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Photo bymomoro66

家族の距離。

    実の家族でも、
    適度な距離感は必要なのだと、
    私は思う。


    私は三姉妹の長女として生まれた。
    今では立派な淑女(?)に成長したが、
    幼少期はとんでもない悪ガキだった。

    幼稚園では棚に登り、
    こっそり飴を密輸してはよく怒られていた。

    母から聞いた話では、
    友達の家に迎えに行った時、
    屋根の上から顔を出した私を見て、
    それはそれは驚いたらしい。

    そんな悪ガキだった私と、
    ずっと仲良くしてくれた友達と、
    その家族には感謝しかない。


    そんなふうに、
    怖いもの知らずでのびのびと育っていた私だが、
    ある時から家族の中にいることが、
    少し苦しくなっていった。

    中学生になってから、
    姉妹の中で私だけ可愛くないな、と
    だんだん気づいてしまった。

    下の妹二人は、
    身内びいきでなくても可愛い方だったと思う。

    実際、周りもそう言っていたし、
    当時の私にはとてもまぶしく見えた。

    妹たちは髪も細くサラサラで、
    目もクリクリしていて、
    私とはあまり似ていない。

    私はと言えば、
    髪は太く癖っ毛で、
    目は小さく、
    鼻ぺちゃだ。

    並んでいても、
    「友達?」
    と言われることの方が多いくらい、
    姉妹には見えなかった。

    三人揃っている時、
    「美人姉妹だね」
    と言われるたびに、

    「そこに私は入ってないけどね」
    と、勝手に受け取って、
    余計に心は荒んでいった。


    そうやって、
    だんだん劣等感が募っていき、
    自己肯定感もいつのまにか低くなっていた。


    どうせ私なんか。


    そんなネガティブな思考ばかりが、
    頭の中をぐるぐるするようになった。

    卒業アルバムも、
    もう見たくないから捨てた。

    こんな自分なんて、
    残しておかなくてもいいや。


    家族が何かしたわけじゃない。
    でも、
    勝手に比べて、
    勝手に苦しくなっていた。
    いつもイライラしてしまって、
    家にいると息が詰まってしょうがなかった。

    そして、
    だんだん卑屈になっていく。


    特に二番目の妹とは性格が合わなくて、
    喧嘩ばかりした。

    今思えば幼かったのだけれど、
    本気で誰かを「憎い」と思ったのは、
    あの頃の妹が初めてだったかもしれない。


    そんな中、
    高校で進学先を決める時期になった。

    どうせなら家を出よう。

    そう思った。


    IT系の学校は地元にもあったが、
    私はあえて他県の学校を選んだ。

    親がどう思っていたのかはわからない。

    でも、反対はされなかった。

    住む場所も一緒に選んでくれて、
    生活にかかるお金はすべて出してもらった。

    今思えば、
    好きなことを好きなようにやれる環境を
    用意してくれたことは、
    親なりの最大限の愛だったのだと思う。

    当時の私は、
    そのありがたみを
    ちゃんとわかっていなかった。


    そんなこんなで、
    私は十八歳で家を出た。

    ただの一度も、
    ホームシックとやらになることはなかった。

    むしろ、
初めてひとりで過ごす夜は、
    最高じゃん!
    と、ウキウキしてしまうほど快適だった。

    薄情なのかもしれない。
    でも、本当に楽だった。


    家族と離れて楽にはなった。
    
でも、
    それだけで急に
    コンプレックスで塗り固められた
    自分を好きになれるわけではなかった。


    二年ほど一人暮らしをしていたが、
    その間、
    実家に帰省したのはほんの数回ほど。

    「帰ってこないの?」
    という母からの問いには、
    勉強で忙しいから、
    などと適当な理由をつけてごまかしていた。

    ひとりで過ごす方が気楽でいいや、
    なんて思っていた。

    おかげで、
    たまに帰っても妹たちとは話題があまり合わず、
    ゆっくり話すこともないまま
    帰ることがほとんどだった。

    だから、
    あの頃の妹たちが
    どんなふうに過ごしていたのか、
    私はほとんど知らない。


    そして私はそのまま東京のIT会社に就職し、
    さらに実家から離れていった。

    その後、
    結婚し、
    子どもも生まれ、
    今に至る。


    今も実家に帰省するのは、
    年に三回ほどだ。

    そんな感じで、
    家族との距離は物理的には遠い。

    けれど今では、
    昔よりも近くに家族を感じている。

    毎日連絡を取り合うわけでもない。

    頻繁に帰省するわけでもない。

    でも、
    たまに帰った時に、
    一緒に料理して、
    一緒にふざけて、
    思い出話や、どうでもいいことで笑う。


    そのくらいが、
    私にはちょうどいい。

    家族だからといって、
    いつも近くにいればいいわけではない。

    近くにいることで苦しくなるなら、
    少し離れてみてもいい。

    離れたからこそ、
    気づけた大切なこともある。

    自分にとって、
    大切に思える距離にいられたら、
    それでいいのだと思う。


    今でこそ本人にも笑って話せるけれど、
    あの頃、死ぬほど憎かった妹のことも、
    今では可愛いし、とても大切に思っている。


    それに、
    今じゃ毎日鏡で見るこの鼻ぺちゃ顔も、
    好きになれたし、ね。


     
     

    ぽん

     
     
    パニック障害と向き合いながら、時に泣いたり笑ったり。在宅でプログラマをしながら、日々の暮らしを満喫中。 なんてことない日常エッセイを中心に、気ままにのんびり発信しています。 どうぞよろしくお願いします🐹🍀

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