
今日の1枚 The Beatles『The Beatles1967-1970』
今日の一枚は、ビートルズが解散3年後に発表した後期ベストアルバム、通称「青盤」です。これまでオリジナルアルバムばかりを取り上げてきましたが、なぜこのアルバムについて書くかというと、私の音楽の原体験、そして今日にいたるまで21年間ビートルズを聴き続けるきっかけとなったのがまぎれもないこのアルバムだからです。
当時ビートルズが解散し、メンバー各々ソロ活動に励んでいました。そんな中、ビートルズ公式ベストアルバムと銘打った海賊版が発売され大ヒットを記録します。これに焦ったレコード会社は急遽、前期と後期に分けた2つのベストアルバムを発売することになります。今回紹介する青盤は、全米チャート1位、累計売上2100万(セット)を記録しました。ベストアルバムとはいえこのような天文学的売り上げ枚数をたたき出すことができるミュージシャンはほとんどいません。それほどビートルズが音楽シーンに与えた影響が大きかった証拠です。
収録曲に目を向けると、「Strawberry Fields Forever」から始まり、「Hey Jude」や「Let It Be」といった誰もが一度は耳にしたことのある名曲がずらりと並びます。サイケデリックな実験的サウンドから、シンプルで力強いロック、そして壮大なバラードへと変遷していく彼らの音楽的進化を、この2枚組で一気に体験できるのが最大の魅力です。初めてこのアルバムを聴いたとき、一曲ごとに全く異なる表情を見せる彼らの多才さに、子供ながらに衝撃を受けたのを今でも鮮明に覚えています。
特に、ディスク2の後半に収められた『Abbey Road』からの楽曲群は圧巻です。単なるヒット曲の羅列を超えて、一つの巨大な物語を聴いているような感覚に陥ります。当時、私はこのアルバムを擦り切れるほど聴き返しましたが、そのたびに「なぜこれほど完璧なバンドが解散しなければならなかったのか」という、切なくも美しい謎に引き込まれていきました。青盤は単なる入門編ではなく、ビートルズという巨大な太陽が燃え尽きる直前の、最も眩い輝きを閉じ込めたタイムカプセルのように感じます。21年経った今でも、再生ボタンを押すたびに、あの日の衝撃が昨日のことのように鮮やかに蘇ります。