メインコンテンツへスキップ
見出し画像

集団の中で指示を理解して実行するって、めちゃくちゃ高度だ〜!

    保育園や幼稚園、あるいは学校の先生に
    「指示の理解が難しいみたいです」
    「指示に従えずに行動が遅れてしまいます」
    と言われることはありませんか?

    あるいは、子どもと関わる仕事をしている方は、そんなお子さんに困った経験があるかもしれません。

    「集団の中で指示を理解して、実行する」というタスクには、いったいどのような力が必要なんでしょうか。


    先生の指示に合った行動をする、その時の脳機能

    例えば先生が
    「お道具箱から折り紙と、クレヨンを持ってきてください。持ってきたら自分の席に座ります。おしゃべりはしません」
    と言ったとします。

    その時、次のような過程を経て、指示の理解と実行をしていきます。


    ①指示を聞き取る
    先生の言葉に注意を向け、耳からの情報を脳で受け取ります。

    ②言語理解と意味の把握
    「お道具箱」「クレヨン」「折り紙」「自分の席」といった語彙や概念を理解します。

    ③状況判断と意図の理解
    「きっとこれから制作をするんだろう。だから先生は、その道具を持ってきてほしいんだな」と意図を予測したり、実行する必要性を理解します。

    ④行動計画、運動企画
    お道具箱まで歩く→お道具箱を開ける→中から折り紙とクレヨンを取り出す→道具箱のフタをしめる→自分の席に戻る→椅子に座る
    という行動の順序を計画します。

    ⑤実行
    お道具箱の前には着いたけど「あれ?何を持っていくんだっけ?」となったり、「おしゃべりをしない」という指示を忘れてお友だちに話しかけてしまうかもしれません。

    そうならないように「ワーキングメモリ」という脳の機能に一時的に先生の指示を保持し、それを参照しながら実行します。

    ⑥フィードバック
    自分が何番目に席に座ったかな?クレヨンと折り紙、間違ってないかな?先生は笑顔かな?それともお喋りをしちゃったから叱られるかな?
    そういう情報を得て、自分の行動が正しかったか判断し、次の機会に活かす準備をします。


    はい、めちゃくちゃ高次な脳機能をたくさん使う必要があります。
    大変すぎる~!


    先生の指示に合った行動をする、その発達段階

    この能力は次のように発達していくと考えられています。

    0~3歳頃:聴覚的注意(音に反応して注意を向ける力)の獲得
    2~3歳頃:1つの簡単な指示を理解して実行できる
    3~5歳頃:2、3つの簡単な指示を理解して実行できる
    5~6歳頃:2、3つの指示は理解して実行できるが、複雑なものや3つ以上は難しい
    6歳以降:複数の指示や、その場の状況などを適切に判断して実行できるようになるが、あくまでも段階的で、個人差も大きい

    先ほどの
    「お道具箱から折り紙と、クレヨンを持ってきてください。持ってきたら自分の席に座ります。おしゃべりはしません」
    という指示は複数の指示があり、複雑だと言えると思います。

    年中さんや年長さんでも出来る子はいると思いますが、
    「以前同じような指示を実行したことがあるので、その経験を参照している」
    「周りの様子をうかがって模倣している」
    という場合もあります。



    もし、指示に合った行動ができないお子さんがいる時、まずはその指示が年齢の発達に合ったものかの確認が大切になります。

    その上で、どこに躓いているのかよく観察する必要があります。

    先生のお話に注意を向けられているか?
    語彙の理解はできているか。
    ワーキングメモリの発達は十分か。
    どれもちょっとずつ苦手、あるいは時間がかかる。

    「そもそも、ふざけてしまって行動に移ろうともしません」ということもあるかもしれません。
    でもそれは「何をしていいか分からないので、ふざけるしかない」状況なのかもしれません。

    このパターン、よく見かけます。


    アセスメントを深めていく


    よりアセスメントを深めるためには、次のような工夫をした上で反応を見ると、よりその子の躓きのポイントが分かりやすくなると思います。
    そのまま支援にもつながります。

    ▶指示を簡単にする
    例:「お道具箱のところに集まって~!」集まってから→「クレヨンと折り紙を取ってね」取り終えてから→「席に戻るよ~!おしゃべりはしないよ」

    ▶視覚的な情報でサポートする
    例:クレヨンと折り紙の絵を見せる、おしゃべりしないことが分かるカードを見せる

    ▶目を見ながら個別に指示を出す
    例:「〇〇くん、クレヨンと折り紙を持ってきてね」

    画像

    家庭ではそんなことないのに…

    この「集団での指示の理解と実行」はご家庭では気づかないことも多いです。

    なぜなら、相手が子ども一人の場合は親も自然と「何度も言う」「強調して言う」などの工夫をしていることが多いんですね。
    また、「歯を磨いて」「着替えてね」など日常的に何度も繰り返しているタスクだったりします。

    そういう日常の習慣を「言ってもなかなかしない」場合とは、必要な力と支援の方法も変わってきます。
    (我が家で困っているのはこっちですね!まったくもぉ~!)

    なので、集団での様子は、先生から詳しく情報を共有してもらったり、実際にこっそり活動の様子を見学させてもらうと良いと思います。

    悩んでいるけど、この記事だけじゃ難しいよ~!という方がもしいらっしゃれば、声をかけてください☺️
    一緒に整理しながら考えましょ〜!




    何はともあれ集団生活では、「指示に従えません」という一言ではとても表せられない脳の高度な働きが必要になるんですね。

    私は心の隅で「そりゃむずいよな〜」と思いながら支援しています。

    脳の働きを知っているから私は、我が子や子どもたちに「なんでこれくらいできないの?」と思わないのかもしれません。

    私もいまだに「あれ?なんだっけ?」となります(発達し終える前に老化?)。


     
     
    理学療法士(PT)×保育士×神経発達 子育てに試行錯誤しながら得たものを。 発達支援、リハビリ、子どもの居場所づくり…好きなことを組み合わせて生きたい 子育て支援 | 発達支援 | 療育 | 理学療法 |多様な学習支援| 子どもの運動支援 | スクールトレーナー

    あなたへのおすすめ