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二次元の水平線 八

    前のお話~二次元の水平線 七


    降り出した雨は、激しさを増していき叩きつけるような土砂降りとなった。
    瞬く間に血まみれの右手は洗い流され、ずぶ濡れの煙草はフィルターを残して草むらに崩れ落ちていた。返り血を浴びた白いTシャツの真っ赤な色は薄くにじんでいく。乃木は高揚感と共にどこかで体験したようなデジャブを感じていた。

    そうだ、あの光景と同じじゃないか。

    自分が書き出した原稿と同じような状況であることに、異常とも思える思考が乃木の脳内で始まっていた。

    俺が書いたことは現実となるんだ。もしかしたら俺は預言者かもしれない。突然書けなくなっていたのはそういうことだったんだと確信めいたものが乃木の中で沸き起こった。

    空を仰ぎ、手を拡げ両の手を天に突き上げた。相も変わらず、雨は激しさを増すように降り続いている。脳内麻薬が噴き出すくらいに多幸感を感じ、この降り続く雨が硫酸となってこの身が溶けてなくなってもいいとさえ思えた。

    天に向かって拡げた手を拳を握りしめ身体に引き寄せようとした時、乃木は自分の目を疑った。

    ありえない。

    まるで液晶のドットが崩れていくように自分の身体が消え始めたではないか。

    どういうことだ。

    多幸感から雨が硫酸となりこの身体が溶けてしまってもいいとさえ思ってしまったからなのだろうか。

    そんなの噓です。そんなわけないでしょう。おい、もうやめてくれ!

    心の中で乃木は叫んでした。次々と崩れていく自分の身体を止めることができず、涙がこぼれるのを感じたが、それは涙なのか雨なのかはもう分からなくなっていた。

    自分が崩れていくのを目の当たりにしながらの数秒間に、乃木の思考が駆け巡った。これが走馬灯というのだろうか。現実的ではないことが自分の身に降りかかっている

    これは幻覚なのか、それとも夢なのか、やはり俺は狂ってしまったのか。
    公募に応募し、賞を取り作家デビューしたこともすべて幻なのだろうか。
    物心ついた頃から今までの記憶は何だったんだろうか。

    崩れ消え去る我が身が夢であることを願いながら最後に見たものはもう動かなくなった藤原だった。

    もう楽になれるんだ。

    そう思いながら乃木の意識が消えていった。





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    では 素敵な1日を✨

    賑やかし帯はこちらから

    いつもありがとうございます。




    #路地裏小説部
    #創作

     
     

    persi

     
     
    理学療法士 / noteをはじめて2年が過ぎました。適当に楽しむをモットーに生きる創作家?劇団 忍 所属。第1回げんちょんちょんGP特別賞受賞

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