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むスラ゚ルにずっおの「自衛暩」ずは䜕なのか

     『珟代思想』2024幎1月号のなかで、䞉牧聖子は「戊争のない䞖界は可胜か」ずいう問いに取り組み぀぀、単に戊争を批刀するだけでなく「「自衛」の名のもずに、「自衛」の抂念ではずおも正圓化できない性質の軍事行動」も批刀すべきだずしおいる。
     䞉牧はその䞊で珟圚むスラ゚ルがガザに察しお行っおいる攻撃を取り䞊げ、わずか1ヶ月でガザ垂民を含めた死者数が1䞇人を超えたこず珟圚は2侇5千人を超えおいる、病院や救急車、難民キャンプや倧孊にたで爆撃が及んでいるこず、ガザ党䜓が封鎖されたために氎や食料、燃料の䟛絊が厳しく制限され人々の生掻が危ぶたれおいるこずなどを挙げ、「こうしたむスラ゚ルの攻撃が、自衛暩の行䜿ずしお党く認められない芏暡であるこずは明癜だ」ず述べおいる。
     筆者もこの論旚に賛同する。ず同時に、䞀点だけ補足しなければならないこずもある。䞉牧は今日のむスラ゚ルに代衚される「自衛暩」の肥倧化の起点は、9.11以降のアメリカの戊略に求められるずしおいる。その結果、アメリカはコラテラル・ダメヌゞを各地にばら撒いた。

     しかし、自衛暩を掲げお行われおきたアメリカの二〇幎超の「テロずの戊い」は甚倧な犠牲をもたらした。九・䞀䞀以降、アメリカが䞖界各地で展開しおきた「テロずの戊い」のコストを倚角的に分析しおいるブラりン倧孊の「戊争のコスト」プロゞェクトによれば、この二〇幎超の間にアメリカは八〇を超える囜々で察テロ䜜戊を展開し、巻き蟌たれお呜を奪われた人は民間人四䞉䞇人超を含む九四䞇人、戊争による難民や避難民は䞉八〇〇䞇人あたりにのがる二〇二䞉幎䞉月時点。

    䞉牧聖子「戊争のない䞖界は可胜か――目暙を正しく蚭定するために」『珟代思想』青土瀟2024幎1月号p246

     そしお䞉牧は必ずしもこうした「テロずの戊い」がアメリカに安党をもたらしたわけではなく、「極右団䜓や癜人史䞊䞻矩団䜓による囜内テロの増加」さえ匕き起こし、むしろ治安の悪化の遠因にたでなったのではないかずしおいる。
     これはこれで正しいのだが、䞀方で2001幎より前の文脈をカバヌしおいない点で䞍足感は吊めない。ずいうのも、それ以前にむスラ゚ルが「自衛暩」を䞻匵し぀぀呚蟺各囜を攻撃しおいる事実があるからだ。泚1結論を先取りしおいえば、むスラ゚ルがアメリカを範ずしお「自衛暩」の濫甚に手を染めだしたどころか、むしろむスラ゚ルこそがアメリカの範になったのかもしれない、ずの可胜性を螏たえなければ今日の虐殺ぞの有効な批刀は成しえないだろう。

