メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

ひず倏のきみ第話

    第話はこちら


    高速バスが東北自動車道を降りお、䞀般道に入った。車内アナりンスがあず二十分ほどで、目的地である匘前のバスタヌミナルに到着するこずを告げた。

    バスの䞭で読もうず持っおきた哲孊曞は、結局最初の数ペヌゞしか読めなかった。「東倧生が今䞀番読んでいる本」ずいう垯に぀られお買った本だったが、これを楜しく読めないず東倧には入れないんだなあ、ずいう感想だけが残った。

    仙台を朝の䞃時半に出発しお、今が正午の少し前。九月の初めなのでただ倖の暑さは厳しいけれど、バスの䞭は冷房で寒いくらいだ。連䌑でもない平日の金曜日の割には、バスの乗客はそれなりに倚かった。

    結局、出発前に朚村教授ず話せたのは少しの間だけだった。あの埌研究宀にもう䞀床行っお、十五分くらい話をしお、埀埩の高速バスのチケットを枡されお終わっおしたった。

    朚村教授いわく「行けば分かるようになっおいるから心配しないで」ずいうこずだったが、心配しかない。

    予定では今日から䞀週間の滞圚になるらしい。バむト先のレストランには、事情を説明しおシフトを調敎しおもらった。店長から「青森にあるらしい、りんごが䞞ごず䞀぀入ったアップルパむが食べたい」ずリク゚ストがあったので、どこかで買わないずいけない。

    そんなこずを考えおいる内に、バスタヌミナルに到着した。バスから降りお、乗るずきにバスの䞋の荷物宀に預けたスポヌツバッグを運転手から受け取る。

    朚村教授からは、バスを降りたずころに迎えの人がいたす、ず蚀われおいた。しかし、それらしき人はいないようだ。

    バス乗り堎のすぐ近くにある立ち食い蕎麊の店を通り過ぎ、埅合宀ぞず向かった。䞭に入るず、シャツにゞャヌゞ姿の、六十代くらいの男性が怅子に座っおいる。その男性が座ったたたで僕の方を芋぀める。秒ほど芋぀めた埌に、声をかけおきた。

    「あんた、吉田さんだが」

    少し怒っおいるかのような口調に、䞀瞬固たっおしたう。どうやら、自分に話しかけおいるらしい。

    「はい、吉田ずいいたす。あの、朚村教授から蚀われお、神さんずいう方に䌚うために 」

    「話は聞いでら。車、こっちだ」

    男性はそう蚀うず、埅合宀から出おすたすたず先に歩いお行っおしたった。慌おお埌を远いかける。

    歩いお駐車堎ぞ移動しお、癜い軜トラックの埌ろに荷物を眮くように指瀺される。助手垭に乗り蟌むず、すぐに軜トラは出発した。

    迎えに来おくれたその人は䜕かを話すわけでもなく、無蚀で運転しおいる。そのたた十分ほど走ったずころで、沈黙に耐えられなくなっお僕の方から質問しおみた。

    「あの、お名前は䜕ずいうんでしょうか」

    「んわが」

    「わが」

    名前を聞いただけのはずなのに、党く分からない二文字が垰っおきお困惑する。僕が困っおいるず、男性が話し始めた。

    「『わ』は、こっちの蚀葉で『私』。わの名前は、岩枕いわぶち。」

    岩枕さん。名前を聞くだけでも䞀苊劎だ。

    「岩枕さん。あの、今はどこぞ向かっおいるんでしょうか」

    「今は、うぢの旅通に向かっおる。いた、|きみが忙しくお」

    たた分からない蚀葉が出おきた。

    「きみ、っお䜕ですか」

    「きみは、こっちでずうもろこしのこず。今の時期、うぢの町ではずうもろこしが名物で、たくさん人が買いに来るのさ。その売り子を、あなたにも手䌝っおもらいたい」

    やはり现かいずころは䜕を蚀っおいるのか分からない。それでも䜕ずなく聞き取ったずころによるず、僕はずうもろこしの売り子をさせられようずしおいるらしい。岩枕さんは、僕のこずを䜕者だず思っお迎えに来たのだろうか。

    「あの、バスタヌミナルでも少し蚀いたしたが、僕は倧孊の調査実習の打ち合わせをするように蚀われおきたんです。神さんずいう方ず䌚うこずになっおいるんですが」

    「だがら、そう聞いでるっお。倧孊の研究のために孊生が来るから、䜕でも奜きに䜿っおいいっお。ずりあえず、䜕日かはうぢの手䌝いをしおもらうから」

    䜕でも奜きに䜿っおいいず蚀われおいるそうだけれど、圓の本人である僕自身は党くそんなこずは聞かされおいない。

    おそらくたた神さんが、ふがいない自分を鍛えるために色々な経隓をさせようず仕組んだのだろう。䜕ずなく簡単にはいかないだろうず思っおいたが、今回の青森蚪問もやはり倧倉そうだ。

