
🚒近所で火事が起きた事件について〜両親とも寝ていて起きやしねえ!
この写真は、火事が起きた当日、実家に向かう途中、私が撮ったものだ。
高く炎が上がっている。
これについては敢えて日付をぼかす。
数年前の初夏のこと。
夜中に近隣で火事が起きた。
もっとも火事のほうに先に気付いたわけではない。
深夜、やけに近くで消防車のサイレンの音がした。
一応まだ起きていた。
近い。
「消防車、近くない?」
「近い、そこの道を通っていってる。」
配偶者と顔を見合わせる。
またサイレンの音がした。
近い。
音が近過ぎる。
住んでいるところは住宅街の中の方で、通常、救急車や消防車がそこに来る時はその町内に目的地があるときだ。
パソコンで火事情報を見ていた配偶者が言った。
「これうちの町内じゃない?」
実家の隣の番地が表示されていた。
「ちょっと実家行ってくる!」
私は上着を引っ掛け、実家へ向かった。
向かう途中、見上げた空が表題の写真だ。
炎が高く上がり、完全に実家の方向だった。
息せき切って、実家の前にたどり着くと、実家の前を何本もの消防ホースが横切っていた。
(これはその時の写真だが、かなりぼかさせて欲しい)
実家の四軒向こう、隣の番地の角の家が家事だった。
消防車が何台も止まり、警察車両が来て、高く炎と煙が上がっており、高らかにサイレンを鳴らして、まだ消防車が駆けつけていた。
私は慌てて、実家の玄関のインターホンを鳴らした。
起きて来ない!!
二度三度連打するが、両親とも全く起きて来ない!!
この時には、配偶者も今住んでいるマンションの戸締りをして追いついて来ていた。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃない!裏に回ってみる!」
昭和な両親は、昔はよく勝手口方面の窓は開けていたと思って、裏に回る。
なんてこった!
こんな時に限って、ちゃんと戸締りしてやがる!!
裏手の、渡り廊下の高い位置にある窓が施錠されていないようだと思って、そこから声を掛けようと、その下にあった水道の蛇口に足を掛けたら音がした。
ボキッと。
やっちまった、折れた!
水漏れが始まった。
しかし構ってはいられない。
窓から大声で怒鳴る。
「火事!!
お母さん、火事!
起きて!!」
眠そうな声で、もそもそ起きてきた母は、窓から顔を突っ込んでいる私を見て、すごく不思議そうにしていた。
「火事?
何も聞こえんけど。」
実家はリフォームにより、二重窓になっていて、それが防音の役割を果たしている。
さらに、父も母も大病をした後の病院通いで、睡眠導入剤をもらっていたらしく、そういう事情もあったらしい。
しかし私はそれどころではない。
「近所で家事だって!!
火の手が高く上がっとるけん、危険やけん!!
とりあえずうちに避難するから、上着だけでも着てきて!!
玄関開けて!!」
母親は不満そうにぶつぶつ文句を言いながらも、やっと玄関を開けた。
パジャマにガウンのようなものを羽織った状態である。
到底、長期で外に行くような格好ではないが、とりあえず近距離にうちのマンションがある。
狭くとも、一晩避難するには十分だと、
「火事で外はすごい騒ぎやけん、そのままで良いから、うちに行こう!
お父さんは?」
父はこの騒ぎの中、まだ起きていなかったが、その辺でやっと起きていた。
「あんた、騒ぎ過ぎやないとね。
何も聞こえんよ。」
この期に及んでまだ外に出たがらない母を急かして表に出ると、途端に救急車のサイレン音や人の話し声、消防車が放水する音、様々な騒音が聞こえてきた。
「あらっ、なんね、これは!?」
だから、ずっと火事だって言っとろうが!
ちなみに、実家到着から、母たちを実家の玄関から出すまでに25分かかっていた(計っていた←またか)。
実家が延焼したら確実に焼け死ぬなと思いながら。
「避難するよ!
ちょっ、どっち行きようと!?」
ふらふらと、火事の家の方向に歩いて行こうとする母。
野次馬!
警察官に「危険なので近付かないでください。」と注意される、当たり前だ。
母を引き戻し、父が来ないと思ったら、配偶者が玄関先でおろおろしている。
何かと思ったら、父が、暗闇の中、玄関先の階段を降りれずに、両手を突き出して、そこで、キョンシーのように足踏みしていた。
父に手を貸して階段を降りさせるが、父も野次馬をしに行こうとする(止めた)。
その上、二人とも野次馬根性で、避難しようとしない。
一時間ほどは掛かったが、火勢が消し止められ(消防署の方も警察の方もありがとうございます)、結局うちの実家の距離なら帰宅しても大丈夫ということになって、その日のうちに帰れることになった。
(四軒先は全焼した。)
めでたしめでたし、とはいかなかった。
水道。
そういえば壊した、と、落ち着いたら思い出してしまった。
母に言ったら、
「あんた、なんばしようと。」
と文句を言われた。
起きなかったのは、そっち!
庭先にある水道の止水栓を止めて、翌日修理を呼んだらしい。
翌日、前の日のことは棚に上げて、水道修理の文句を言うのと、真偽不明な火事の噂話を仕入れてきて、私に講釈するまでがその事件のワンセットだった。
(終わり)

