
朝日だけが知っている
父子家庭を描いた感動ものドラマがある。
でも、俺は嫌いだ。
ああいうのを観て感動するのは、
幸せな家庭の人だけなんじゃないのか?
俺は母子家庭に育った。
子供の頃から、家事全般をやってきた。
父子家庭になっても困らないための
布石だったのかもしれない。
子供の頃、友達の家族旅行の話がうらやましかった。
そんな家庭に憧れたものだ。
しかし、今でも家族旅行どころではない。
息子と近所を散歩しても、
ひとたび癇癪を起され騒がれたら、
俺はまるで誘拐犯である。
よく今まで、通報されなかったものだ。
しがないサラリーマンの俺。
給料は最低でも、
上司の嫌味は最高だ。
昨日は息子の支援級の担任に
親の俺が注意されてしまった。
情けない。
誰も褒めてなんてくれない。
息子からも感謝なんかされない。
そもそも、自閉症児とは会話が成立しない。
こんな生活、ドラマなんかになるはずもない。
だから、作り物の父子家庭ドラマは嫌いだ。
今朝も、息子の弁当を作る。
古く狭いアパート。
唯一気に入っているのは
朝日が差し込む、この台所。
朝日だけが
「頑張ってるよ」
と励ましてくれているように感じるから。