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思い出したこと

    今日は妻が早番だった。
    本当に有り難い事に着替えの準備と学校の準備をしてから出発して下さる。五体投地して感謝を表したい。

    朝ごはんを作り出し、昨日遅くまで「君の好きは無敵」を見ていたせいでまだ眠いとぐずる子供達をリビングに引きずり出す。普段は卵料理とパンとミニトマトだが、これだとすこぶる食べ渋る。申し訳無いがパンを切らしていた事もあり、朝から卵入りのジェネリックチキンラーメンになった。チクリと痛む罪悪感とは裏腹に子供達は大喜びである。丁寧な暮らしニストが白目を剥いて卒倒しそうな朝ごはんだ。

    食事が終わったらトイレに行かせて歯磨きをさせ、着替えさせる。一々止まって別のことを始めるので注意を戻すために声がけが必要だ。めんどくせぇ。

    玄関で「荷物が多い!ヤダ!」とグズる次女をなだめすかす、長女はグズる次女に見切りを付けてさっさと行ってしまった。声を荒げそうになるが、ここで機嫌を損ねると牛歩が始まる。一度牛歩をやられて登校班に間に合わず学校まで送るハメになったことがある。「早くしろクソガキくるぁ!」と言いそうになるのを必死でこらえて登校班までノロノロと歩く次女を見送り終わった頃には、自分の出発時間を過ぎていた。

    怒りをこらえ過ぎて頭から湯気が出そうだ。すっかりグロッキーになりながらバスと電車に揺られる。今日はなんだか動画も見る気が起きず、窓の外で流れる景色を眺めながら思考を好き勝手あちこちに飛ばしていた。

    その最中に脈絡もなく思い出したことがある。

    不登校をやっていた中学生時代の事だ。

    ADSLが我が家に引かれることになり、パソコンの設定のために係のおじさんがやってきた。

    母は部屋に引きこもって人に会えるような状態じゃなかったので、平日昼間から暇を持て余した不登校の私が応対をする事になった。

    一通りの設定が終わった後も、会話に飢えた私は、おじさんが座る椅子の背もたれに掴まって、後ろから喋りかけ倒していた。次の訪問先もあるだろうに、おじさんは辛抱強く私の話を聞き、今思えば明らかに業務外の設定作業までやってくれていた。

    荒れ果てた家の中と、平日の昼間から顔色の悪い中学生くらいの子供が居る時点で色々察してくれたのだろう。

    当時の私はそんなおじさんの優しさにちっとも気付かず「それじゃ次があるから」というおじさんに手を振って別れた。

    なんだか思い出していて嬉しいような恥ずかしいような気持ちになった。おじさん、その節はありがとうございました、あの時のガキンチョはそれなりに立ち直ってそこそこ元気でやってます。などと心の中でつぶやきながら、今日もゆらゆらと電車に揺られていた。

     
     
    現実と妄想を行ったり来たりしながら、雑多なことをつらつらと。スキを貰うと小躍りして喜びます。

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