一つの骨格から五色、MR-TADFが赤に届いた話

多重共鳴効果は、ホウ素と窒素が縮環芳香族骨格の上で互いに逆の共鳴位置に置かれることで生じます。この配置がHOMOとLUMOを別々の原子上に分離し、非常に狭い発光スペクトルを与えます。同時にバンドギャップが広くなります。広いギャップとは、つまり青です。
発光を赤へ動かす従来の方法、共役の拡張やドナーとアクセプターの強化は、いずれもスペクトルを広げます。MR-TADFを選んだ理由である色純度を、そのまま失うことになります。
九州大学の研究チームがしたこと
2020年のJACS論文は、九州大学 稲盛フロンティア研究センターのM. Yang氏、I. S. Park氏、そしてT. Yasuda教授の研究グループによるものです。
チームは置換基で骨格を飾って色を変えるのではなく、ホウ素とカルバゾールを組み込んだ同じ多環骨格の中で、ホウ素と窒素の位置と数を変えました。
para B, N, N 配置はドナーとアクセプターの強さを下げ、青方偏移を生みます。化合物1と2、深青466 nmと空色489 nmです。
para B, N, B および N, N, N 配置は強さを上げ、段階的な赤方偏移を生みます。緑517 nm、黄549 nm、深赤615 nmです。一つのファミリー、一つの合成体系で可視域全体を覆いました。
数字
PL半値幅は五色すべてで16から42 nmを保っています。赤方偏移で最初に壊れるはずだった値です。PLQYはトルエン中85から98パーセント、mCBPドープ膜で79から99パーセントです。
素子性能は青がEQE 29.3パーセント、EL 469 nm、半値幅27 nm。緑がEQE 31.8パーセント、EL 515 nm。赤がEQE 22.0パーセント、EL 616 nm、半値幅26 nmです。
CIE座標は青0.12, 0.18、緑0.26, 0.68、赤0.67, 0.33。BT.2020対応の三原色が一つの発光体ファミリーから出ています。熱分解温度は409から533度、すべての化合物が市販原料から2から3工程です。
昇華精製の側から見た意味
私たちはこうした材料を実際に昇華し、精製しています。ですからこの種の論文でまず読む二行は、熱分析データと合成経路です。
昇華温度の近くで分解が始まる材料は、坩堝の中で毎回苦労する材料であり、収率もその分落ちます。Tdが400度から500度の範囲にあるということは、これらの構造が実際の昇華工程の温度に耐えるということです。
短い合成経路は、別の理由で重要です。短い経路はスケールアップを正直にします。3工程の化合物なら、5 gロットと50 gロットはたいてい同じ挙動を示します。長い経路では小さな差が積み重なり、その差は素子を作ってみて初めて表に出ます。
IUPAC名、分子式、素子構造を含む詳細はハイライトページにあります。
https://www.lamko.co.kr/research-highlights/bbcz-full-color-narrowband.html
出典: Yang, Park, Yasuda, Journal of the American Chemical Society, 2020, 142巻, 19468頁