
つれづれ
2026年07月31日(金)
いよいよ金がなくなり、喫茶店での仕事も難しくなったので、家で文字を打ったり資料を読んだりしている。
思い浮かぶのは熱海の温泉と、夕食に出た茄子のこと。朴葉の上へ輪切りに乗せられた茄子に素朴な田舎味噌を塗り、上に鰆と野菜を置いたものを、手鉢の炭火で温めて食べる。
鰆という魚は読んで字の如くに春が旬で、今の時分は産卵後で脂が落ちているものだが、どうしてどうしてこの晩提供されたそれは驚くほどに脂が乗っていた。
滴る脂は茄子を皿に受け止められ、そこに旨味を与える。
茄子というのは脂と相性のよい野菜だから、しっかりと脂と旨みとを吸って、実に佳い味になっていた。
炭火で炙られた朴葉の香りがまた、臭みを消して抜かりはない。
こういう逸品で舌を楽しませることのできただけでも、旅の甲斐があったというものである。