産後つら過ぎて発生した謎の行動|からの謎の悟り

初めての子どもを出産して間もない頃、当然ながら未経験のことばかりで、非常に困憊した。特にキツいのは、大抵の母親なら経験するであろう「3時間おきの授乳」「赤ちゃんが寝てくれない」からの「睡眠不足」である。
私はさらに乳腺炎になりやすかったので、いつ詰まるか分からない恐怖を抱えて、家族が寝静まった真夜中に一人、なかなか寝ない長男を眺めていた。
そんな私に限界が訪れたのか、逃避なのか分からないが、いつの間にか頭の中でエド・シーランの「I See Fire」がエンドレスで流れるようになった。この曲は、映画『ホビット 竜に奪われた王国』のエンディングテーマである。映画に疎い私は、実はこの映画「未視聴」なのだが、彼のアルバムに入っていたのでよく聴いていた。
なので話はよく分からないが、歌詞から推測して「どこかの部族が滅びていく様を歌ったものだな」ということは分かる。
(以下、いいかげんな意訳)
山が燃えてゆく 我が同胞たちが燃え落ちてゆく 今日我々は皆滅びることとなるだろう 最期の乾杯といこうじゃないか
(ひたすら火の海で滅びていく様子)
消えゆく我々の魂を どうか見届けておくれ そして覚えていてほしい 我々がここに在たことを
真っ暗な中、体育座りで泣きながら、曲を頭の中で流しつつ、サビだけ合わせて「アイスィーファイっ…!!」と小さく叫んでいる様の頭おかしさはもはやホラー。
なぜこの曲がエンドレスで流れたのか。おそらく、「滅びる」という歌に親和性を覚えたからかもしれない。
私は小さい頃から、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』のポップ君並みに、死ぬのが怖かった。大人になると多少は紛れたが、やはり「いつか死ぬ」という恐怖は拭いきれないでいた。
ところが、出産して新しい命を世に送り出したことで、「なんか私の役目は終わった」ような、生物としての安堵感が、死への恐怖を相当に和らげたのである。
「私が死んでも、私の何かは受け継がれている」
受け継がれたところで大したものでもないけれど、それはそれ。
この悟りを得て、私は「アイスィーファイっ…!!(我、滅す…!!)」と滅びのフレーズ?を安心して叫べるようになったのではないか(「I see fire」は「我、滅す」という意味ではありません、念のため💦)。
乳児を抱えておいて滅している場合じゃないのだけど、状況の辛さと心身のホルモンバランスが、私を謎の悟りに連れて行ってくれた。
そして長らく経った今、このことをちゃっかりここへ記して、「And I hope that you remember me」してもらおうとしてるんだからもう。
最後に、「名作(映画好き夫談)」に相応しいこの名曲「I See Fire」、ぜひご清聴ください。