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私も輪に入りたい【虹色創作部】

     高校最後の文化祭最終日の夕暮れ。閉会式が終わって、私は教室の窓から、グラウンドの中央で大きく燃えている焚き火をじっと見つめている。これから後夜祭で、全校生徒でフォークダンスを踊る予定だけど今はまだその輪の中に入れずにいる。

     私、みんなと一緒にフォークダンスを踊ってもいいのかな。沙耶香ちゃんや絢音ちゃんの足手まといになってしまったし。二人はクラスのリーダー的な存在で、「文化祭、絶対に全校で一番になってやる!」って気合いが入っていた。だけど私は、クラス発表のステージでなかなかダンスを覚えられずに苦戦して、一人で別メニューで練習したり、衣装作りでもうまくミシンを使いこなせなかった。本番でもやっぱりミスをして、盛り上がる場面でみんなと合わせられなかった。

     ギターが弾けるってだけでバンドに誘われてステージにも立ったけど、途中で弦が切れてしまって、絢音ちゃんに借りたりもした。クラスではパンケーキ屋を出して、メイド服も着たけど、全然似合ってなかった。

     結果は全校で3位。私はとても悔しかった。きっと、私のせいで1位になれなかったんだ。最後の文化祭だったから、みんなショックだったのかな。

     外から『マイム・マイム』が大音量で流れてくる。みんな楽しそうに踊っていて、羨ましい。私もその中に入りたい。でも、入る資格なんてあるのかな……きっと男子に笑われて終わりだよね。

     そのとき、教室の扉が開いて、元気な声が聞こえてきた。沙耶香ちゃんだ。

    「亜希ちゃん、ここにいたんだ!みんなとフォークダンス、踊らないの?」
    「……踊れないよ。みんなに迷惑かけたし」
    「そんなことないさ!亜希ちゃんがいてくれて、とても助かったし、楽しかったよ」

     沙耶香ちゃんの笑顔が、とても素敵に見えた。まるで何か大きなことをやり遂げたような顔をしていた。

    「亜希ちゃんも、一生懸命ダンス頑張ったじゃん!メイド服も似合ってたよ」
    「……いいの?あんな感じで」
    「全然いいんだって!アタシね、自己満で1位でいいんだ。2位も3位も変わらないよ!」
    「そうなの?他のクラスの人たちはすごく喜んでたのに」
    「なーに、ウチのクラスだってみんな喜んでるさ!だから最後にさ、亜希ちゃんも盛り上がろうよ!」
    「えっ……うん……」

     正直戸惑った。みんな、満足してるんだ。私も……心から文化祭、楽しめてたのかな? 『自己満』でも、それでいいのかな。

     グラウンドの焚き火を、多くの生徒が囲んでいるのが見えた。私もその中に入りたい。そう思い始めているけど、なかなか踏ん切りがつかない。

    「沙耶香と亜希ったら、ここにいたのね」

     絢音ちゃんが、二人を探して教室に戻ってきた。私は、絢音ちゃんに謝ろうと口を開いた。

    「……絢音ちゃん、本当にごめん。ギターの件もそうだけど、衣装とかダンスとか、全然ダメで……」
    「亜希、気にしなくていいよ。ワタシね、亜希とも、沙耶香とも、いっぱい思い出作れてよかったって思ってる!それに、ギターの弦が切れるなんて普通だよ?」
    「まあ、そうかも……」
    「それにさ、亜希ちゃんのメイド服、ワタシはすごく似合ってたと思うよ。男子も『可愛い』って言ってたし。衣装もありがとう。すごく丁寧に仕上げてくれてて、嬉しかったよ」
    「……なんか、恥ずかしいよ」

     そのやりとりを聞いていた沙耶香ちゃんが、明るく言った。
    「そうと決まればさ!」

     絢音ちゃんも笑顔で続いた。
    「高校最後の文化祭、全校生徒で焚き火囲んで、『マイム・マイム』踊ろうよ!全校生徒みんな、自己満1位さ!」

     私はなんだか吹っ切れた気がした。迎えに来てくれた二人は、とても優しくて、温かかった。そして3人で教室を出て、グラウンドへ向かい、全校生徒で巨大な焚き火を囲んでフォークダンスを踊った。

     高校最後の文化祭。それで、本当に良かったんだ。


    #虹色創作部
    虹色創作部様の企画に参加させて頂きます。素敵なイラスト、ありがとうございます!ヘッダー画像に使わせて頂きます。

     
     
    北海道在住です。小説をメインに色々なことを書いたりする場所です。今は主に、北海道を舞台としたオリジナル小説シリーズ「休憩室にて」を書いてます。その他、各企画に参加しております。

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