
あの夜、プラサヴェルデ屋上が映画館に|星空映画レポート
夕焼けから夜へと変わる空の下、屋上に広がった小さな映画館。
スマホではなく、同じスクリーンを囲む時間がそこにはありました。
高校生たちがつくった「星空映画庭」、今回のnoteではその舞台裏と当日の空気をお届けします。
■ 高校の垣根を越えて生まれたチーム「沼津ハイポート」

「沼津ハイポート」は沼津市内の高校に通うメンバーで構成された学生団体。沼津には公立・私立あわせて13校の高校があるんです。
学校の垣根を越えたつながりを作り、その中から新しい活動や挑戦を生み出していくために生まれたのが「沼津ハイポート」。
沼津市の事業への参加や、ボランティア活動の企画・運営などに取り組んでいます。
高校生の力で街を少しでも面白くしようと、日々活動しています。
■ 「一緒に観る」を、もう一度
今回の野外映画イベント「星空映画庭」は、動画配信サービスの普及により映画館や上映イベントに足を運ぶ機会が減っていることへの問題意識から生まれたのだそう。
「一つの作品をみんなで共有する体験を作りたい」。そんな思いを出発点に、高校生たちがゼロからイベントづくりに挑戦しました。
準備は数カ月前からスタート。
上映作品の選定や会場との調整、機材手配、広報まで、すべてを自分たちで進めてきました。
運営には沼津市のまちづくりのための補助金「沼津市民間まちづくり活動支援事業(マチカツ)」も活用しています。
■ 世代をつなぐ一本の映画

選ばれた作品は、世代を超えて楽しめる名作
「バック・トゥ・ザ・フューチャー(日本語吹替版)」。
「子どもにとっては新鮮に、大人には懐かしく感じてもらえる作品。
家族で同じ時間を共有できる点に魅力を感じた」とお話ししてくれました。
■ 地域とともにつくり上げた舞台裏

前日には、会場となるプラサヴェルデ屋上庭園で設営準備が行われました。
屋上へのスクリーン設置、人工芝の用意など
地元企業の協力に支えられ、この野外映画イベント「星空映画庭」は実現しました。
■ 屋上に広がった、小さな映画館

当日は16時30分に開場。お天気にも恵まれ、無事屋外での開催が叶いました。
来場者はレジャーシートやクッションを広げ、思い思いのスタイルでくつろぎながら開演を待ちます。
会場ではポップコーンやポテトチップス、ジュースをセットにした「ポップコーンセット」が提供され、ピクニックのような雰囲気が広がっていましたよ。

■ 夜空の下で生まれた一体感

日が沈み、空が夜へと移り変わる中で上映がスタート。
スクリーンに映し出された物語に、子どもたちは目を輝かせ、大人たちは懐かしさに浸る。
クライマックスに向かうにつれ、会場には自然と一体感が生まれ、“同じ場所で同じ作品を観る”という体験が、静かに共有されていきました。
■ 世代を超えて集まった50人

3歳からおひとりで訪れた60代女性まで、約50人が夜空の下に集まりました。
来場者からは「屋上の開放的な空間で映画を見るのは初めてで新鮮だった」、「家族で同じ作品を楽しめて良い思い出になった」といった声が聞かれ、イベントは盛況のうちに幕を閉じました。
■ 高校生がやり切った“リアルな達成感”

企画を主導した沼津ハイポート代表の十河楓さん(加藤学園暁秀高校3年)は、「SNSから少し離れ、自然の中で映画を楽しむ場を実現できました。準備は大変でしたが、その分、当日の景色は忘れられないものになりました」と振り返ります。
「企画から運営までを自分たちで担い、『エンタメに関わるワクワク感』を大切にしながら準備を進めることができたことも良かった」とも。
■ バトンは次の世代へ

所属する高校3年生は今回の「星空映画庭」をもって「沼津ハイポート」を卒業します。
今後については、「後輩たちが今後どんなことに取り組んでいくかはまだ分からないけれど、いろいろな企画を計画して街を盛り上げていってくれたら」とお話ししてくれました。
■ “共有体験”が残したもの

高校生たちの手で生まれたこの一夜は、単なる映画上映にとどまらず、人と人が同じ時間を共有することの価値をあらためて感じさせる機会となりました。
日常の延長にありながら、少しだけ特別な時間。
その可能性が、屋上の夜空の下に広がっていました。

ライター:宮川真由美(沼津経済新聞)