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迎え仮名もあります

    「迎むかえ仮名」は怒っていた。
    怒りの対象は「送おくり仮名」である。


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    学校や社会生活では「送り仮名」ばかりが扱われる。
    そもそも「迎え仮名」という存在を知らない人の方が圧倒的に多いだろう。



    この記事は、「迎え仮名」の気持ちを汲くみ取り、みなさんに、

    「『迎え仮名』って便利なんですよ」

    と伝えたくて書いたものである。



    この記事について⬇️⬇️

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    ❶「送り仮名」を再確認!


    「迎え仮名」について語る前に、まず「送り仮名」を確認したい。



    「送り仮名」とは、以下のものだとご存じだろう。


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    「送り仮名」を簡潔に説明するなら、

    単語を漢字で書く場合に、漢字に添える平仮名のこと

    といえよう。

    「送り仮名」は学校教育でも漢字検定でも頻出で、誰でも勉強したことがあると思われる。


    ↓漢字検定で「送り仮名」を勉強していらっしゃる方

    こんばんは☺
    漢字検定の勉強終わりました✏
    今日は送り仮名と誤字訂正の問題を
    メインに解きました!
    失敗してもなんのその😉
    また明日復習します😊

    今日も一日お疲れさまでした🌛 pic.twitter.com/hAtND6nX0V

    — cacao99% (@PqdecOPPBkuSf69) June 5, 2023




    というわけで、いったんまとめ。

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    ❷迎え仮名とは?

    「『迎え仮名』って何?」

    という声が聞こえてきたので説明したい。




    「三重」という言葉を例に挙げよう。


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    「三重」のままでは、「三重さんじゅう」と読むか「三重みえ」と読むかわからない。




    そこで、「三重」の上に、「サ」とつける。

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    これで、「三重さんじゅう」と読むことがわかる。



    この「サ」を「迎え仮名」という。

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    他の例も挙げよう。

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    「迎え仮名」とは、

    漢字の上(横)に添えられ、漢字の読みを確定・・・・・・・・させるもの

    なのだ。

    【補足】
    
    「振り仮名みたいなもの?」と思った人。
    その解釈で合っています。
    
    振り仮名と迎え仮名は、”役割の面で”似ています。




    「迎え仮名」と「送り仮名」のイメージとしては、

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    このような感じだろうか。



    「ふーん。でも三重さんじゅうと三重みえなんて、文脈で判断できるんじゃない?」

    と思う人もいるかもしれない。




    たしかに、下記の文2つを見ても、文脈で判断できそうである。

    ◆器が割れないよう、緩衝かんしょう材で三重に包む

    ◆三重にある伊勢神宮に行った



    では、次の文はどうだろうか?


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    この文は、二通りの解釈ができる。

    ◆「人気にんきのない遊園地」
    ◆「人気ひとけのない遊園地」



    しかし、「迎え仮名」を使えば・・・・・・、

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    「人気ひとけのない遊園地」とスムーズに読める・・・・・・・・のだ!




    「でもさぁ、やっぱり文脈で判断できるでしょ?」

    という人がいることは承知している。
    そんな人にとどめをさしたい。




    次の表現を見て、誰のことか2秒で・・・判断できるだろうか?


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    この表現では、

    ◆菅かん元総理大臣(菅直人さん)
    ◆菅すが元総理大臣(菅義偉さん)

    のどちらのことかわからない。





    しかし、

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    と「迎え仮名」を使えば一瞬で・・・菅すが元総理大臣のことだとわかる。


    二通りに解釈できる読み方も、「迎え仮名」が使ってあれば読み手もすぐ判断できる。



    エッセイストの岸本洋子さんは、『日本語文章がわかる。』(アエラムック)で、文を読んでもらうことについて次のように述べている。


    読み手は、書き手とはまったく違う状況、思考回路で、書かれた文章の前にいるのです。その読み手に、自分の書いたものを読んで理解してくれと突きつけることは、相手に努力を要求することです。

