様は33変化して人々を救済したから、33メートル
    画像
    純金製
    画像
    金運財産にご利益があるらしい
    画像
    周りには108のミニ観音様と手形

    本来であれば、33メートルの純金観音菩薩の固定資産税だけでも、結構な金額になりそうです(宗教法人は無税)。

    画像
    画像
    画像
    指に五智如来が象られた仏手
    画像
    弘法大師の「一粒一万倍の釜」伝説に肖あやかった世界最大の釜。
    飢えに苦しまないことと、金運にご利益があるらしい
    画像

    館内には無数の賽銭箱。すべてを開けて、お金を回収するのも大変だし、両替手数料を考慮すると赤字になるのでは?と思いました。

    画像
    金でできた天狗たち
    画像
    その下にはカッパ。
    HP曰く、これらにご利益はない
    画像
    画像

    いろいろ巡った結果、昭和にタイムスリップした気持ちになれました。来て損はなかった…かもしれません。ボリューミーだったため、予想以上に時間を使ってしまいました。

    画像
    令和8年の運勢(しっかり更新済
    画像
    ご本尊近くに、七福神霊場、十二支御守本尊
    画像
    これもすべて金
    画像
    これも金ピカ。
    二升五合と書いて「ますます はんじょう」と読む(ダジャレ?
    画像

    なお、電車の本数が少ないため、事前にアクセスは要確認です。私は、美術館と観音寺を合わせて、約2時間も遊んでしまいました。帰りの電車は、1時間に約1本。駅で約40分待ちぼうけになってしまいました。

    画像
    境内で無数に置かれている足型は、1つ10万円で販売
    画像
    境内には大きな「カラオケ観音」もあったみたい
    画像
    お寺でオーケストラを奏でるカエルたち
    画像
    めっちゃ欲深い、桎梏のない世界

    ▶︎ まとめ

    いかがだったでしょうか?普段の美術館巡りとは一味違った体験になりました。学びはほぼゼロだったものの、何かありがたいものを受け取った気持ちになりました。フランスのルーヴル美術館唯一の姉妹館は世界にここだけ!三重県を旅行する際、時間に余裕があれば、貴重な思い出として訪問をオススメします。

    ▶︎ 次回予告

    画像

    次回は、ワタリウム美術館(東京)で開催中の「ナムジュン・パイク|じゅげむ展」の感想を投稿する予定です。

    ▶︎ 今日の美術館飯

    画像
    ★3.2/ミスタードーナツ 津ステーションショップ (三重県/津駅) ー 朝のミスドドリンクセット (¥410)

    ▶︎ あなたにオススメ3投稿

    1)三重県でオススメ美術館の感想

    2)彫刻専門の美術館(旭川)の感想

    3)Naota_tのnote全投稿リンク集(375件)

     
     
    混雑から見どころまで。展覧会選びに役立つ、実体験レビューを投稿 ■年間53万ページビュー、1.2万スキ、196万インプレッション ■投稿:年間89(4.1日に1本) ■展覧会:年間87 ■読書:年間120、累計2321 ■食べログ:年間247、累計2798 (数値は2025年)

    あなたへのおすすめ