
幼児教室で「注意ばかりする先生」が担当になったときに保護者が知っておきたい3つのこと――子どもの育ちを守るための、穏やかな見極め方
「先生の声かけが気になる…」と感じたとき、その感覚は大切なサインかもしれません。お子さんの育ちを守るために、知っておいていただきたいことがあります。
幼児教室に通い始めてしばらくすると、「この先生、なんだか注意することが多いな」と感じる場面が出てくることがあります。そんなとき、「気にしすぎかな」「受験のためだから仕方ないのかな」と、ご自身の感覚に蓋をしてしまっていませんか。
実は、その感覚はとても大切なものです。今回は、幼児教室の先生の関わり方について、保護者の方に穏やかにお伝えしたいことがあります。
褒めることばと注意することば、どちらが多いか
幼児教室の先生の関わり方を見るとき、一つの大切な視点があります。それは、「褒めることば」と「注意することば」のバランスです。
もちろん、幼児の指導において適切な声かけや注意は必要です。しかし、授業のなかで注意することばが褒めることばを大きく上回っている場合、それはお子さんの育ちにとってよい環境とは言えません。
教育心理学における「ポジティブな強化(positive reinforcement)」の研究では、望ましい行動を認めて伸ばすアプローチが、注意や叱責を中心とした指導より、子どもの意欲と自己肯定感を高めることが示されています。
幼児期は特に、「できた」「認められた」という体験が、次の挑戦への意欲を生みます。注意ばかりの環境では、子どもは委縮し、新しいことへの挑戦を恐れるようになっていきます。
「注意することばが癖になっている」先生の特徴
注意することばが多い先生には、いくつかの共通した特徴が見られることがあります。
① ことばの口調が硬くなりがち
注意することが習慣になると、声のトーンや口調が全体的に硬くなっていきます。褒めることばでさえ、どこか事務的に聞こえることがあります。
② 子どもの目線に下りてこない
幼児の指導において最も大切なことの一つは、子どもの目線に立つことです。子どもがなぜその行動をしたのか、何を感じているのかを想像せずに、大人の基準だけで「できている・できていない」を判断する指導は、子どもの心に届きません。
発達心理学における「子どもの視点取得(perspective-taking)」の観点からも、指導者が子どもの内側の世界を理解しようとすることが、効果的な指導の前提条件とされています。
③ 高圧的な関わりになりがち
幼児は、大人に比べて圧倒的に非力な存在です。だからこそ、指導者には「子どもの力を引き出す」という視点が求められます。上から「しなさい」という関わりは、子どもの自発性と自己効力感を損ないます。
「この先生、大丈夫かな」と感じたときのチェックポイント
授業参観や送迎の際に、先生の関わり方を観察するとき、次のポイントに注目してみてください。
① 子どもが何かできたとき、どんな反応をするか
「できたね」「がんばったね」という言葉が自然に出てくるか。それとも、できていないことへの注意の方が目立つか。
② 子どもが間違えたとき、どんな声かけをするか
「惜しかったね、もう一回やってみよう」という前向きな関わりか。それとも「なんでできないの」という否定的な言葉になるか。
③ 授業後、子どもの表情はどうか
楽しそうにしているか、生き生きとしているか。それとも、どこか萎縮した様子や、疲れた表情が見られるか。
子どもの表情は、その環境が子どもにとって安心できる場所かどうかを、正直に教えてくれます。
クラスを変えることは、決して悪いことではない
「先生との相性が合わないかもしれない」と感じたとき、多くの保護者の方は「途中でクラスを変えるのは申し訳ない」「我慢すれば慣れるかもしれない」と考えてしまいます。
しかし、幼児教室に通う目的は何でしょうか。お子さんが安心して学び、のびのびと力を育てることではないでしょうか。
その環境が整っていないと感じたとき、クラスを変えることを検討することは、保護者としての大切な判断です。遠慮する必要はありません。
幼稚園や学校と違い、幼児教室はサービスを提供する場です。お子さんに合った環境を選ぶことは、保護者の方の権利です。担当者に相談して、クラスや担当の先生を変えてもらうことは、多くの幼児教室で対応可能なことです。
本当によい先生とは
では、お子さんにとって本当によい先生とは、どんな先生でしょうか。
難しいことではありません。子どもの小さな成長を見逃さず、一緒に喜んでくれる先生です。
「今日、ここができるようになったね」「さっきより上手になったよ」「むずかしかったのに、よく頑張ったね」――こうした言葉が自然に出てくる先生のもとで、子どもは安心して挑戦できます。
子どもの応援団でいてくれる先生。子どもと一緒に「できた!」を喜んでくれる先生。そういう先生との出会いが、お子さんの学びへの意欲と自己肯定感を、大きく育ててくれます。
保護者の方へ――あなたの感覚を信じてください
「なんとなく気になる」「うちの子、あまり楽しそうじゃない」という感覚は、決して気にしすぎではありません。
お子さんのことを一番よく知っているのは、保護者の方です。その感覚を大切にして、お子さんにとって安心して学べる環境を、遠慮せずに選んであげてください。
幼児期の学びの環境は、受験の結果だけでなく、学ぶことへの姿勢と自己肯定感という、長い人生の土台をつくります。その土台を、どうか安心できる環境のなかで育ててあげてください。