
私は笑顔でダブチを食べる
(1)キラキラできないんだってば!
「みんなは大きくなったら何になるのかな~?」
きっと、今日もどこかの「幼稚園」や「保育園」或いは、小学1年生辺りが訊かれている。
「ケーキ屋さん!」
「パイロット!」
「美容師さん!」
「ユーチューバー!」
屈託のないキラキラした瞳で、答えている幼い子たちが想像できる。
けれど、その一方で、将来への「夢」なんて語れないほどに追い詰められている子も確かにいる。
登園渋り、不登校、複雑な家庭環境、所謂「親ガチャ」に外れた子、、、。
現に私がそうだった。
3歳にして、母に夢を折られ、父からの壮絶な折檻を毎日受け続け、心も体もボロボロ。
とてものことに「将来」なんて考えられなかった。
キラキラなんて、求めるな!夢なんて意味がない!
何の罪もない担任の先生に心の中で悪態を付き続ける悲しい子どもになってしまった。
大好きな文章を書く時間でさえ、「将来のこと」がお題となると、鉛筆を持つ手に無駄に力が入り、震えた。
(なりたいものなんか、ないよ、、、)
幼い頃に受けた心の傷は、どれ程に時間が経とうとも消えてくれない。
せめて、私のように「親ガチャ」に外れる子が一人でも減りますように、、、。
「夢」なんて、温かい環境に包まれていなければ簡単には思いつかないんだから。
(2)それでも「成長」する
大人になるまで、私の地獄は続いた。いや、今現在も「過去」の傷に苦しめられている。
それでもどうにか両親を見送り、今度こそ地獄から抜け出せるチャンスが到来したのではないか、、、と、自分に期待をし始めている。
実際には、毎日寝たきりで、体の何処かに不調を抱えグダグダな時間を過ごしていても。
(もう、私を縛り付ける存在はいない!)
苦しみの「過去」の記憶が私を引き戻そうとする度に、奥歯をきっと噛み締めて吞み込まれまいとする。
まだ、2回しか受けていないが、メンタルクリニックで行う「トラウマ治療」も、きっと私の力になってくれる筈だ。
楽しいことを考えよう!
(3)想像以上の「M1」だった
1日の殆どを布団の中で過ごす私のお供は「スマホ」だ。
お笑いコンビの動画をよく観ている。
そうそう!私は、80年代に巻き起こった「漫才ブーム」をしっかりと味わった年代なのだ。
毎週土曜日には、ザ・ドリフターズの「8時だョ!全員集合」で声を立てて笑いながら夕飯を食べるのも日課だった。
もう、骨の髄まで「お笑い」に浸かっていた頃があったのだ。
そんな私が、あれから40年近く経ち、再び「お笑い沼」に浸かっている。
2025年の12月に放送された「M1」も存分に堪能した。
稀に見るクオリティの高い大会で、優勝した「たくろう」、準優勝した「ドンデコルテ」の巧みな話芸に笑い転げた。
どちらのコンビも苦労に苦労を重ねており、観ているこちら側としても、その苦労が報われて本当に良かった、、、と思える大会だった。
あれからというもの、私は事あるごとに二組の「M1」での漫才をリピートして楽しみ、元気を貰っている。
(4)キラキラしようぜ!
それにしても、「M1」効果は凄い。
たくろうもドンデコルテも、今や怒涛のスケジュールをこなしている。
あながち冗談でもないと思うのだが、優勝をしたたくろうは、「M1」後の仕事量がそれまでの600倍だと笑っている。
ドンデコルテもメディアに引っ張りだこだ。
特に、ボケを担当している芸歴18年の渡辺銀次さん(以下、銀次さん)の活躍が目覚ましい。
全く売れず、親からの仕送りでどうにか食いつなぎ、「お笑い」を辞めないでしがみついて来た「芸人人生」を一気に花開かせた。
特に素晴らしい仕事を手中に収めたな、、、、と感じたのは、Webで公開されている「マクドナルド」の「ダブルチーズバーガー(以下、ダブチ)」のCMだ。
「M1」で銀次さんが披露した話を実際にキャラクターに興して演じ、独特の「演説口調」で、「オトナになるって悪いことばかりじゃない!」と画面のこちら側に語り掛けるのだ。
18年泣かず飛ばずで、常に自身の生きている道筋に悩んで来たと思われる銀次さんが、敢えて「オトナはサイコー!」だと叫ぶ。
苦労の末に口にする台詞だからこそ、真実味が増す。
そうして、そのCMを観ている、ちょっと毎日の暮らしに疲れて腐ってしまっているような大人たちにグッと刺さる。
このCMを観て私は、まんまと乗せられ「ダブチ」を買ってしまった。
そうして、CMを流しながら、「今の私だって悪くない!」と思いつつ、味わって食した。
ここ数年の中で、間違いなくトップレベルのCMだ。
「渡辺銀次、40歳独身。私は豊かです」
そんな台詞で始まるこのCMの銀次さんは、間違いなくキラキラしている。
(5)生まれ変わったら、、、
人が心を動かされる瞬間は、どんな時であれ神々しい。
例え、それが「喜び」でも「悲しみ」でも。
人は笑い、涙し、日々を生きている。
そんな一瞬を作り出せたらどんなにか良いだろう。
銀次さんのCMを観ながら、次の人生は「広告代理店」に勤める人生を選ぶのも素敵だな、、、と思った。
大勢の人が絶賛をするCM。心に届く「キャッチコピー」。
考えただけでワクワクする。
今、私は、制服に身を包んだ幼稚園児や保育園児、まだその背中にはやや大き過ぎる「ランドセル」を背負った小学1年生に混じって、「大きくなったらCMを作るひとになりたいです!」と発表したい気分だ。
勿論、今こうして「エッセイ」を書いている現時点の自分もちゃんと好きになってあげる。
人の心を動かすのは、何も「映像」だけではないからだ。
「文章」にだって人の心を動かす力がある。
来世で「映像」を作りたい私は、今世で「文章」を紡ぐ。
結局のところ、私は「ひと」の心に訴えかける私でいたいのだ。
これからも感性豊かに生きていこう。
大いに笑い、大いに泣いて、心を磨こう。
止まない「雨」はない。
あと何回か、「ダブチ」を食べる頃には、私はきっと笑顔を取り戻している筈だ。
オトナはサイコー!