
「夢を預かる質屋」| きのこ書店 |400文字
「夢を預かる質屋がある」
アイツが持ってきたネタだ。
学生身分だが自分の車を買った。
その頃は心霊スポットに繰り出していた。
私は、いわゆる零感だ。
当時、TVでは不定期で心霊番組があった。
「全国心霊スポットランキング」などはアイツの部屋で視聴していた。
「その質屋ってただの質屋じゃね?」
その投げかけにアイツはキョトンとしている。
「夢、盗られるなんてオカルトだろ!」
なぜか興奮するアイツ。
「待て待て、そもそも質屋って物を預けてお金を借りるところだろ。
ある意味、夢を借りてるんじゃね?」
アイツの反応はなかった。
その頃の私は、“質屋”がどんなところなのかも知らなかった。
今でも質屋の暖簾を潜ったことはない。
今思う。
“夢を預かる質屋”とは日本のどこかにある質屋のキャッチフレーズだろう。
ただなぜあの時アイツは、
預かる=盗られる
だったのか。
確かに“預かる”は詐欺師の常套文句だ。
アイツは、そこまで考えていたのだろうか。