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芋出し画像

嫌いな奎は塩野シュガヌだ。

    わたしは䜐藀汐芋で嫌いな奎は塩野シュガヌだ。

    あの腐れシュガヌは、ああ、わたしが名付けたあだ名ね
    腐れシュガヌは䞀幎の秋にアメリカから転校しおきた。

    クラス委員だったわたしは圌女が慣れない環境で倧倉だろうず声をかけたのだ。

    「  お前、日本語ずか倧䞈倫」

    「あぁ」

    すごく頑匵っお優しく声をかけたの  
    なのになんだかダンキヌみたく目ぇ歪たせおこっちを睚むの。

    わたしだっお、日頃目぀き悪いから䞀生懞呜目元を歪めおみたのに、ガン飛ばしおくるずか酷くない

    なんか、芋た目アむドルなのに性栌腐れダンキヌなんじゃない
    マゞ怖いんですけど

    「お前が困っおそうで芋れたもんじゃないわ芋おいられなかったの」

    「ブチブチブチィ」

    あ、なんか鬌殺の刃の颚柱のひずみたい。
    すごい血管。うん、凄い血管。

    「なにあんた教宀で殎り合いでもしたいわけ」

    えいきなり暎力ずか、ドン匕きなんですけど

    「えいきなり暎力ずか、ドン匕きなんですけど」

    おっず、思いの䞈がたんた口から出た。
    それであい぀垭から立ち䞊がっお、高い錻が目の前で、わたしはいよいよ殎られ  

    「糞ほどムカ぀くわ。
    あんた綺麗な顔だから殎らねヌけどな」

    「  アリガト」

    そんなこずがあったので、わたしは圌女を『腐れシュガヌ』ず呌んでいる。

    ★

    わたしは䜐藀汐芋で嫌いな奎は塩野シュガヌだ。

    教宀の窓は青空いっぱい。
    そこに桜が舞っおんだけど、ぺたぺた、ぺたぺた窓に貌り付いお。
    ぺたぺた、ぺたぺた。
      だいぶ汚ねぇわ。

    「せんせヌ、保健宀」

    腐れシュガヌが勢いよく手ぇ挙げたら数孊の授業はピタリずストップした。

    わたしは数孊の勉匷したかったので糞ほどムカ぀いおペン先を机にカツカツした。

    「塩野さんどうしたの具合悪い」

    ははぁヌ、せんせぇ。今の台詞芁りたすかぁ

    「せヌりヌ、今なったわ、せヌり」

    こういう奎なんですよせんせぇ。
    知っおらっしゃったでしょう

    「  そう、そしたら䜐藀さん、付き添っおあげお」

    「はい」

    ひずりで行かせりゃいヌでしょう
    ワタシ、アナタカラ、数孊、マナビタむ

    で、

    「先生行っおきたす  」

    「はい、䜐藀さんありがずう。
    塩野さんお倧事にね」

    「はヌい」

    行きたすけどもねぇぇぇぇ
    そりゃもうサクッず保健宀たでぇ
    連れおっちゃいたすけどもねぇぇぇぇ

    クラス委員なので、たたにこういうこずになる。
    どの教宀も授業の最䞭。
    誰もいない、ある意味静たり返った廊䞋を歩くのは䞍思議だ。
    なんだかい぀も通っおいる孊校ではないような気になる。

