
#5-10 Like cures like. フランス語で



英語の格言や医療の格言(同質療法・ホメオパシーの原理など)として知られる「Like cures like.(類は類を治す、毒をもって毒を制す)」は、フランス語で次のように表現します。
Le semblable guérit le semblable.
(ル サンブラーブル ゲリ ル サンブラーブル)
構成する単語の意味、文法、および英語表記の解説は以下の通りです。
構成単語の意味と文法
1. Le(ル)
文法: 定冠詞(男性単数形)。形容詞を名詞化するために使われています。
日本語: その(日本語には訳しません)
英語: The
2. semblable(サンブラーブル)
文法: 本来は形容詞(似ている、同様の)。ここでは定冠詞 Le がつくことで「名詞化(男性名詞・単数)」されており、「似たもの」「同質のもの」という意味になります。
日本語: 似たもの / 同質のもの
英語: Similar thing / Like
3. guérit(ゲリ)
文法: 第1群規則動詞(-er動詞)または第2群動詞(-ir動詞)に似た活用をする、動詞 guérir(治す、癒やす)の直説法現在・三人称単数の形。
日本語: 治す / 癒やす
英語: Cures / Heals
4. le semblable(ル サンブラーブル)
文法: 構造は1・2と同じですが、ここでは動詞 guérit の「直接目的語」として機能しています。
日本語: 似たものを / 同質のものを
英語: Like / The similar thing

「Le semblable guérit le semblable.」の冒頭が Le(男性単数・定冠詞)である理由は、本来は形容詞である semblable(似ている)を「似たもの」という一つの名詞(主語)に変えるためです [Licensed Media Service: fetch_images]。
フランス語の文法規則に沿って、3つのポイントで分かりやすく解説します。
1. 形容詞を名詞化するルール
フランス語では、「定冠詞(le / la) + 形容詞」の形にすることで、「~なもの」「~なこと」という名詞として扱うことができるルールがあります。
semblable(形容詞:似ている)
le semblable(名詞化:似ているもの、同質のスジ)
英語でも the rich(金持ちの人々)や the beautiful(美なるもの)と言うことがありますが、フランス語ではこれがさらに日常的によく使われます。
2. なぜ女性形の「La」ではなく、男性形の「Le」なのか
フランス語で具体的な性別がない「抽象的な概念」や「一般的な事象」を名詞化する場合、文法上は一律で「男性名詞(単数)」として扱うという決まりがあります。
そのため、女性単数形の La ではなく、男性単数形の Le が選ばれています。
le vrai(真実 = 正しいこと)
le beau(美 = 美しいこと)
le semblable(同質 = 似ていること・もの)
3. 文法上の役割(主語の確立)
この文の動詞は guérit(治す)です。フランス語の文では、命令文を除いて必ず動詞の前に「主語」が必要です。
単に Semblable guérit... と始めてしまうと、主語(名詞)ではなく形容詞がいきなりポツンと置かれた状態になり、文が成立しません。頭に Le をつけることで初めて、「似たものが(主語)」という意味の塊が完成します。
