2016年、MR-TADFはここから始まった
今年読んだ多重共鳴(MR)発光材料の論文を思い返すと、40%を超える狭帯域の緑、10 nmを切る青、33 nm幅の赤まで、そのほとんどが一つの骨格の上に立っています。その骨格は2016年の論文一報から出てきました。
Hatakeyama らによる Advanced Materials 2016, 28, 2777。関西学院大学の畠山琢次教授とJNC石油化学の共同研究で、分子名はDABNA-1とDABNA-2です。
当時、何が行き詰まっていたか
TADFは一重項と三重項のエネルギー差を小さくして三重項を回収する仕組みです。標準的な解法はドナーとアクセプターを結合してねじり、HOMOとLUMOを分子の左右に引き離すことでした。内部量子効率はすでに100%近くに達していました。
代償はスペクトルでした。ねじれたドナーアクセプター分子は励起状態で構造緩和を起こし、発光の半値全幅が70から100 nmまで広がります。NTSCやBT.2020の青色座標に合わせるにはカラーフィルターやマイクロキャビティで削るしかなく、どちらもすでに作った光を捨てる方法です。分子で稼いだ効率をパネルで返してしまいます。
畠山教授のやり方
ドナーもアクセプターもありません。剛直な多環芳香族一つに、ホウ素と窒素を特定の位置に置いただけです。
ホウ素と窒素は電子密度を逆向きに動かします。縮環骨格の中で両者の幾何学的関係を固定すると、HOMOは窒素とホウ素のメタ位炭素に、LUMOはホウ素とそのオルト位およびパラ位の炭素に局在します。回転できる結合をはさんで引き離すのではなく、一枚の平面骨格の中で原子ごとに分離されるわけです。
ねじれる自由度がないため、励起状態でほとんど緩和しません。ストークスシフトはほぼゼロで、発光線は狭いままです。小さな一重項三重項ギャップと狭い発光の両立で、それまで両立不可能とされていた組み合わせでした。
数値
DABNA-1は459 nm、FWHM 28 nm、CIE (0.13, 0.09)、EQE 13.5%。DABNA-2は467 nm、同じくFWHM 28 nm、CIE (0.12, 0.13)、EQE 20.2%、21.1 cd/A、15.1 lm/W。mCBP膜中のPLQYは0.88から0.90、一重項三重項ギャップは0.14から0.20 eV、内部量子効率は約100%と見積もられています。カラーフィルターなしでNTSCの青を満たしました。
たいてい読み飛ばされる一文
合成が市販の出発物質から6 gスケールで実証された、という一文です。2016年の発光材料の論文では目立ちませんが、この概念がどこまで行けるかを決めた一文でもあります。200 mgでしか存在しない設計は結果であり、キログラム単位で発注できる設計はプラットフォームです。その後の緑、赤、深青の誘導体も、増感型の素子構成も、スピロで固定した変種も、この骨格が作れる物質であることを前提にしています。
精製の現場から見て
10年経った今、DABNA-1とDABNA-2はカタログ品です。面白い仕事は骨格に何をつけるかへ移りました。ただし骨格が決めた条件はそのままです。ホウ素窒素多環は昇華できるだけの熱的な丈夫さがあり、だからこそこの系統は商業的に成り立ちました。同時に、ホウ素化の工程で残る微量金属に非常に敏感です。これは設計の問題ではなく精製の問題で、同じ構造の二つのバッチがなぜ違うのかの多くはここで分かれます。
この論文は、今も一緒に発注される素子スタック全体を定義しました。DABNA発光材料、mCBPとmCPのホスト、正孔輸送のNPDとTCTA、電子輸送のTSPO1です。材料セットが10年もつことはそう多くありません。
両化合物のIUPAC名とCAS番号を含む全文はこちら: https://www.lamko.co.kr/research-highlights/dabna-ultrapure-blue.html
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