
社数より配分を見よう――S&P 500は500社に均等投資ではない
500社に投資するなら、1社あたり同じ金額?
S&P 500に連動する投資信託を買うと、500社へ均等にお金が分かれる。そんなイメージを持っていませんか。
実際には、通常のS&P 500は1社ずつ同じ割合にする仕組みではありません。企業ごとの「重み」が違うため、同じ1社の値動きでも、指数全体への影響は異なります。
たくさんの企業に投資することと、それぞれに同じ金額を配分することは別の話。積立先を理解するうえで、今日はこの違いを押さえてみましょう。
「時価総額」は、売上の大きさではない
S&P 500は、浮動株調整後の時価総額に応じて比率を決める方式です。難しい言葉ですが、まずは「市場で売買される株式の価値が大きい企業ほど、指数への影響も大きくなる」と考えると分かりやすくなります。
時価総額の基本は、株価に発行済み株式数を掛けたもの。売上高や社員数を表す数字ではありません。さらに指数では、自由に売買されにくい固定的な保有分などを考慮して調整します。S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスの公式説明
つまり、誰もが知っている会社だから同じ割合を割り当てる、という仕組みではないのです。
架空の3社で、値動きの違いを見てみる
ここで、3社だけに投資する架空の組み合わせを考えます。配分はA社60%、B社30%、C社10%。投資額が1万円なら、それぞれ6,000円、3,000円、1,000円です。
A社だけが10%下がり、ほかの2社は変わらなかった場合、全体は600円減って9,400円になります。全体の下落率は6%です。
一方、C社だけが10%下がった場合は、100円減って9,900円。全体の下落率は1%です。
同じ「1社が10%下がる」でも、配分によって影響は変わります。この例は手数料や配当などを省いた計算で、実際のS&P 500の構成や将来の値動きを示すものではありません。
企業の数だけを見ても、どの企業の変化を強く受けるのかまでは分からない、ということです。
大きな企業の影響を受けるのは、長所でも注意点でもある
この配分では、比率の大きい企業が上がれば、その上昇が全体を押し上げやすくなります。ただし、下がったときの影響も大きくなります。上昇への期待と下落への備えは、同じ仕組みの表と裏です。
また、同じ株数を持っていても、株価の動きが違えば保有額の割合は変わります。「買った日に見た比率が、ずっと固定される」とは考えないようにしましょう。
だからといって、上位企業の比率が大きいだけで、すぐに悪い商品だと決める必要もありません。大切なのは、その特徴を知らずに「どの会社にも同じくらい分散されている」と思い込まないことです。
分散は、企業ごとの影響を和らげる考え方ですが、市場全体が下がる場面で損失をなくせるわけではありません。
均等に分ける指数なら、必ず有利なのか
S&P 500には、同じ構成企業を使う「均等加重」の別指数もあります。こちらは四半期ごとの調整で、各企業の比率を0.2%にそろえる設計です。ただし、その後の株価変動で比率は動くため、毎日ずっと同じ割合ではありません。均等加重指数の公式説明
均等にすると、一部の巨大企業への集中を抑えられる一方、通常のS&P 500では比率の小さい企業の影響が相対的に大きくなります。
どちらが良い成績になるかは、その後にどの企業がどう動くか次第です。「均等だから安全」「大企業中心だから必ず強い」とは言えません。配分方法が変われば、得意な相場も苦手な相場も変わり得ます。
次に見るのは、商品名より「組入比率」
NISAの積立先を確認するときは、運用会社の月報などで、上位銘柄の比率と、その数字の基準日を見てみましょう。複数の資料を比べるなら、できるだけ同じ時点のものを使います。
オルカンやNASDAQ 100に連動する商品を検討する場合も、「何社に投資するか」に加え、「割合をどう決めるか」を調べると、理解が一歩深まります。
今すぐ買い替えるためではなく、自分のお金がどのように配分されているかを知るための確認です。社数の多さだけで安心せず、中身の割合にも目を向けてみましょう。
要点
・多くの企業に投資しても、1社ずつ均等な配分とは限らない。
・同じ値動きでも、比率の大きい企業ほど全体への影響が大きい。
・配分方法に絶対の正解はなく、組入比率と基準日を確認する。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の投資助言ではありません。