
【エッセイ】料理に役立つ思考様式
私はそれなりに長い期間、料理をしてまいりましたので講釈を垂れるのは現社会に有益だと判断し公開の決断をしました。noteに点在する全料理家を虜にする為、拙くも儚い知見を与えようと重い腰をあげました。
それと今回の駄文を創作大賞2026へと応募し、私は静かに日常へと戻る所存であります。未だに御社と弊社がパッと分からない私ですがよろしくお願いします。
まず献立を決めまして、近くのスーパーに行きましょう。近いのは大事です。私はかつて都内でアルバイトを探していた際、徒歩5分で現着できる場所を見つけたので面接のおっさんに素直に動機を『近いから』と伝えましたが特に言及はされず普通に受かりました。翌日は知らぬ人らの朝礼に加わり所在なさげに身体の前面で指を絡め段取りを聞き、一応2割ぐらいは理解した面持ちで現場各所を巡回し2.7割ぐらいまで理解度が上昇。私は『こんなんでお金もらえるんじゃ笑』と初仕事を終え、浪花節ひびく商店街へと徒歩で消えた。
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近隣のスーパーは3件ありますが、いずれも入口からいちばん近い所に野菜コーナーがあります。現政権が立案した暫定的な措置だそうです(嘘)
昨今は自動ドアー付近でキャリア契約を目論むセンター分けの微妙な若者が身体を倒しながら接近してきますが紳士的に片手をあげ断りを入れましょう。不機嫌な顔をするのは人生全体を見回した場合ラッキー&ハッピーが宇宙の道理である引き寄せの法則に従い減少します。しかし余程気分が良いなら彼等の提供する児戯の代表格である射的等に参戦し、結果如何によっては『やったぁあああ勝ったぁあああ‼️ 犬のお腹がハハハハハ‼️ 腹筋つかってハハハハハ‼️ 犬のマネして〜/スタッカートの練習を〜/始め〜ま〜しょ〜‼️』と叫び次なる冷静への足掛かりにしましょう。
カートとカゴが置かれるデッドスペースはお年寄りにより混雑を極めるので、敬いの精神から取るタイミングはしっかりと見極め場合によっては『アッスミマセン』とセンターを掻き分けつつ慇懃につとめます。
悔恨の儀――の時間です。私は数年前、今は亡きスーパーの店先で陽光の注ぐ野菜を選別していたらおばさんに『玉ねぎ高ぉなったねぇ』と言われ返事に窮し『ですねぇ(比較材料不在)』と答える他ありませんでした。
野菜を見繕ったら華麗に練り物コーナーをスルーし加工肉コーナーに到着したらそそくさと回想モードに入り『そういやァ、数年前に貰った中元のハムを一気食いしたら体調芳しくなかったなぁ』等の記憶を掘り起こし一線を引き、財布に搭載されたAIモードと相談し、事と次第によってはチーズinウインナーをカゴにinして東方へ消ゆ。
精肉部門では高確率で逡巡を重ね一歩も動かず積極的にこちらをキレさせようとする御仁に遭遇するので、途中途中で読書を挟みストレス指数を68%軽減するか用事のない文房具コーナーに一時避難する事を念頭に置いておいてください。経験上、指数が40%代でも問題なく買い物自体は続行できます。
果汁グミをカゴに入れたら生乳コーナーへと赴き、お次は泣いて馬謖を斬る編です。それというのがおそらく環境省が推奨する『テマエドリ』という概念を知らぬまま育ちそれでいて若干負い目を感じてそうなおばさんが棚の奥をまさぐる動作に対する反論をグッと堪える必要性について。しかし料理により培った想像力を駆使すると、彼女にも家族が在り、さするべき犬のお腹もあるでしょうから断罪の斬馬刀は練り物コーナーに置き、次は和菓子とか見に行きましょう。
あなたの心配は分かります。当ててあげましょう誰かに蜂蜜酒を盗まれたワケではなく『あんまり軽いもん買ったらセルフレジで認識されず店員が飛んできて気まずい』ですね分かりました。それも大事な社会性なんじゃけえちゃんとせぇ笑 コミュニケーションよコミュニケーション笑
私の住む地域では次第に愛着の湧く動物の声をレジのピッ音に割り当てておりまして、『メエェ』や『モオ〜』や『アヒヒィン!』や『ニャー』が鳴り響くあの一角はいつも異質な雰囲気を放っております。
買い物を無事に終えたらいかにもアームが緩そうなクレームゲーム(ママ)を一瞥し、大人の目線により価値を失った原色に近い人形を尻目に瞬間子ども時代へと遡行しガチャポンコーナーを見渡しダンボールを選ぶ爺の後頭部にデコピンを入れ謎多きドライアイス精製機の仕組みを今日も知らぬまま気まずいのでキャリア誘致が居る方の反対側から退店し手際のいい買い物結果に自ら泥を塗りながら車内へと戻りました。
料理は手順さえ守れば特に苦労しないので、後はマンネリに陥らない気概さえあればなんとかなります。
【あとがき】
当エッセイはフランツ・カフカの『流刑地にて』を数ページ読んでいたら着想を得ました。審査員さん、私のエッセイなんかよりカフカを読むべきだ。面白い面白くないとかじゃなく、読んでる内に『あっ、私もやんなきゃ』……と思わせてくれる。彼にはそんな力があるのですよ。