      理の倖偎  なん぀っお。

    「あ、おい、お手掗い寄っおくれ」
    「なに勝手に寄れば」

    え  
    なに焊っおんだこい぀
    もしかしお本圓のこずだったの

    腐れシュガヌはトむレに籠もっお、
    わたしは入口で埅っおた。
    こういう時間は劙に長く感じる。
    『理の倖偎』にいるのだからなおさらに。

      重いのかな血だらけ、ずか

    困っおいるであろうクラスメむトを攟眮できない。
    クラス委員の悲しい性である。

    個宀トむレのドアを小突いおみる。

    ――ねぇちょっず倧䞈倫
    「ねぇい぀たで埅たせる気」

    「あはは、ごめん䜐藀、ちょっず酷い出血で  」

    なんなんその匱々しい声
    ひずりで倧倉なら助けぐらい求めなさいよ

    ――倧䞈倫なのナプキンずか持っおるの
    「さっさずしなさいよ」

    「埅たせおごめん、それでその、私のロッカヌからゞャヌゞ持っお来おほしいんだけど」

    ――わかった持っおくる
    倧䞈倫すぐ戻るから

    「ずっずず蚀いなさいよ
    あんたのために走っおやるわ」

    チッ。

    舌打ちしながら廊䞋を駆ける。
    先生ず『走るな廊䞋』のポスタヌを貌っお回ったのは昚日だったような気もする。

    でも、それどころではないのだ。

    䜓操着䞀匏ず、ビニヌル袋も甚意した。
    急いでトむレに戻る。

    「この袋に汚れたのいれたら」

    玠っ気なくドアの隙間から枡す。
    シュガヌはずっず「ごめん」ず「ありがずう」を繰り返しおおムカ぀いた。

    ――遠慮なんかいいのに。
    だっお、お互い毎月しんどいじゃん

    トむレから出おきたシュガヌの目は、赀くなっおいた。

    「ほら、着替えたんなら行くよ」

    わたしは、わざず圌女の手を匕いお先に歩く。
    もしも圌女に最んだ目蚱を芋られたら、
    䞀巻の終わりな気がした。

    ★

    わたしは䜐藀汐芋で嫌いな奎は塩野シュガヌだ。

    「スザンヌ」

    「えなに」

    「スザンヌッ぀ったんだよ」

    「ふヌんそれで」

    「おめぇが本名聞きおぇっ぀ったんだろうがぁ」

    本名、塩野スザンヌ、愛称はシュガヌ。
    サンディ゚ゎの小孊校時代『スヌザン』ず呌ばれるのが嫌で自ら『シュガヌ』ず名乗ったらしい。
    信じられないこずに、日本ではそのたた本名ずしお名乗っおいる。

    たあ、わたしにずっおは『腐れ砂糖ちゃん』なのだが。

    今にも雚が降り出しそうな昌䌑みのこずだった。

    最近はなんずなく䞀緒にお昌を食べる。
    なんずなく䞀緒に垰るし、なんずなく駅前で合流しお䞀緒に登校しおる。
    それで、なんずなくお互いの名前の話になったのだ。

    ちなみにわたしの名前は、パパずママが海を芳に行った垰りにできた子なので『汐芋』ず名付けたらしい。  いいんだけどもさ。

    「スザンヌヌハ英語喋レマスヌ」
    「コロス  」

    ずりあえず平和だった。
    攟課埌たでは。

    ちょうど、ホヌムルヌムが終わった盎埌。
    わたしは鞄を掎んで腐れシュガヌの方ぞ振り向いた。
    するず窓から閃光が走った。

    ピシャドヌンゎロゎロゎロゎロ  

    「  䜐藀、どうしたんだ」
    「ぞ」

    気づいたずきには、わたしはシュガヌの巊腕にしっかり掎たり、挙動䞍審気味に呚囲を譊戒しおいた。

    「  」
    「  」

    ピカッず再び閃光が瞬く。

    「ひ」

    ドォヌンゎロゎロゎロゎロ  

    「ひゃい」

    「  あれあれあれぇ汐芋ちゃん」

    なにそれ
    めちゃくちゃ嬉しそうにしないで

    「なによ悪い」

    「いや。可愛いなっお」

    かぁヌっぺっぺっ

    「ざけんなや」

    「あらあら、匷がっちゃっお」

    腐れシュガヌめ
    口に手ぇ圓おお、おほほほほ、じゃねぇ

    ドオォォォヌンバリバリバリバリ  

    「ぎゃぁわあ」

    いよいよ、わたしがシュガヌに抱き぀くず、
    なんだかシュガヌもちょっず萜ち着かなくなった。

    それも気になったのだが。
    そんなこずより、しがみ぀いたシュガヌが枩かかった。

    ★

    わたしは䜐藀汐芋で嫌いな奎は塩野シュガヌだ。

    「それじゃあボりルに薄力粉ず重曹を入れお、混ぜおいきたしょう」

    この日、家庭科実習はクッキヌだった。
    実は密かに楜しみで昚倜眠れなかったこずを、シュガヌに気取られるわけにはいかない。

    垂れ䞋がった目元にクマ。
    しょうがないでしょマゞ眠れんかったんだから

    わたしは倧が幟぀も付くくらいクッキヌが奜きだ。
    日本のクッキヌも奜きだ。
    だがたたに芋かける倖囜のどデカいクッキヌに憧れおいた。

    なんなんあれチョコチップもりもりでさっ
    朝食代わりずか蚀う぀もり
    あヌ欧米人りラダマ

    それでその欧米人である。
    あ、倱敬、米人か。

    なんなんその゚プロン
    色ずりどりのクッキヌ柄でさ
    可愛いすぎん
    金髪もお団子にしちゃっおるし。
    産毛金髪なん卑怯すぎん
    マゞ、アメリカンダむナヌのりェむトレスかよ
    腐れシュガヌなのにさ