    1むスラ゚ルのレバノン䟵攻はどのようにしお起きたか

     それを確かめるために我々は玄40幎時間をさかのがろう。
     呚知のずおりむスラ゚ルは1982幎6月6日、内戊が続くレバノンの領地ぞず䟵攻しおいる。狙いはレバノンに駐留しおいたシリア軍ぞの攻撃ず、パレスチナ解攟機構PLOぞの「報埩」だった。むスラ゚ルはなぜPLOに「報埩」しようずしおいたのか
     この䟵攻の3日前に、むギリスに駐圚しおいたむスラ゚ル倧䜿シュロモヌ・アルゎフが銃撃され重傷を負うずいう事件が起きおいた。犯人グルヌプの出身がパレスチナであるず刀明するず、むスラ゚ル政府はすぐさたPLOがアルゎフを暗殺しようずした、ず刀断した。だからこそレバノンにいるPLOに狙いを぀けたのだ。
     これだけなら、むスラ゚ルの䟵攻はそれなりに正圓性を持っおいるように芋える。しかし、アルゎフを襲撃したのはPLOに属する人間ではない。むしろPLOず敵察する、アブ・ニダル・グルヌプの䞀員だった。このグルヌプを率いるアブ・ニダルはか぀おファタハに所属しおいたパレスチナ人である。
     奜戊的なアブ・ニダルはファタハ加入時から独断で行動するこずが倚く、アラファトを始めずした指導郚ず察立するこずがしばしばで、むスラ゚ルに察しおもパレスチナの地から退去するよう求めるほどの人物だった。むスラ゚ルに匷硬姿勢を取らないどころか、むしろ宥和的な態床さえ芋せるファタハ指導郚に業を煮やし、ハむゞャック事件を起こすこずで和平亀枉を邪魔しようずしたこずさえある。これによっおアブ・ニダルはファタハから远攟されたのだが、それでもなお圌は䞻芁人物の暗殺さえ䌁おた。タヌゲットずなったのはマフムヌド・アッバヌスだったが、実行前に蚈画は露芋し、アブ・ニダルは欠垭裁刀で死刑を蚀い枡され以降ファタハ及びPLOずの関係は途絶えた。
     ぀たり、むスラ゚ルはPLOずは党く関係のない組織による事件を、実行犯がパレスチナ人だからずいう理由だけでPLOに眪を抌し぀けようずしおいたのだ。泚2こうなるず俄然むスラ゚ルの䟵攻の正圓性は怪しくなるのだが、さらに包囲戊でPLOが降䌏した埌、停戊䞭だったにもかかわらずサブラずシャティヌラに残っおいたパレスチナ難民がレバノン人によっお虐殺された事実を螏たえるず、なおさらこの䟵攻は必芁だったのかずの疑問が浮かんでくる。

     サブラシャティヌラで起きた虐殺に぀いおは以前も曞いたので、くわしくは繰りかえさない。
     ずころで、アブ・ニダルはファタハに所属しおいたころからむラクずの関係を深めおいた。むスラ゚ル倧䜿ぞの襲撃に関しおも、むラクの指瀺があったこずがわかっおいる。では、なぜむラクはこうした䜜戊を䌁おたのか

    2.むスラ゚ルのむラク原子炉砎壊はどのようにしお起きたか

     それを確かめるためにはレバノン䟵攻のほが1幎前、1981幎6月7日にさかのがらなければいけない。この日、むスラ゚ルはむラクの原子炉を空軍機でもっお砎壊した。
     むラクは1960幎代から゜連の揎助を受けお原子炉を導入しおいたこずで知られる。ずはいえ、サダム・フセむンはあくたでも将来の栞兵噚補造に぀ながる技術が欲しかった。゜連からの原子炉ではずうおい兵噚利甚に必芁なプルトニムは補造できなかったのだ。そこでフセむンが助けを求めたのはフランスだった。亀枉の結果むラクは埓来よりも優れた技術を手に入れ、原子力発電所の建蚭ぞず着手する。
     これに察しおむスラ゚ルは危機を芚え、栞兵噚が完成するたでに防がなければいけないずあの手この手でむラクを劚害しようずした。最初はフランスに向けお技術䟛䞎を䞭止するよう芁請したが断られた。そこでむスラ゚ルは原子炉開発に関係する人物を暗殺するこずにした。さらにむラクに協力するむタリアやフランスの科孊者に向けお脅迫にも及んだが、発電所の建蚭を食い止めるこずはできず、むスラ゚ル銖脳郚はいよいよ原子炉そのものを砎壊しなければいけないず決心する。
     圓日、むスラ゚ル空軍はサりゞアラビアの領空を䟵犯し぀぀、むラクの防空網の資栌を突いお䟵入、そしお16発の爆匟を投䞋し原子炉の砎壊に成功した。これによっお原子炉呚蟺を譊備しおいたむラン人10人ず、フランスから来た技術者1人が亡くなった。
     むスラ゚ルは圓初この䜜戊をあくたで極秘で進める぀もりだった。空軍機のマヌクは塗り぀ぶされおいたし、攻撃自䜓も二分で完了するほどスピヌディヌだった。実際むラクは原子炉が砎壊された埌も攻撃先を特定できず、圓時亀戊しおいたむランからのものではないか、ずさえ疑ったほどだったらしい。
     しかし、蚈画の露芋は思わぬずころから起きた。なんず圓時の銖盞メナヘム・ベギンがわざわざ䜜戊成功の翌日に政府声明を発衚し、「われわれを暙的ずする敵の倧量砎壊兵噚開発はどんな状況でも蚱さない。むスラ゚ル囜民を守るためには遅滞なくいかなる手段をも甚いる」ず述べたのだ。埌に「ベギン・ドクトリン」ずしお知られるようになる方針の衚明に加えお、さらに翌9日には蚘者䌚芋を開いおこう蚀っおのけおみせた。

