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石神井と練馬区のちばてつや先生

     日がすっかり短くなり、急速に秋が深まってきた。この季節、練馬区はイベントが目白押しだ。少し前の「えこだパンさんぽwith桜台」に続き、坂口安吾の「カレー100人前事件」にちなんだ「カレーDays」や、石神井池(ボート池)の畔で行われる音楽イベント「森のJAZZ祭」など。内部公開の貴重な機会である「石神井城跡発掘パネル展」も「入間航空祭」の開催とかぶって忙しくなった。仕事じゃないので好きな催しに行けばいいわけだが、調整が必要になってくる。
     来年三月に『地球の歩き方』の練馬区版が出るらしい。少し前、出版社の方が「東京は東が面白い」とテレビで語っていたから、練馬区は当分ないのかなと思っていたが、満を持して発売となるようだ。
     発売に先立ち、朝の情報番組で練馬の特集をしたところがあったが、石神井で取り上げられたのは、「ピッツェリア ジターリア ダ フィリッポ」だけで、石神井公園はなし。書籍も同じになるとは思えないが、地元とてしては少し寂しい。

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    「石神井城跡発掘パネル展」

     漫画家のちばてつや先生が亡くなられた。先生は長年、練馬区に自宅や事務所を構えられた名誉区民で、練馬区役所本庁舎一階には献花台が設置された。生前の経歴が掲示されていたが、もともと練馬を特集するムック本には必ずと言っていいぐらい登場されてきたし、大泉学園駅には、松本零士先生の代表作『銀河鉄道999』の星野鉄郎とメーテルの像と並び、『あしたのジョー』の矢吹丈のモニュメントが設置されている。
     練馬区は「漫画の聖地」を自任しているが、これは杉並区も豊島区も同様で、中でも練馬区は漫画に頼り過ぎのきらいがなくもない。ただ、先の『地球の歩き方』的な視点で考えると、練馬区はインバウンド客で混み合うような名所旧跡も歴史的エピソードも不足しているわけで、レジェンド級の漫画家たちの存在がなければ、退屈な北西部の区のままだったかもしれない。
     ちなみに、西武新宿線・都立家政駅の家政商店街のマスコットキャラクター「かせいチャン」の原画もちばてつや先生だ。この駅は中野区だが、練馬区も近い。

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    都立家政「かせいチャン」

     代表作『あしたのジョー』には、主にテレビのアニメで親しんできた。「バンタム級」「テンプル」(こめかみ)といったことばを聞くと、必ずしもこの作品のための用語でないにもかかわらず、いくつかのシーンが思い浮かんでくる。永遠のライバル・力石徹の減量シーンは怖かった。追悼のインタビュー番組でも触れられていたが、終戦直前、ソ連の満州侵攻からの過酷な逃避行の体験に基づいていたとしたら、もともと子どもが楽しむだけの作品ではなかったのかもしれない。だからこそ読み継がれてきたとも言えるだろう。
     あらためてコミックを読み返してみると、作品の持つ熱量に圧倒されてしまう。それと、主人公・矢吹丈は実にきれいな顔をしている。表情がやさしい。

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    マルゼン46にて『あしたのジョー』を読む

     西武新宿線の井荻駅が近いか、池袋線の練馬高野台が近いかというあたりになるが、旧早稲田通りぞいに「マロン亭」というお好み焼きの店がある。住所は南田中だが、通りの向こうは下石神井。今は無くなったが、近くには大きな釣り堀があったようだ。
     マロン亭はちばてつや先生のお気に入りの店だったらしく、色紙が飾られてある。正直、こんなところにレジェンドがと思うほど駅からは遠いが、ふらっと入ると、人気漫画作家ゆかりの店であったりするのが、練馬区で暮らす醍醐味と言えよう。それとなくエピソードを聞けたときは、なおうれしい。
     練馬区版の『地球の歩き方』にも『あしたのジョー』は登場するのだろうか。三月になれば分かるだろうけれど、楽しみにしている。

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    「マロン亭」にて
     
     
    東京・練馬区在住。変わりゆく地元・石神井の風景を残そうと、不慣れながら書いています。不定期に更新していますので、何卒宜しくお願い致します(プロフィール画像を設定しました)

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