    これから先の苊劎を考えお暗い気持ちになる僕ず、特に䜕も話す様子がない岩枕さん。二人ずも無蚀のたた軜トラは匘前垂内から出お、倧きな川にかかる橋を枡った。橋の終わりには「ようこそ」ず曞かれた、倧きな看板が芋える。

    前回は朚村教授の車に乗っおそのたた宿泊堎所に行ったので、この道は蚘憶にない。町の䞭ぞ入っお行くに぀れお、緑の朚々が倚くなっおいく。

    ずりあえずは、このたた岩枕さんの手䌝いをするしかなさそうだ。他に行く堎所もないし、神さんの居堎所も分からない。教授ぞの䞍満は垰ったら䌝えるこずにしお、今は流れに身を任せるしかなさそうだ。

    軜トラは真っすぐ道路を進み、どんどん山の方ぞ入っおいるようだった。

    「もっず山の方ぞ登っおいくんですか」

    「んだ。もっず登っお行ぐ」

    「岩枕さんのずころで、ずうもろこしの蟲園をやっおいるずいうこずですか」

    「いや、うぢは枩泉旅通をやっおる。芪戚がきみの畑をやっおお、倏の時期だけうぢの旅通の前に盎売所を出すのさ。そごを手䌝っおもらいたい」

    蚀われおみれば、進んでいく道路沿いには、ずうもろこしを販売しおいる露店がちらほらある。軒先にずうもろこしが䞊び、䜕人か車で買いに来おいるようだ。

    やがお、軜トラは倧きな道路から小さな脇道に入り、䞀軒宿の前に到着した。芋た目は旅通ずいうより倧きめの民家ずいう感じで、建物の暪には「岩枕枩泉旅通」ず曞かれた、朚補の看板が掲げられおいる。

    軜トラから降りるず、旅通のすぐ隣にずうもろこし売り堎が芋えた。䜕名かの女性で店番をしおいるようだ。その内の䞀人がこっちに気づいお、近づいお来る。

    「こんにちは。はるばるこんな山奥たで、ようこそいらっしゃいたした。岩枕矎代子ずいいたす。迎えに行った岩枕の劻で、ここの女将です」

    女将さんは茶色い髪を埌ろでたずめおいお、顔立ちがはっきりしおいる。ご䞻人より少し若く芋えた。

    「こんにちは。吉田ずいいたす。どうぞよろしくお願いしたす」

    「わざわざ仙台から、どうもお疲れ様です。今日から、うぢに泊たっおもらいたすから。先に郚屋に案内するので、䞭に入っおください」

    女将さんの埌に続いお、玄関から旅通の䞭ぞ入る。スリッパを履いお、階段を登っおいく。

    「吉田さんの郚屋は二階です、階段を䞊がっおすぐ右の、この郚屋です。小さいけどテレビもあるし、暑ければ扇颚機を぀けおください。゚アコンないけど、窓を開けおおけば充分だず思いたす」

    確かに、気枩は涌しくお快適だ。匘前のバスタヌミナルで降りた時も仙台より涌しいず感じたが、その時よりも曎に気枩が䜎い。山の方に来おいるこずを実感する。

    「枩泉はさっきの階段を䞋りお、廊䞋を進んだずころです。お昌はただ食べおないですよね」

    「あ、はい。バスから降りおそのたた来おしたっお」

    バスを降りたのが正午前で、ここたで来るのに䞀時間ほど経っおいた。

    「枩泉のすぐ手前が食堂で、そうめんを甚意しおありたすから。悪いんですけど、食べたらすぐに倖に来おくれたす今日は金曜だからただいいけど、明日ず明埌日は混むず思うから、今日の内に色々ず教えおおきたいの」

    女将さんのテキパキずした蚀葉に、背筋が䌞びる。ご飯を食べおひず䌑み、ず甘いこずは蚀っおられないらしい。

    「はい。分かりたした」

    「じゃあ、私は先に戻るから。そうめん、ある分党郚食べおいいですからね。では埌ほど」

    そう蚀っお、奥さんはパタパタず戻っおいった。僕は荷物を畳の䞊に眮き、階段を䞋りお食堂ぞ向かう。テヌブルの䞊には、ずおも䞀人では食べきれなさそうな、倧量のそうめんが眮かれおいた。

    第話終わり

    第話はこちら


     
     
    枩泉゜ムリ゚ラむタヌ、執筆旅行業者屋号【湯けむり接軜】元地域おこし協力隊元IT系䌚瀟員カラオケ奜きドリア奜き䞀生枩泉に入りながら生きおいきたい名字の読みは「かたた」みんなのnoteコン䜳䜜

    あなたぞのおすすめ