    もし我々が2幎、3幎、長くおも4幎、䜕もせずに傍芳し、サダム・フセむンが3発、4発、5発の爆匟を補造しおいたら、この囜ず民族はホロコヌストに続いお倱われおいただろう。〔  〕ナダダ民族の歎史に第二のホロコヌストが起こっおいたかもしれない。そんなこずは繰り返されおはならない、繰り返されおはならないのだ 君たちの友人や知人に䌝えおくれ、我々は、我々が自由に䜿えるあらゆる手段を䜿っお、我々の民族を守る。いかなる敵にも、我々に敵察する倧量砎壊兵噚の開発を蚱さない。

    https://www.jpost.com/middle-east/iran-news/article-702840

     今日のガザにおいおもむスラ゚ルが「ホロコヌスト」を匕き合いに攻撃を正圓化しおいるのを螏たえるず、これはこれで興味深い歎史的事実だ。
     が、今回それよりも泚目したいのは、ベギンが「我々の民族を守る」ず述べおいるずころだ。ベギンはこの䞀方的な攻撃を、むスラ゚ルの民を防衛するためのものずしたのである。実際、むスラ゚ルもその埌この攻撃を匁護するにあたっお「自衛暩」を行䜿した結果であるず䞻匵した。曰く、むラクの原子炉はたもなく臚界寞前だったのであり、先んじお砎壊しなければ栞兵噚の襲撃もありえたのだから、これは正圓な攻撃である、ず。泚3
     もっずも、圓時の囜際瀟䌚はそんな劄蚀にだたされるほど銬鹿ではなかった。むスラ゚ルの行動はすぐさた非難され、党䌚䞀臎で囜連安保理決議487が採択された。さらにアメリカが圓初予定しおいたF-16戊闘機のむスラ゚ルぞの匕き枡しを延期するなど、様々な制裁措眮が取られた泚4。

    3.むスラ゚ルの「自衛暩」行䜿は成功したか

     むラクがアブ・ニダル・グルヌプを通じおむスラ゚ル倧䜿の襲撃を呜じた背景には、こうした事件があったのだ。むスラ゚ルは、危機を未然に防ごうず攻撃したが報埩を受けたのである。これだけを芋おも、いかにむスラ゚ルが「自衛暩」を濫甚したためにかえっお危険を招いおいたかがうかがい知れるだろう。
     なにより、圓時の段階でむラクが本圓に栞兵噚を補造できたかを怜蚌しおいくず、この攻撃の正圓性はいっそう怪しくなる。ハヌバヌド倧孊にリチャヌド・りィル゜ンずいう、䞀貫しおむラクを擁護し続けおいた人物がいる。圌曰く、砎壊埌の残骞を芋るに、原子力発電所はフランス人技術者によっお爆匟補造に適さないよう蚭蚈されおいた。぀たり、1981幎の段階でむラクに栞兵噚補造胜力はなかったのだ。もちろん、フセむンが圓時栞兵噚補造ぞ乗り出しおいたのは確かであるが、䞀方でむラクはNPTに加盟しおおり、1981幎にもIAEAの査察を受けおいた。むスラ゚ル曰く、IAEAの査察官をだたしお査察をすり抜けたのだ、ずのこずだが、この22幎埌にむラクで䜕が起こったかを知っおいる我々にずっおはずうおい受け入れられる話ではないだろう。
     どころか、りィル゜ンはこの攻撃がフセむンの態床をより匷硬にさせ、栞補造を抑止するどころか加速させた、ず䞻匵する。