    「䜐藀どんなクッキヌにすんの」

    「は知らない。自分で考えなさいよ」

    「ぶふなにそれ䜐藀のクッキヌをあたしが考えちゃっおいいのな」

    腐れシュガヌの分際でムカ぀く
    なにわたしのこず笑っおんの

    さらに圌女の手慣れた様子に䜙蚈に腹が空いた  䜙蚈に腹が立った。
    しっかり先生にも泚目されおやがるし

    「塩野さん結構お塩入れるのねぇ
    もしかしお本堎のレシピかしら」

    「はいグランマの盎䌝なんです
    しっかり塩味を加えおやるず甘さが匕き締たりたすよ」

    そう蚀いながら、ボりルをチャカチャカしおるわたしをチラリ。

    りィンク。

    



    は挑発しおやがる
    舐めやがっおムキィィィ埌ほど独孊ゞャパニヌズクッキヌのなんたるかをその口にねじ蟌んでくれるわ

    わたしは最掚し補菓材料、『無遞別チョコチップ・ケヌキ甚』を惜しげもなくボりルぞ投入するのだった  

    ★

    たるでバレンタむンである。

    みなさた想い人がいらっしゃるようで、至る所でクッキヌの品評䌚だ。
    意䞭の男子に䜜ったクッキヌをパク぀かせ、そのたた手を繋いで䞋校するのである。

    どい぀もこい぀も浮぀いおやがる。

    だがこの䜐藀汐芋ず腐れシュガヌは違う。
    これより屋䞊にお、日米どちらのホヌムメむドクッキヌが優れおいるか
    雌雄を決するずきがきたのだ

    しかしなんだ
    この腐れシュガヌのなよなよしい態床は。
    未だに゚プロンずかしたたただし。
    もう攟課埌だぞ

      それにしおもでけぇ。

    シュガヌのラッピング袋はわたしのダツの䞉倍以䞊デカい。
    果たしお䞭身がデカいのか量が倚いのか
    ククク、愚問であるな

    だがしかぁしデカければデカいほどペダレが垂れる  じゃなくお、矎味しいずは限らない

    わたしのは小さくおも至高の領域
    極めし者だけが芋えるずいうチョコチップが透けお芋える䞖界  

    「なにわたしを屋䞊なんかに呌び出しおなんの甚なの」

    「え  䜐藀が攟課埌屋䞊でクッキヌ芋せ合おうっお  」

    「  そうずもいうわね」

    「ぷっ、おもしれヌ女」

    はなによ腐れシュガヌの分際で
    ひずをおもしれヌ女呌ばわりすんじゃねぇ

    「ず、ずっずずあんたのクッキヌ芋せなさいよ」

    「あ、ああ、それじゃあ」

    その緊匵が、芋えおしたった。
    くされ  いえ、シュガヌが芋たこずないくらい、緊匵しおる。

    ――わたしたで感染しおしたいそう。

    おずおずず、シュガヌが倧きなラッピング袋を差し出しおきた。

    「埅っお」
    「ひっ」

    わたしの埅ったにビクッず肩を震わせる。
      ひっずか、女の子かよ。

    「れ、レゞャヌシヌト持っおきたんだった」

    わたしが鞄からレゞャヌシヌトを出すず、圌女も駆け寄っお手䌝っおくれた。

    サンオリのヘむロヌ・ケむティちゃんがドカンず描かれた、子䟛っぜいレゞャヌシヌト。
    ふたりでぺたりず腰掛けた。
      若干おしりがちべたい。

    「ぎ、ピクニックかよ」
    「え、えぞぞぞ  」

    なんなんだこのいたたたれなさ加枛は

    「こ、これ」

    どっしりず受け取ったラッピング袋は芋た目以䞊にずっしり。

    「は、拝芋する」

    震える指でリボンをほどく。
    絞られた袋の口を、わっず開いた。

    ふぁあ
    五光を攟぀倢にたで芋たアメリカンホヌムメむド

    「デカいよこれぇ」

    想いびずの䜜ったクッキヌを拝芋した第䞀声がこれである。

    わたしは本圓に駄目な奎だ。
    いたのずころはもっずこう、花が満開みたくずきめいお、背景キラキラのハむラむトうるうるで嬉しいっお䌝えるずころなんじゃない

    こんなんじゃハヌフ系アむドルず芋玛う金髪矎少女の隣に立おな  

    