    アエラムック (85)『日本語文章がわかる。』p88
    朝日新聞社
    2002年11月1日


    わかりにくい表現、二通りに解釈ができる表現では、相手に『高度な努力』を要求することになってしまう。

    しかし、「迎え仮名」を使えば、読み手の負担(漢字を読み分ける負担)を減らすことができるのだ。


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    ❸迎え仮名の嫉妬


    「送り」と「迎え」は、セットで使われることが多い言葉である。

    ◆送迎・・バスを使う
    ◆子どもの送・り迎・え
    ◆会社の歓送迎・・会

    しかし、「仮名」という言葉とセットになった場合は「送り仮名」ばかり使われる。




    それに対し「迎え仮名」は腹を立てている。
    業を煮やしているのだ。


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    「迎え仮名」は、戦う決意をした。



    そこで「迎え仮名」が思い出したのは『孫子そんしの兵法』で有名な孫子の言葉である。

    「迎え仮名」は漢文が好きだったからだ。


    敵を知り己を知れば百戦危うからず

    (敵の実力や現状を知り、自分のことをわきまえて戦えば、何度戦っても勝てる)

    「送り仮名」を倒すには、まずは相手のことを知る必要がある。

    「迎え仮名」は早速、辞書で「送り仮名」の意味を調べてみた。
    すると、衝撃の事実・・・・・が明らかになる。



    (以下、引用部分の傍点は私がつけました)


    【送り仮名】

    漢字の読み方をはっきりさせる・・・・・・・・・・・・・・
    ために、その字の下につけるかな。

    『日本国語大辞典』(第二版)第二巻
    「送り仮名」の項


    【送り仮名】

    漢字の読み方・・・・・・
    、特に語末を明らかにするために漢字のあとにつけるかな

    『新明解国語辞典』(第四版)
    「送り仮名」の項


    【送り仮名】

    漢字と仮名を交えて日本語を書く場合に,その漢字の読み方を明らかにする・・・・・・・・ために添えるもの(後略)

    『日本語学大辞典』
    日本語学会/編(東京堂出版)2018.10
    「送り仮名」の項


    そう、「送り仮名」とは、漢字の読みを確定させるもの・・・・・・・・・・・・・なのだ。



    たとえば、

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    この「細」という漢字。

    「ほそ」とも「こま」とも読める。



    「細」だけでは読み方はわからないが、


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    このように「送り仮名」がついていれば、一目瞭然。

    ◆細ほそい
    ◆細こまかい

    と読み方を確定することができる。



    他にも、

    『哀』

    ◆哀かなしい
    ◆哀あわれ

    『行』

    ◆行いった
    ◆行おこなった
    ※『行おこなった』と送り仮名をつけることもできます。

    といった例がある。


    漢文が好きである「迎え仮名」は、高校の授業を思い出した。


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    ⬆縦書きです


    Aの漢文にもBの漢文にも「過」という字が使われている。
    このままでは、なんと書いてあるかわからない。


    が、ここに「送り仮名」をつけると・・・・・・!


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    それぞれの「過」の読み方は、

    ◆過あやまちて

    ◆過すぎたるは

    とわかる。
    このことからも、

    「送り仮名」は漢字の読み方を確定させるもの

    ということが改めて確認できるのだ。



    このことを知った「迎え仮名」は思う。


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    と・・・・・・!



    このように「迎え仮名」は”話せば理解してくれる”ヤツでもある。
    そのうえ、「文章を読みやすくしてくれる」、”頼れる”ヤツでもある。



    こんな「迎え仮名」、日常で使ってみてはいかがでしょうか?



    【2023年6月15日:追記!】

    コメントで、

    「迎え仮名」は知らない人がほとんどなので、使う前に知名度を上げた方がいいのでは?☺️

    というご意見をいただきました。
    まったくもってそのとおりだと思います笑😅



    まずは学校などで「迎え仮名」について学ぶ機会を作ることが必要ですね!!


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