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映画「レンタル・ファミリー」~「鏡」としての「疑似家族」~映画レビュー

    過去、テレビCMでも活躍したことが
    あるアメリカ人俳優のフィリップ(ブ
    レンダン・フレイザー) は、落ちぶれ
    た俳優として、不安定な生活を余儀な
    くされていた。
    ある日、別会社の依頼で入った現場で、
    レンタルファミリー社のオーナーから
    スカウトされる。依頼人の求めに応じ
    て、親になったり、恋人や親友になっ
    たりと、様々な偽の役割を演じる仕事
    だった。その仕事に慣れた頃に、父親
    役の依頼と、認知症を患った老俳優の
    インタビュアーの仕事も舞い込む。
    それぞれの役割をこなしていくうちに、
    彼の中で偽物(フェイク)を演じる意味が、
    少しずつ揺らぎ始める。

    あらすじ

    🔵監  督   HIKARI
    🔵製  作  国  アメリカ合衆国
    🔵配  給  サーチライト・ピクチャーズ
    🔵劇場公開  2025年9月6日


    『噓も方便』ということわざがあります。
     本来、嘘をつくのは許されないことですが、正しい目的であれば、最善の手段としての嘘も認められるという意味です。仏教用語が語源だそうです。

    〔嘘も方便〕
    場合によっては嘘も手段として必要である意。この成句の起源については「法華経‐譬喩品」の「三車火宅」のたとえ話に見る説が有力である。

    精選版 日本国語大辞典 (コトバンク)

     レンタルファミリーという会社にスカウトされた、アメリカ人俳優フィリップ (ブレンダン・フレイザー) も、結婚相手や、父親など、様々な嘘の役割(偽物フェイク )を演じる仕事に就つ くことになるのです。生活のためでした。

     最初は噓を言う罪悪感から仕事先でパニック状態になります。しかし、会社の先輩・中島愛子 (山本真理) の説得や助言によって立ち直り、依頼人が求める人物に成りきる努力を重ねます。

     ある日、フィリップは川崎美亜(ゴーマン・シャノン眞陽 まひな)の父親役を演じることになるのです。娘を私立の有名校に進学させたい依頼人・川崎瞳(篠﨑しの)は、どうしても保護者面接で父親役が必要だったのです。彼女はシングルマザーでした。

     また別のある日、今度は認知症を患わずら った老俳優・長谷川喜久雄(柄本明)のインタビューをする偽記者を命じられます。食事をしたり、神社にお参りに行ったりして、徐々に打ち解けあう関係を築いていきます。

     美亜との度重たびかさ なる触れ合いを通して、初めはフィリップを拒絶していた彼女の心にも、ある変化が表われます。そして、フィリップもまたフェイク(偽物)を演じることに面白さを感じるようになるのでした。

     二人で行ったデジタルアート・ミュージアムで、フィリップは「綺麗だ」と作品を称賛します。美亜は「でも全部偽物よ」と言い返します。

    「ふりをするのも悪くないよ」と答えるフィリップですが、物語の後半では「ふり」を逸脱 いつだつする展開になるのです。偽物を演じる自分自身に迷いが生じたためでした。その結果、父親役も記者役も終幕を迎えることになります。

     映画の冒頭で、フィリップをスカウトするためにレンタルファミリー社のオーナー・多田信二(平岳大ひらたけひろ )が彼に言います。

    「彼らに欠けているものを埋めるんだ」

     確かに、フィリップは美亜の父親役を見事に演じました。それだけではなく、彼女の心の隙間も埋めていました。彼女の心も盗み取ったのです。

     認知症を患う喜久雄のインタビュアーとしても完璧でしたが、彼に寄り添って最後の願いを実行します。その行動が、記憶を失う不安と戦う老俳優の
    心を打ちました。やはり、フィリップは彼の心もまた盗み取ったのです。

     『嘘は泥棒の始まり』ということわざがあります。ラストシーンで懺悔ざんげ をするためではないのですが、フィリップは神社にお参りに行きます。そして、ご神体の鏡を覗き込んだ彼の戸惑いの表情で映画は終わります。

     あの戸惑いは、偽物を演じていた自分への困惑ではなく、鏡の中に本物の光を見つけてしまったことへの驚きだったのではないでしょうか?

     この映画の主人公は、レンタル家族などを通して自分自身の生き方を問われます。美亜の父親役に扮したり、偽装結婚式をしたりするうちに、本当の自分を見つめ直す機会を得たのです。

     つまり、疑似家族(レンタル)という鏡を通して、彼は「ありのままの自分⦅本物⦆」に向き合うことが出来たのです。ラストシーンに登場するご神体の鏡は、その象徴だったのかもしれません✨


    〔関連動画・記事〕


    🔵クリエイターのプルンパーゴ様の記事を拝見したことが、私の映画レビュー投稿に繋がりました。ぜひ皆様方にも、ご訪問いただけたら幸いです✨

    🔵クリエイターの晴乃はるか様の記事から、鑑賞後に多くのことを学びました。この映画への愛が伝わってくると思います。ぜひ皆様方にも、ご訪問いただけたら幸いです✨


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