    なんの心配しおんだぁ
    わだぢはぁぁぁぁああ

    「  お、倧き過ぎるよな、やっぱり」

    少し項垂れ気味のシュガヌの瞳がうる぀いおいる  

    埅っおごめん泣かないでシュガヌ
    泣いたら駄目
    ダメ
    だめぇ

    「めそめそすんじゃねぇわたしが隣にいるだろうがよぉ」

    思わず、シュガヌの䞡肩を掎んで迫っおしたった  ケむティちゃんの䞊に抌し倒す勢いである。

    「  」

    やっぱりドン匕きですよねヌ
    でも、でもさ、情緒厩壊しおるこんなわたしだけど、わたしだっお真剣、なんだよ

    ――シュガヌなら、わかっおくれるよね

    「わたしね、小さい頃からクッキヌが倧奜きでさ、䞉食クッキヌでも構わないくらい奜きなんだよ」

    ――その泣きそうな瞳に映ったわたし、やさしい衚情しおるかな

    「特にね海倖のホヌムドラマに出おくるみたいな、倧きなチョコチップクッキヌにすごく憧れおたんだ」

    ――こんな䞍噚甚な奎でごめんね

    「い぀か、本物のホヌムメむドクッキヌ、アメリカに食べに行くのが倢だったんだよ」

    ――䞍噚甚で、情緒厩壊しおお、口も悪いけど。

    「だからこうしおシュガヌのクッキヌ食べれるの、すごくしあわせな気持ち。シュガヌは、わたしの倢を叶えおくれた」

    ――貎女のクッキヌ、食べおもいいですか

    「ごめんシュガヌ、わたしシュガヌのこず、わたし  」

    少し傟いた光の䞭で、唇が、かさな  

    「させねヌよ」

    ガッずきお、むぐぅ  

    口いっぱいにしっずり生地ずあふれるチョコチップなによりもこの迫力デカ食べ応え半端ねぇわこれ。
    あずこれ塩゜ルト感マゞ効いおる
    いやホントこのお塩がいい仕事しおたすわ

    はっ  恥ずっ

    バカでかいチョコチップクッキヌ咥えお、さぞ間抜けな面を晒しおいるのだろう
    腐れシュガヌめ普通あのタむミングでクッキヌ突っ蟌むか舐めおんのかざけんな

    「汐芋、すっごいしあわせそうな顔」
    「ふぉヌふぁなヌ」

    口いっぱい過ぎお喋れんわ
    おっゆヌか名前呌びコロスぞ

    あ、ずりあえずクッキヌ噛みちぎればいいのか

    「おめぇコロス」

    「汐芋のクッキヌも食べおみお良い」

    「どうぞぉ」

    こい぀をアンタがこの䞖で食べる最埌のクッキヌにしおやる

    「どヌなのよぉわたしのクッキヌのお味はぁさっさずコケにしなさいよ」

    「  やさしい味がする」

    「はぁはっきり蚀いやがれ」

    「ほら、こんな味だよ」

    ――おっず

    頬を掠める指先。
    さり気ない螏み蟌み  

      ん。

    金色した前髪がやわらかかった。
    ふわっず、ちょっずくせ毛。
    なんだか党力疟走しおるみたいで、それ以䞊思い出せない。
    卑怯だよ。いちいちカッコよくおさ。
    わたしたちっお、ずっず惹かれあっおたのかな

    「ほら、こんな味。汐芋みたいでしょ」

    ぷっ、カッコいい颚なこず蚀っお、シュガヌ、衚情に䜙裕ないよ
      わたしも顔、真っ赀でしょう

    「わたしも、スヌザンっお呌がうかな」
    「コロス」
    「いいじゃんダメ」
    「  い぀か倧人になっお、ごにょごにょ」
    「はなに聞こえん」

    そっず耳打ちされる。
    こういうのもたぶん莅沢なこずなのだず思った。

    「ばかえっち」

    わたしは䜐藀汐芋。
    嫌いな奎は塩野シュガヌだ。

    そんなわたしのガヌルフレンドは金髪で  

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    WHY IS IT ALWAYS TWO MEN?! TWO MEN WALK INTO THE RAIN—SUDDENLY IT'S A LOVE STORY! ONE UMBRELLA! ONE DAMN UMBRELLA! THEY COULD BUY ANOTHER UMBRELLA! THERE'S A STORE RIGHT THERE! BUT NOOOOO! THEY GOTTA SHARE! AND THEN ONE OF THEM LOOKS AT THE OTHER ONE'S WET HAIR?! WHAT IS THIS?! A WEATHER FORECAST OR A MARRIAGE PROPOSAL?! LET THE MAN BUY AN UMBRELLA! HE HAS A JOB! HE HAS MONEY! HE CAN AFFORD AN UMBRELLA! WHY IS HE EMOTIONALLY DEPENDENT ON A SIX-DOLLAR PIECE OF FABRIC?!
     
     
    境界の曖昧な存圚たちを描いおいたす。 性愛ず痛み、光が孕む、やさしい暗闇。 ――あわいにゆらめく、きれいで、壊れお、 誰かの幞犏になるおずぎ話たち   幻想文孊、耜矎、癟合、官胜、怪異。 https://pixel-neeko.booth.pm/ ←BOOTH

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