
「遺伝子スイッチ・オンの奇跡」~「ありがとう」を10万回唱えたら~【書評】
🔵著 者 工藤 房美
🔵発 売 日 2015年11月2日
🔵ページ数 200ページ
🔵出 版 社 風雲舎
「こんなことはありえない」と、レントゲン写真を見た担当医が、思わずつぶやいたのです。肺と肝臓に転移していたガンがすべて消えていたからです。「余命1ヶ月」と著者が宣告されてから、約8ヶ月後のことでした。
彼女が治療以外に行っていたのは、自分自身の細胞に組み込まれた遺伝子に「ありがとう」という感謝の言葉を伝えることでした。
私たちの身体を構成する細胞の数を、あなたは知っていますか? 体重60kgの人には、約60兆個もの細胞があるといわれています。著者は自分自身のすべての細胞に向かって、「ありがとう」を言おうと決意したのです。
そのきっかけを与えてくれたのは、日本の分子生物学者であり、筑波大学名誉教授だった村上和雄の著作「生命 (いのち) の暗号」でした。
彼女が病魔に立ち向かおうと決心したのは、遺伝子の95%が使われていないことを知ったからです。もしも眠っているDNAのスイッチがオンになったら、病気も治るかもしれないと思ったのです。
「生命の暗号」では、良い遺伝子を覚醒させる鍵として、笑いや感動、感謝といった「前向きな心」が大事だと説かれていました。そこで彼女が選択したのは、60兆個の細胞に「ありがとう」を伝えることだったのです。
脳科学者で浜松医科大学名誉教授の高田明和氏は「前向きな言葉が、免疫力を高めるエンドルフィンの分泌を促進する」と、ある雑誌で語っていました。著書の中でも「言霊の力」の有効性を力説しています。
「言霊の力」といえば、「遺伝子スイッチオンの奇跡」を読んで一番感銘を受けたのは、著者の息子さんが発した言葉でした。
「おかあさん、この特別な状況を楽しまなんよ(楽しまないとね)!」
著者の壮絶な闘病生活に比べれば、私の悩みなどは「ぬるま湯」のようなものかもしれません。私は果たして人生を楽しんでいるだろうか? 息子さんの言葉に触れ、私の遺伝子のスイッチがオンになったら嬉しいのですが。

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