
【アルベロベッロの朝】ソラと一緒に旅する世界
朝の光が白い街を包んでいた。
石畳にやわらかな影が落ち、
通りの角から、パンの香りが漂ってくる。

ぼくは鼻をひくひくさせながら、
その匂いのする方へ歩いていった。
通りの角にある小さなパン屋。
その前には、焼きたてのパンが山のように並んでいる。
外はカリッと、中はふわっと
香りだけでお腹が鳴りそうだった。
「ちょっと、においだけ……」
ぼくはそっと鼻を近づけてみた。

けれど、パン屋のおじさんが気づいて
「こらこら、猫くん!」
と笑うものだから、ぼくは慌てて逃げ出した。
角を曲がると、今度はカラフルな市場。
木箱の上には、オレンジやブドウ、メロンが並び、朝の光を受けてつやつやと輝いている。

そして、その中に
まっ赤なイチゴ。
「こんなにきれいなもの、初めて見た」
ぼくは思わず前足で触ってみた。
コロコロと転がる果物たち。
陽ざしの中で、街全体がきらきらしていた。
気がつくと、ぼくの口の中には
ひとつのイチゴがあった。
「……え、ぼく、くわえちゃった?」
