
「5,000万人が消えた」高級ブランド帝国の黄昏――LVMH陥落とZ世代の反乱
過去10年、欧州高級ブランド3強の業績と株価は明暗が分かれました。LVMHは積極的なM&Aで規模を拡大し、株価は2016年末の約181ユーロ(約3.2万円)から2023年春に900ユーロ超(約16万円超)へ急騰。しかし中国市場の需要減速や酒類部門の不振で直近は約390ユーロ(約6.9万円)まで低迷し、時価総額でエルメスやロレアルに逆転を許しフランス首位の座から陥落しました。
リシュモンは「カルティエ」など宝飾需要の堅調さに支えられ、約67スイスフラン(約1.3万円)から一時200フラン超(約3.9万円超)を記録し、直近も約165フラン(約3.2万円)と安定推移を維持しています。一方のケリングは、売上の柱である「グッチ」の刷新難航が直撃し、株価はピークの約827ユーロ(約14.7万円)から約180ユーロ(約3.2万円)へと急落。10年前の水準(約210ユーロ)を下回り、構造的な低迷が際立つ一人負けの推移となっています。
なお、私が直近でパリを旅した時に「ルイ・ヴィトン」のホテル建設も始まっていましたが、シャンゼリゼ通り(103番地)で構想されていた同計画の中止は、ブランドを「トランク・レザーグッズのメゾン」として定義し直し、価値の希釈化を防ぐための戦略的決断です。宿泊業への直接参入は既存の専門ブランド(シュヴァル・ブラン等)に任せ、同拠点は体験型リテールや文化発信を融合した巨大旗艦店へと方針転換されました。
世界全体で過去2年間に約5,000万人もの顧客が高級品市場から離脱したと推計されるなか、インフレや度重なる値上げは中間層を直撃しています。さらに、ステータス消費から「体験・共感」へと価値観をシフトさせたZ世代のブランド離れも重なり、高級ブランドとリテール各社は共に深刻な需要縮小に直面しています。
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