
コンクリートに囲まれたい
「あれはレインボーブリッジだな」と遠目に見て思った。でもレインボーブリッジの形とか特に意識したことなかったのに。生まれと育ちが東京だと、案外テレビ等であれを目にする機会があったんだな。そう思いながら、昼下がりの長閑な海上都市を歩いた。東京湾に面した狭い河川敷でのんびりする人々と飼い犬はさながら「グランド・ジャット島の日曜日の午後」だった。
勝どきから、海上を埋め立てて建っている街・豊洲までを歩いた。地図上は26分の距離。遠く感じるがよくよく見てみるとルートもほぼ直線(大きな橋を渡ってすぐ)だったので、まっすぐ行くだけで着くならば!と歩くルートを選んだ。
都会で20分の距離って体感10分だ。これは引っ越してきてから気づいた。道がコンクリートでしっかり整備されているから?絶え間なく道行く人を見かけるからか?と思考を巡らせてみるも、しっくりくる答えは出なかった。「都会の徒歩20分と郊外の徒歩20分は同じ距離ではない」としか言えないこの感覚。
四方八方どこ向いても背が高いなんてもんじゃないレベルの高層マンションが囲む街中で生活する人々に思いを馳せる。この辺に住む人って最寄りのスーパーはどこなんだろ?子どもも居る。当たり前だが。「コンクリートジャングルで育つターザンは、きっとループを乗りこなす」と取り留めのないことを考える。犬はプードルが多かった。
ちなみに降り立った勝どき駅では、初めて見る名前のスーパーが駅で毎度お馴染みの!という顔で広告を出していた。「成城石井はチェーン店だぞ」と殴られたような気分になった。だがこの辺りはまだ下町感もある。橋を隔てて空気感が変わる。これはこの間仕事で築地から銀座へ歩いた時にも感じた。明確に「あっ今、銀座に入ったな」とわかるのだ。
東京はどこから見てもスカイツリーが「おっ、あの辺か」という位置にある。たぶんあそこが東京の真ん中。タケコプターさえあれば、と思ってしまうくらい、とても狭い都市。
ライブの余韻に浸りつつ、来た道を戻る形で駅へ向かった。街はすっかり夜の表情。高層マンションの明かりが点々と見える。あの光一つ一つにいくつもの「人生」があると思うとちょっと眩暈がするけど、私はやっぱり集合住宅が好きだ。レインボーブリッジは、わかりやすく虹色にライトアップされていた。