
育成における『安全基地』と『ストレッチゾーン』 ― 成長の環境をどう作るか
こんにちは、今回は「人材育成・キャリアの応援団」のアールです。
先日、企業の研修ご担当者が「育成は優しい方がいいのか、厳しい方がいいのか悩む」とおっしゃっていました。
厳しさをはき違えるとパワハラにつながり、優しさをはき違えると若手の仕事への意欲低下へつながる…悩みどころですね。
成長に必要なのは「優しさ」か「厳しさ」か
では、皆さんは人が成長するために必要なのは、「優しさ」と「厳しさ」のどちらだと思いますか?
私は「どちらも大事」だと思います。さらに言うと、どちらも「必要」だと考えています。
その理由を、少し懐かしい10年前の映画を例にお話しします。

映画「ビリギャル」に学ぶ成長の秘密
映画「ビリギャル」は2015年上映され、学年最下位の女子高生が、猛勉強の末に慶應大学に合格するまでを描いた実話ベースの物語です。
多くの人がこの映画から思い浮かべる成長のキーマンは、「母親」と「塾の先生」である坪井先生の存在でしょう。
確かに、この2人のサポートは欠かせませんでした。
安全基地となった存在
母親は、主人公を「この子にはこの子の良さがある」と全面的に肯定します。
どんなときも味方でいてくれる。
その姿は、人生の荒波を渡るための「安全基地」そのものでした。
伴走するコーチ
一方、予備校の坪井先生は主人公に合わせた独自の方法論で導き、正しい方向へ押し上げていきます。
「どうすればこの子は伸びるか」を真剣に考え抜き、本人の自発的行動を導く姿は、育成に携わる人なら誰もが学ぶべき理想的なコーチ像です。

実はもう一人、重要なキーマンがいた
でも私は、この2人だけでは主人公の成長は実現しなかったのではないかと思っています。
実はもう一人、欠かすことができないキーマンがいるのです。
それは――学校の担任の先生。
彼は主人公を全面的に否定し、「どうせ無理だ」と突き放しました。
もちろん、バカにすることは決しておすすめできません。
しかしその厳しい言葉こそが、主人公に危機感を芽生えさせ、行動を変えるきっかけになったのです。

現実の厳しさを見せる存在
映画では、楽観的な主人公が、担任の先生から母親が責められているところを目撃したシーンがありました。
主人公は勉強始めた当初、「まあ頑張れば何とかなるんじゃない?」という楽観的で軽い雰囲気だったのです。
ですが、「自分を守ってくれる人にもこんなつらい思いをさせる」という現実の厳しさを目の前で見せつけられたことをきっかけに、「今のままじゃダメだ」と本気モードに変わっていきました。
成長を後押しする「優しさ」と「厳しさ」
学習心理学では、人が成長するのは「コンフォートゾーン(安心領域)」と「パニックゾーン(過度な恐怖)」の間にある「ストレッチゾーン」だといわれています。
ビリギャルでは
母親=安心して戻れる安全基地。
担任の先生=ストレッチゾーンへ押し出す厳しさ。
坪井先生=そのゾーンで正しく導く伴走者。
この三者が揃ったからこそ、主人公は奇跡のような結果を手にしたのではないでしょうか。

まとめ
成長に必要なのは「優しさ」と「厳しさ」。
どちらか一方ではなく、両方があって初めて人は本気になれる。
安心して挑戦できる環境と、現状に甘んじないための刺激。
この両立こそが、成長を最大化するカギだと私は思います。
人材育成計画では、この2つのバランスを常に意識しながら組み立てる必要があるのではないでしょうか。
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