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オルカンを買わない理由。~NASDAQ100・宇宙・ゴールドという選択~

    王道を知った上での、個人的な配分

    NISAの枠で、私はオルカンを一株も買っていない。

    NASDAQ100に4万円、宇宙開発関連に1万円、ゴールドに1万円。月6万円の内訳は、こうなっている。

    全世界株式インデックスが「低コストで世界経済を丸ごと抱える最適解」であることは理解している。信託報酬約0.057%という数字の強さも、否定する材料は何一つない。

    それでも王道を外した。この記事で書きたいのは「オルカンより優れている」という主張ではなく、王道を知った上で、なぜ自分はこの配分に辿り着いたのかという思考の過程そのものである。

     NASDAQ100という「現在地」への投資

    4万円を割り振ったNASDAQ100は、米国の非金融大型企業上位100社で構成される。

    オルカンに組み入れられている米国株の比率は、時価総額加重の結果として決まる。対してNASDAQ100は、今この瞬間の経済の牽引役が誰かを、自分の意思で選び取る配分になる。

    信託報酬は年0.2%前後まで下がっており、オルカンとの差は絶対値として小さい。コストの観点で妥協しているという感覚は薄い。

    世界分散を手放す代わりに、成長の濃度を選んだ。これは守りを捨てたのではなく、攻めの比重を自分で決めたという話に近い。

    宇宙開発という「未来」への投資、その代償

    1万円を充てた宇宙開発関連ファンドは、信託報酬が年0.792%〜1.5%超とオルカンの十数倍から二十数倍に達する。

    この数字だけを見れば、コスト効率の観点からは明確に非合理的な選択に映る。長期積立において年1%前後の差が複利に与える影響は小さくない。

    それでも組み込んだのには理由がある。次世代通信、防衛、衛星、ロケットといった分野は、個人が情報収集と分析だけで投資判断を下すには専門性の壁が高すぎる。

    プロの目やAIによる銘柄選定をパッケージ化してもらっていると考えれば、信託報酬は「個人では到達できない領域への入場料」という性格を帯びてくる。

    実際、このロジックで宇宙テーマを評価する声は少なくない。「個人では調達・分析が極めて難しい新興銘柄をプロの目で買える手数料」として妥当だとする見方は、コスト至上主義とは異なる、もう一つの合理性を示している。

    もともと私が保有していたのは「eMAXIS Neo 宇宙開発」だった。設定時10,000円から2026年春には50,000円超まで伸び、5年リターンは年率換算30%超という実績を残したファンドである。

    その結果、純資産総額が500億円規模まで膨らみ、2026年4月17日をもって新規買付・積立の受付が一時停止された。

    この販売停止は、テーマ型ファンドが抱える構造的な宿命を可視化した出来事だったと考えられる。資金が集中しすぎると、運用規模と組入銘柄の市場流動性のバランスが崩れ、ファンド側が自ら門を閉じる。

    人気が実力の証明であると同時に、継続性のリスクそのものにもなる。この矛盾を体感したことで、他ファンドへの乗り換えという選択を迫られ、テーマ型投資の裏側を考え直す契機になった。

    コストという数字が覆い隠せないもの

    宇宙開発ファンドのコスト高は、冷静に見れば重い課題である。

    オルカンとの信託報酬差は14倍から25倍以上。20年、30年という時間軸で積み上がれば、このコスト差はトータルリターンを静かに削り続ける。

    テーマ型特有のボラティリティも無視できない。地政学や政策、技術開発の進捗といった不確実性の高い変数に、価格形成が直接左右される。

    ブームの反動で下落幅が激しくなる局面も想定される。Neo宇宙開発の販売停止自体が、テーマ型が抱える突発的なリスクの典型例だったとも言える。

    NASDAQ100についても、約3,000銘柄に分散するオルカンに対し、米国大型ハイテク約100社への集中という性格は変わらない。

    金利上昇局面やテックセクターの長期停滞期には、下落ショックがオルカンより大きくなる可能性は十分にある。分散を薄めた分、変動の振れ幅を引き受けているという理解は欠かせない。

    ゴールドについても、それ自体は配当も利息も生まない資産である。資産形成の初期段階で15%以上を金に振り向けることは、株式の複利成長を鈍らせる非効率な配分だという指摘も成立する。

    これらの懸念はどれも的を射ている。私はこの配分を「コスト効率で勝つための選択」だとは考えていない。

    バーベル構造という設計思想

    オルカンが「受動的な最適解」だとすれば、このポートフォリオは「目的別に役割を割り振った能動的な設計」だと整理できる。

    NASDAQ100が攻めのエンジン、宇宙開発が未来への賭け、ゴールドが無国籍の安全弁。それぞれの資産が、何のためにそこにあるのかを自分の言葉で説明できる状態をつくっている。

    ゴールドは株式や債券との相関係数が長期的に低く、時に逆相関を示す。2022年の世界同時株安・債券安、2024年以降の地政学危機局面でも、株式とは異なる値動きを見せてきた。

    ハイテク比率の高いポートフォリオの最大下落率を、ゴールドが平準化するクッションとして機能する。攻めの配分を厚くできているのは、この守りがあるからという構図が成り立つ。

    個別株で宇宙関連に投資する選択肢もあるが、新興ベンチャーの倒産や技術失敗のリスクは極めて高い。高コストであっても、複数社に分散されたファンドを選ぶことで、個別銘柄固有の破綻リスクを避けながらセクター全体の成長を取り込める。

    この構造は、コストを1bp単位で削る思想とは相容れない。削った分の手数料を、納得感と分散機能への必要経費として払い戻しているという理解の方が近い。

    正解ではなく、納得できる配分

    オルカンは依然として、多くの人にとって合理的な選択であり続けると考えられる。

    思考負荷が低く、手数料で負けず、世界経済の成長を取りこぼさない。この設計の強さを否定する理由は、私の中に存在しない。

    それでも自分は、現在地と未来とリスクヘッジを自分の手で配分することを選んだ。Neo宇宙開発の販売停止という出来事は、その選択に伴う不確実性を具体的な形で教えてくれた出来事だったと振り返っている。

    正解を探す作業ではなく、自分が納得できる理由を積み上げる作業。このポートフォリオは、その過程の現時点での結論にすぎない。

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