     りィル゜ンにずっお、むスラ゚ルの急襲はサダムの栞兵噚開発の終わりを告げるものではなく、むしろ始たりを告げるものであった。3ヵ月埌の1981幎9月、サダムはオシラク事件から立ち盎り、むラクが倖囜からの攻撃に察しお脆匱であるこずを思い知らされた。オシラク事件から9幎埌、むラクは栞爆匟補造の盎前にたで至った。
     こうしたりィル゜ンの分析は今日、䞻導的な栞䞍拡散に関する゚キスパヌトにも共有されおいる。コロンビア倧孊のリチャヌド・ベッツは「むスラ゚ルによるオシラク砎壊がむラクの栞兵噚開発を遅らせたずいう蚌拠はない。攻撃はむしろそれを加速させたかもしれない」ず蚀っおいるし、゚モリヌ倧孊のダン・ラむタヌも「攻撃は、サダムの栞兵噚開発ぞのコミットメントを実際に高めたかもしれない」ず䞻匵し、そしおハヌバヌド倧孊のモルフリッド・ブラりトヘッグハマヌも「以前には存圚しなかった秘密の栞兵噚蚈画のトリガヌずなった」ず述べおいる。

    https://www.theguardian.com/commentisfree/2012/mar/25/bomb-iran-nuclear-arms-iraq-israel

     そしお、我々が最も忘れおいけないのは、圓時のむスラ゚ルがすでに栞兵噚を所有しおいたずいう事実である。むラクがそれだけをもっお栞開発に乗り出したわけではない。だが、䞀因であるこずもゆるぎない。その点でむスラ゚ルが「敵の倧量砎壊兵噚開発はどんな状況でも蚱さない」ず述べ、あた぀さえ「自衛暩」を持ち出すのは、あたりに傲慢ず蚀わざるを埗ないのだ。
     もちろん、栞の所有を怜蚎しおいた、ずいう点ではむラクも同眪である。むスラ゚ルであろうず、むラクであろうず、他の囜であろうず、軍事利甚であろうず、平和利甚であろうず、人間は原子力に手を染めるべきではない。これは筆者が日本人だからこそ、身をもっお蚀えるこずだ。
     だが、それ以䞊に悪いこずがある。それは呚囲の囜々に先んじお栞を所有するこずだ。近くに栞を持っおいる囜がなければ、わざわざ栞を持ずうずはしない。しかし、近くに栞を持぀囜があれば、危機感を芚えすぐさた我が囜も栞を持たなければならないず焊る。この結果栞が拡散され、䞀垯に緊匵が生たれおしたう。1969幎にヘンリヌ・キッシンゞャヌは、むスラ゚ルの栞保有が「䞭東に朜圚な危険性を増倧させるだろう」ず危惧しおいた。https://www.nixonlibrary.gov/sites/default/files/virtuallibrary/documents/mr/071969_israel.pdf
     ――いや、わざわざキッシンゞャヌなど匕甚しなくおもちょっず考えれば誰にでもわかる、いたっお簡単な話なのだ。
     それにもかかわらずむスラ゚ルは栞をもち、呚蟺各囜ずの関係を悪化させおきた。匷力な兵噚を持おばどんな盞手にも勝おるだろうずの拙い打算に基づいお栞開発を掚し進めた。泚5
     1967幎に圓時の劎働倧臣むヌガル・アロンは栞匟頭を搭茉したミサむルを芖察した埌、興奮のあたり挔説でこう口を滑らせたずいう。

    「゚ゞプトがどのような歊噚を補造しようず、どのような歊噚を倧囜の支揎を受けお導入しようず、わが囜はこれに察抗できる。倧囜の支揎を受けるこずもあろうが、それがなくずも察抗する」

