メインコンテンツへスキップ
見出し画像

「夢を預かる質屋」| きのこ書店 |400文字

    「夢を預かる質屋がある」

    アイツが持ってきたネタだ。

    学生身分だが自分の車を買った。

    その頃は心霊スポットに繰り出していた。

    私は、いわゆる零感だ。

    当時、TVでは不定期で心霊番組があった。

    「全国心霊スポットランキング」などはアイツの部屋で視聴していた。

    「その質屋ってただの質屋じゃね?」

    その投げかけにアイツはキョトンとしている。

    「夢、盗られるなんてオカルトだろ!」

    なぜか興奮するアイツ。

    「待て待て、そもそも質屋って物を預けてお金を借りるところだろ。

    ある意味、夢を借りてるんじゃね?」

    アイツの反応はなかった。



    その頃の私は、“質屋”がどんなところなのかも知らなかった。

    今でも質屋の暖簾を潜ったことはない。

    今思う。

    “夢を預かる質屋”とは日本のどこかにある質屋のキャッチフレーズだろう。

    ただなぜあの時アイツは、

    預かる=盗られる

    だったのか。

    確かに“預かる”は詐欺師の常套文句だ。

    アイツは、そこまで考えていたのだろうか。


     
     
    40代。妻と大学生の子どもが2人います。 会社員を経て、今は小さな会社を経営しています。 仕事、家庭、失敗。 これまで人にはあまり話してこなかったことを、できるだけ格好をつけずに書いています。 自分が何を考えて、どう生きてきたのかを残すためのnoteです。

    あなたへのおすすめ