メインコンテンツへスキップ
見出し画像

チャリで五分。 どっちも嫌

    「ハル、見てー! これ」

    ソファでテレビを見ていたら、買い物から帰ってきたアオが、横からスマホを突き出してきた。

    「何?」

    画面には、スーパーのパン売り場に貼られた一枚の紙。

    『○月○日にカレーパンをご購入のお客様へ
    誤って中身があんこの商品を販売してしまいました。返品・交換いたしますので、レシートまたは現物をお持ちください』

    「さっき撮った」
    「これは驚くな」
    「なー!カレーパンかと思って食ったら、中身あんこって」

    アオはケラケラ笑った。

    少し考える。

    「……どっちがマシかな」
    「はあ?」
    「いや、あんドーナツかと思ったらカレーパンだった時と、カレーパンかと思ったらあんドーナツだった時」

    「……ええ?ハルは?」
    「あんドーナツかと思ったらカレーパン」

    「えー! 俺、逆〜」
    「なんで?」
    「甘いの食べたい口になってるのに、カレーはキツくない?」

    「そう? 俺は甘いと思って食べたらカレーの方がまだ許せる、と思う」
    「へえ〜」

    二人で、しばらく無言で写真を眺める。

    「でも、どっちにしろ嫌だな」
    「だな」

    一体、何の話だったんだろう。



    ▶︎他のお話はこちら


     
     
    小説とエッセイを書いています。 映画、漫画、音楽、AI、日々のあれこれ。 連載『胡乱な男』更新中。 だいたい好きなものの話をしています。 創作アカウント: 円融もあります。 https://note.com/right_gnu7444

    あなたへのおすすめ