    セむモア・M・ハヌシュ『サム゜ン・オプション』文藝春秋p213

     䞖界からのプレッシャヌがかけられたむスラ゚ルはその埌栞所有を公蚀せず、䞀方で吊定もしない戊略を採るようになった。埌に銖盞を務めたシモン・ペレスはこの「曖昧政策」に぀いお、このように述べおいる。

    䞖界䞭が、そしおアラブ諞囜が、我々が栞を持っおいるのではないかず疑っおいたす。疑われおいるのならばそれで十分です。疑いだけで十分抑止力になりたす。それでOKなのです。持っおいるず思われれば、敵は攻撃はしおきたせん。

    BSドキュメンタリヌ「蚌蚀で぀づる珟代史」 オシラクオプション 埌線 攻撃はどのように䞖界を倉えたのか2008幎5月11日攟送

     「抑止力」ヌヌこれも「自衛」ず同様叀くから䜿い倒されおきたマゞックワヌドだ。もっずも、その戊略も成功しおいるずは蚀えない。今日のむスラ゚ルの䞭東における最倧の敵むランを芋れば明らかだろう。おたけに、むスラ゚ルはむランに察抗させるために、サりゞアラビアの栞開発を承認するずたで怜蚎しおいるのだそうだ。

     呚蟺諞囜の栞保有を促進する囜が、軍事的緊匵を「抑止」しおいるずはたるで思えない。

    4.歎史的文脈を消したがる敵ずどのように戊うか

     このように「自衛暩」をアメリカに先んじお肥倧化させ続けおきたむスラ゚ルに察しお、どのような戊略を採れば有効な批刀を繰り出すこずができるのか。
     基本的には、垞に歎史的文脈を螏たえながら状況を芋極めるのが望たしい。むスラ゚ルは「自衛暩」ず称しお盞手ぞの攻撃を繰りかえしおいる。先に向こうから攻撃しおきたのだから、我々は正圓防衛しおいるだけなのだ、ず。しかし、起点ずなる攻撃をさらにさかのがっおいくず、むしろむスラ゚ルこそが先制攻撃をしたのだずいう歎史的事実が芋぀かるこずはザラだ。そのような事実を盞手に突き぀けさえすれば、圌らの正圓性は途端に厩れる。だから我々は、目の前の出来事にショックを芚えるあたり蚘憶喪倱に陥るのではなく、冷静に過去に立ち戻っおむスラ゚ルが今たで䜕をしおきたかず問うのが䞀番いい。
     䜕より、むスラ゚ルがこうした歎史的文脈を䞀切消去し、パレスチナ人の存圚すら䞖界から忘れさせようずしおいるからには、なおさら我々はこれに抵抗しなければいけない。むラン・パペはアルゞャゞヌラに寄せた論考「なぜむスラ゚ルはガザ戊争においお文脈ず歎史を消したがるのか」で、このように述べおいる。

     10月24日、アントニオ・グテヌレス囜連事務総長の発蚀がむスラ゚ルの過敏な反発をたねいた。囜連安党保障理事䌚で挔説した囜連事務総長は、10月7日にハマスが行った虐殺を最も匷い蚀葉で非難する䞀方で、それが真空状態の䞭で起きたのではないこずを䞖界に喚起したいず述べた。圌は56幎間におよぶ占領ず、7日に起きた悲劇ずの぀ながりを分離するこずはできないず説明した。
     むスラ゚ル政府はすぐさたこの声明を非難した。むスラ゚ル囜連倧䜿は、グテヌレスがハマヌスを支持し、虐殺を正圓化したずしお蟞任を芁求した。むスラ゚ルのメディアも䞀斉に同調し、囜連総長は「唖然ずするほどの道埳的砎綻の蚌明だ」などず䞻匵した。
     この反応は、新しいタむプの反ナダダ䞻矩疑惑が俎䞊に茉せられたこずを瀺唆しおいる。10月7日たで、むスラ゚ルは反ナダダ䞻矩の定矩を拡倧し、むスラ゚ル囜家ぞの批刀やシオニズムの道埳的基盀ぞの疑問を含めるよう掚し進めおきた。今や、珟圚進行圢の出来事の文脈や歎史を指摘するのも反ナダダ䞻矩ずの誹りを匕き起こすかもしれない。
     こうした出来事の非歎史化はむスラ゚ルや西偎諞囜政府が、倫理的、戊術的、戊略的な配慮から、過去に敬遠しおいた政策を採甚するのを手助けする。
     ぀たり、10月7日の攻撃はむスラ゚ルがガザ地区でゞェノサむド的な政策を掚進するための口実ずしお䜿われおいる。それはたた、米囜が䞭東での存圚感を再び瀺そうずするための口実でもある。そしおペヌロッパの䞀郚の囜々にずっおは、新たな「テロずの戊い」の名の䞋に民䞻䞻矩の自由を䟵害し制限するための口実ずなっおいる。

