
老害になりそこねた日|ぼくしつ
今日の失敗も、静かに増えているようです。
こんにちわ。小さな失敗を物語にするおやゆびです。
さて本日は老害をテーマにした物語です。どうぞお楽しみ下さい。
証明書の期限が切れた朝、僕は突然「老害予備軍」に認定された。
管理していたわけでも、引き継ぎを受けたわけでもない。
三年前の書類なんて、2年前に入社した僕にとっては歴史の教科書レベルの話だ。
それでも「管理できてないとかありえない」と言われれば、こちらも人間、多少むっとする。
急いでやれと言われた仕事を急いでやっているのに、その言い草はなんだ、と胸の中で叫んだ。
もっとも、口には出さなかった。
出す元気もなかったのだ。
問題はそこからだった。
急ぎ用意した書類を、なぜか今どきCD-Rに焼けという。
会社を探しても一枚もない。
仕方なくコンビニへ走ったが、棚のどこにも見当たらない。
店員さんに「CD-Rありますか」と聞いたら、きょとんとされた。
「えっと、それは、どういうものですか」
聞かれて、僕は固まった。
答えられない。
ついさっきまで急いでいたはずなのに、頭の中が真っ白である。
しばらく唸ったのち、僕はひらめいた顔で言った。
「あの、円盤型の、音楽を聴くやつです」
店員さんは少し考えてから、「ああ」と申し訳なさそうに首を振った。
結局、その店にはなかった。
家に帰る道すがら、どっと疲れが押し寄せてきた。
急かされ、詰められ、説明できずに立ち尽くした一日。
老害と呼ばれても仕方ないのは、証明書の管理漏れの僕ではなく、CD-Rの説明ができなかった僕の方かもしれない。
さて、次にコンビニで店員さんに聞かれたら、僕はなんと答えるべきだろうか。
次回の失敗も、どうか軽めでありますように・・