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あなたのお弁当が「おいしくない」と言われる切ない理由


    日々、家族や自らの「おいしい!」のためにキッチンに立っているみなさん、本当にお疲れ様です。

    私は学校栄養士として、毎日、何百人もの子どもたちの顔を思い浮かべながら、栄養バランスもバッチリ、塩分も計算通り!の給食を作っているのですが……ちょっとだけ、私の切ない「悩み」を聞いていただけますか?

    私の調理施設は、所属学校の他に、トラックで少し離れた学校(子学校)に運んで食べてもらう仕組みがあるんです。そこで時々、「なんだか、味が薄くておいしくない気がする…」という声が届くことがあります。所属校(親学校)では同じように作っていて「おいしい!」と言われているのに、です。

    最初は本当にショックでした。「ちゃんと味見をして、完璧な美味しさで送り出しているのに、どうして!?」って、調理員さんと一緒にずっと悩んでいたんです。

    でも、よーく原因を突き詰めていくと、私の腕のせいでも、子どもたちのワガママのせいでもない、「ある物理的な壁」が見えてきました。

    そしてハッと気づいたんです。 「これって、毎日お家で『お弁当』や『作り置き』を作って、家族の『なんかおいしくない』にモヤモヤしているお母さんたちと、同じ悩みなんじゃない?」って。

    今日は、そんな給食現場の裏話と、お家のごはんが「時間が経ってもずっと美味しくなる」ちょっとしたヒントを、みなさんと共有させてください。

    おいしくないのは「時間」と「浸透圧」のせいでした。

    給食って、健康のために「薄味」が基本です。

    なんと1食の塩分は2g!
    ちなみにカップラーメン1個で塩分は約 4.5g 〜 7.0gです。そういったものを食べ慣れている人にとってはどうしても薄いと感じられてしまいます。

    それでも出来立てのときは、湯気と一緒にダシのいい香りがふわっと広がって、その薄味でもものすごく美味しく感じられるんです。

    でも、そこから容器に詰めて、トラックで運んで、チャイムが鳴るのを待って……としている間に、コントロールできない「変化」が起きてしまいます。

    それが、「温度の低下」と「水分の流出(浸透圧)」です。

    特に和え物なんて顕著です。現場できれいに和えても、時間が経つと野菜からじわじわと水分が染み出して、せっかくのタレが底にまるごと薄まって溜まっちゃう。スープや味噌汁も、ぬるくなると不思議と「旨味」を感じにくくなって、塩気だけがポツンと浮いたような、物足りない味になっちゃうんです。

    これ、お家でも心当たりありませんか?

    • 朝、お弁当に詰めたときはあんなに美味しかったのに、お昼に食べたら味がぼやけてる。

    • 前日に作っておいた常備菜、翌日出したらなんだか水っぽくて、家族の箸が進まない。

    「せっかく頑張って作ったのに、なんで……」って、ガッカリしちゃいますよね。でも、責めるべきは自分の味付けセンスじゃなくて、時間が経つことで起きる自然のイタズラだったんです。

    給食現場の工夫から生まれた、お弁当でも使える「味のキープ術」

    この悔しさを解決したくて、私の給食現場でも、冷たいものには大きな保冷剤を乗せたり、時間を逆算してほんの少ーーしだけ塩気を調整したり、毎日試行錯誤を続けています。

    その中で気づいた、お家のごはん作りでも「明日すぐ使える、味がブレないコツ」を、いくつかおすそ分けさせてください。

    ① 「水分を吸ってくれる相棒」をこっそり混ぜる

    ほうれん草の和え物や、お弁当の野菜おかず。時間が経つと水っぽくなるなら、「出た水分をその場でキャッチしてくれる食材」をあらかじめ少し混ぜておくのがおすすめです。

    • すりごま や かつお節

    • 細かく刻んだ切り干し大根 や ワカメ(乾燥のまま少し入れると、野菜の水分を吸って丁度よく戻ります!) これらを少し忍ばせるだけで、翌日になってもお弁当の底が水浸しにならず、味がしっかり残ります。

    • スパゲッティ お弁当で、ハンバーグの下にスパゲッティの麺がかくれていることありますよね?それはおかずから出る水分をキャッチしておいしく食べるための工夫です。


    ② 冷ます料理は「ダシの掛け算」、熱い料理は「スピード勝負」

    人間の舌って、ぬるくなると「旨味」を感じにくくなる性質があるそうです。

    • お弁当や作り置き(冷めるもの): 塩分を濃くするのではなく、かつお+や昆布のうまみを使ったり、仕上げにごま油をひと回しして「香りの膜」を作ってあげると、冷めてもボヤけない満足感のある味になります。ちなみに、給食ではほうれん草のお浸しにちぎった「のり」をまぶしたり、塩こんぶであえた料理が大人気です!!騙されたと思ってやってみてください。ちょっとの量でも香りとうまみがプラスされ、苦手な野菜もペロリと食べてくれます。

    • 苦い野菜(ピーマンなど): ぬるくなると苦味が引き立っちゃうので、お家なら「フライパンから食卓へ直行!」の熱々で出すのが、子どもに苦みを感じさせない一番の魔法です。

    ③ 困ったときは、数滴の「お酢」か「レモン」

    不思議なことに、「酸味」だけは料理が熱くても冷めても、私たちが感じる強さが変わらないんです。 「作り置きの味がなんか決まらないな」と思ったら、お酢やレモン汁をほんの少しだけポタポタと落としてみてください。それだけで味がキリッと引き締まります。
    ただ、緑の野菜は色がくすんでしまいます。「そういうものだ」と思って変化する不思議を楽しんでみてください。

    「出来立て」じゃないときも、美味しい時間を届けたい

    学校で「おいしい!」って笑顔になってもらいたくて悩む私と、お家で「おいしい!」って言ってもらいたくて悩むみなさん。立っているキッチンは違っても、想いはきっと同じですよね。

    毎日完璧に出来立てを出すなんて、働く女性や子育て中のママには絶対に無理です。

    だからこそ、「時間が経つと、こういう変化が起きるんだな」という仕組みをちょっと知っておくだけで、「じゃあ、今回はごまを多めに入れておこう!」って、少しだけ心の余裕を持って料理と付き合えるようになる気がします。

    毎日のごはん作り、お互い完璧を目指しすぎず、使える知恵をシェアしながら、一歩ずつやっていきましょうね。

    今日の給食も、明日のお家のお弁当も、食べる人のところに届くときまで、どうか美味しくありますように!

     
     
    「一人ひとりの土壌をふかふかに耕し、日々に溶け込む幸せの種を分かち合う人」 学校栄養士10年の経験を活かし、「健やかな心身で心地よく暮らす」お手伝い。 自分に合う食選びができるようになると土壌が整い、幸せの芽が出て、豊かな幸せが実ります。健やかな幸せを共有しましょう!✨

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