    https://www.aljazeera.com/opinions/2023/11/5/why-israel-wants-to-erase-context-and-history-in-the-war-on-gaza

     「自衛暩」「テロずの戊い」「反ナダダ䞻矩」――いずれもか぀おはそれなりに正圓性を持っおいた蚀葉だ。しかし、文脈を排陀した濫甚によっお、これらの蚀葉の効力はすっかり萜ちぶれおしたった。単に戊争の廃絶を目指すだけでなく、我々はこれらの蚀葉を元あった状態に戻すためにも、歎史的文脈を粘り匷く匷調しなければいけない。
     その点で冒頭でも玹介した䞉牧の論考は、歎史的文脈のカバヌが䞍十分であるずいう難点を抱え぀぀も、事の本質を正しく突いおいるのは間違いない。

     テロは正圓化されえない。テロ攻撃を受けた偎には、その安党を確保するための措眮をずる暩利もある。しかし過去二〇幎あたり、より倚くの垂民の呜を奪っおきたのは、テロそのものよりも、テロ組織の壊滅を倧矩に遂行されおきた「テロずの戊い」であった。「テロ」ぞの正圓な「自衛」ずしおテロずの戊いが無批刀的に正圓化され続ける限り――その暎力が「戊争」ずは呌ばれなくずも――戊争は無くならない。「戊争のない䞖界」ずいう難問に向け、私たちが取り組むべきこずは、「自衛」や「テロずの戊い」の名のもずに正圓化され、批刀の県差しすら向けられおこなかった暎力に正しく批刀の目を向けるこずだ。

    「戊争のない䞖界は可胜か――目暙を正しく蚭定するために」p249

    脚泚

    泚1加えお蚀えば、「テロずの戊い」をアメリカに先んじお実践しおいたのもむスラ゚ルだったこずを忘れおはいけない。60幎代から70幎代にかけお、むスラ゚ルはアラファト率いるファタハ及びPLOず察峙する䞭で、圌らを「テロリスト」ず呌び殲滅を目指しおいた。こうしたむスラ゚ルの方針が、9.11以降のアメリカの䞭東政策に圱響を及がした面もあるのだ。

    泚2圓時の銖盞メナヘム・ベギンやほかの閣僚たちは䟵攻の決定前に、情報郚からPLOずアブ・ニダルずの間の関係に぀いお知らされおいたが、それを無芖しおいる。さらに、2022幎にモサドの機密文曞が公開されるず、むスラ゚ルが1981幎の時点でレバノンぞの䟵攻蚈画を進めおいたこずが明らかになった。https://www.haaretz.com/israel-news/2022-09-08/ty-article-magazine/.highlight/israels-most-planned-war-historical-mossad-file-details-lebanon-policy/00000183-1dce-d11f-a1e3-5fde579b0000むスラ゚ルにずっおは蚈画実行のための口実が欲しかっただけで、実行犯がPLOかそうでないかはどうでもよかったのだ。

    泚3䞀方でむスラ゚ルの軍情報郚アマンは、䜜戊蚈画が緎られる前に「原子炉が実際に皌働しおもむラクが栞爆匟の補造に成功するにはただ58幎かかるず予枬したが」、ベギンはこれを無芖しお空爆ぞず突き進んでいったずいう。船接靖「むスラ゚ル右掟ベギン銖盞の栞ドクトリンず米犏音掟レヌガン倧統領のシオニズム」『修道法孊』42号p18https://shudo-u.repo.nii.ac.jp/records/2874

    泚4むラク原子炉砎壊に䜿われたのもこのF-16だったが、アメリカはあくたでも防衛のための䜿甚のみずの条件で匕き枡しおいた。むスラ゚ルが「自衛暩」にこだわった理由の䞀぀にこれがあったのだが、その埌たもなくアメリカは凍結を解陀し、F-16四機は䜕事もなかったようにむスラ゚ルぞず枡った。この戊闘機はその埌レバノン䟵攻でも䜿われたし、「テロずの戊い」が䞖界的に始動しおからも珟堎に投入されおいる。

    むスラ゚ルは、ほが䞀幎をかけお、圌らが「ねらい撃ちタヌゲット・キリング」ず呌ぶ䜜戊぀たり暗殺を実行しおきたした。圌らは、指導者だず目される人物を特定し、自動車に爆匟をしかけたり、ヘリコプタヌからのミサむル、16戊闘機からの攻撃によっお殺害したす。二週間前、ハマスのガザ地区における䞻芁リヌダヌ栌であるず圌らが䞻匵した察象に向かっお、これが実行されたした。圌を殺したのです。しかしそれは人々がもっずも密集しおいる地䞊郚分に向けお、16から爆匟を萜ずすものでした――暙的ずなった人物以倖の人々にも損害をあたえるこずは、避けられないわけです。四぀の建物が砎壊されたした。䞀五人が殺害されたした。うち九人は子どもですよ。その埌シャロンは、これを、「ねらい撃ちタヌゲット・キリング」郚隊が実行しおきたなかで、最も倧きな成功をおさめた䜜戊の䞀぀であるず述べたのです。

    ゚ドワヌド・・サむヌド、デヌノィッド・ハヌサミアン『文化ず抵抗』ちくた孊芞文庫p190-191

    泚5䜙談だが、むスラ゚ルの栞兵噚所有を揎助しおいた囜に南アフリカがいる。むスラ゚ルは60幎代埌半たで南アフリカのアパルトヘむト政策を批刀しおいたが、その埌態床を䞀倉し急速に関係を匷化しおいく。第四次䞭東戊争が原因でむスラ゚ルはアフリカ各囜に囜亀を断絶されおいた。そのため、少しでも味方を増やすために急遜南アフリカをパヌトナヌずしお遞んだのだ。䞡者の関係を語る䞊で特筆すべきなのは、栞開発における協力である。南アフリカはむスラ゚ルに栞実隓堎を提䟛する䞀方で、むスラ゚ルは南アフリカに栞匟頭を搭茉するためのミサむルを提䟛するなどしおいた。1979幎にはアメリカの衛星が、南アフリカの領土プリンス・゚ドワヌド諞島付近で栞実隓ず思しき閃光を芳枬した「ノェラ事件」が起こっおいるが、これにもむスラ゚ルが絡んでいた可胜性が濃厚だ。このように密接な関係を結んでいた䞡者ではあったが、1991幎にアパルトヘむト政策が終焉するず南アフリカはむスラ゚ルずの関係を匱め、むしろ芪パレスチナぞず政策を転換しおいく。これはネル゜ン・マンデラ率いるANCがパレスチナ人のおかれた立堎を自囜の黒人ず重ね合わせたのもあるが、同時に南アフリカが栞廃絶に乗り出した事実も芋逃しおはならないだろう。圓時の南アフリカはアパルトヘむト政策だけでなく、栞所有も理由で囜際瀟䌚から孀立しおいた。囜際瀟䌚ずの関係を改善するためには、アパルトヘむトだけでなく、栞兵噚も廃絶しなければいけないず刀断したのだ。そしおこの過皋でむスラ゚ルずの協力関係は匱たり、むしろ南アフリカはパレスチナ関連の政策を積極的に批刀しおいくようになる。もし栞廃絶を実行しおいなかったら、南アフリカはむスラ゚ルに足元を芋られおたずもな批刀ができなかっただろう。この意味で、珟圚むスラ゚ルのゞェノサむドを囜際叞法裁刀所に提蚎しおいる南アフリカの行動の䟡倀は、いくら匷調しおもしきれないほど倧きい。

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