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音楽特化の個人VTuberは、どこを目指せばいいのか

    アニメ主題歌に起用された先輩Vたちから考える、歌をIPにする道

    VTuberとして活動したい人の中には、
    「歌をやりたい」
    「オリジナル曲を出したい」
    「いつかアニメの主題歌を歌いたい」
    と思っている人も多いと思います。

    歌枠をする。
    歌ってみたを出す。
    オリジナル曲を作る。
    3Dライブをする。
    音楽フェスに出る。
    アニメのOPやEDを担当する。

    音楽を軸に活動するVTuberにとって、目標はいくつもあります。

    もちろん、アニメ主題歌だけが正解ではありません。
    でも、音楽で活動するVTuberにとって、アニメのOP・ED・挿入歌は、ひとつの大きな夢として見られやすい場所だと思います。

    では、実際にそこへ辿り着いている先輩たちは、どんな道を歩いているのでしょうか。

    今回は、アニメ主題歌やアニメ関連楽曲に起用されたVTuber、バーチャルシンガー、バーチャル表現を持つアーティストの例を見ながら、音楽特化の個人VTuberがどこを目指せるのかを考えてみます。


    アニメ主題歌の枠は、そもそも限られている

    まず前提として、アニメのOP・ED枠は無限にあるわけではありません。

    今はNetflixやDisney+、ABEMAなど、テレビ放送だけではないアニメ作品も増えています。
    たとえばNetflix独占配信のアニメーション映画『超かぐや姫!』のように、配信プラットフォーム発の作品も出てきています。

    Netflix映画『超かぐや姫!』公式サイト

    こうした新しい窓口ができたことで、アニメ音楽の入り口は昔より少し広がったように見えます。

    ただ、それでもテレビアニメのOP・ED枠は基本的に有限です。

    1クールに放送される作品数があり、
    その中にOPとEDがあり、
    さらにそこには制作委員会、レーベル、音楽出版社、アニメ制作会社、広告代理店、配信、CD、イベント展開など、さまざまな関係者がいます。

    つまり、アニメ主題歌は「歌が上手いから採用される」だけの場所ではありません。

    もちろん歌唱力は大事です。
    でも、それだけではなく、

    ・作品に合う声か
    ・話題性があるか
    ・ファンが反応するか
    ・宣伝効果があるか
    ・権利処理ができるか
    ・レーベルや事務所が動けるか

    こういった条件も関わってきます。


    平成から令和へ、アニソンの起用は変わってきた

    平成の時代、アニメ主題歌では声優アーティストや、アニソンを専門に活動しているアーティストが起用されることが多かったと思います。

    そこには、固定のレーベルや制作会社がありました。

    ランティス、キングレコード、ソニーミュージック、ポニーキャニオン、ビクター、ユニバーサル、avexなど。
    アニメ音楽に強い会社があり、そこに所属している声優さんやアーティストが作品と結びつく。

    その後、J-POPアーティストがアニメ主題歌を担当することも増えました。

    そして令和に入ると、ネット発の音楽がさらに強くなりました。
    YOASOBIさん、米津玄師さんのように、ネット文化と強くつながるアーティストがアニメを通して大きく広がる例も出てきました。

    その流れの中で、VTuberやバーチャルシンガー、リアルとバーチャルを行き来するアーティストも、少しずつアニメ主題歌に起用されるようになってきています。

    ただし、ここで大事なのは、
    Vがアニメ主題歌に起用される時も、やはり多くの場合、レーベルや音楽制作の導線があるということです。

    完全に個人のまま、何の音楽窓口もなくアニメOP・EDに入る例は、かなり少ないと思います。


    音楽特化Vが持ちやすい目標

    音楽でやっていきたいVTuberが持ちやすい目標は、このあたりだと思います。

    1. 歌枠で見つけてもらう

    2. 歌ってみたを伸ばす

    3. オリジナル曲を出す

    4. MVを作る

    5. 音楽配信サービスに楽曲を出す

    6. 3Dライブをする

    7. 音楽イベントやフェスに出る

    8. レーベルや音楽チームと組む

    9. アニメOP・ED・挿入歌を担当する

    10. 自分の音楽IPとして活動を広げる

    この中で、アニメ主題歌はかなり上の方にある目標です。

    でも、いきなりそこだけを狙うのは難しい。

    まずは、
    「この人は何を歌う人なのか」
    「どんな作品に合う声なのか」
    「どんなファンがいるのか」
    を積み上げる必要があります。


    星街すいせいさん:個人発の夢を、企業とレーベルで広げた例

    音楽特化VTuberを語る上で、星街すいせいさんは外せない存在だと思います。

    個人勢として活動を始め、そこからホロライブへ所属。
    「歌で大きなステージに立ちたい」という夢を持ち続け、今ではVTuberという枠を超えて、アーティストとしても広く知られる存在になっています。

    『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』では、エンディングテーマ「もうどうなってもいいや」と挿入歌「夜に咲く」を担当。
    さらに『真夜中ハートチューン』ではOPテーマ「月に向かって撃て」も担当しています。

    レーベルとしては、Sony Records/Sony Musicの導線があります。

    星街すいせい「もうどうなってもいいや」

    『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』ノンクレジットED

    星街すいせいさんの例から見えるのは、
    企業がゼロから全部作ったというより、本人が先に持っていた音楽の軸を、ホロライブとレーベルがさらに広げたという形だと思います。

    個人で始める。
    自分の歌の軸を作る。
    ファンを作る。
    そこから企業やレーベルと組んで、もっと大きな場所へ行く。

    これは、音楽特化の個人Vが考えられるひとつの理想形だと思います。


    Mori Calliopeさん:海外ファンと大型IPに接続した例

    Mori Calliopeさんは、hololive English所属のVTuberアーティストです。

    特に大きな例として、『ONE PIECE』106巻公式テーマソング「未来島 ~Future Island~」を担当しています。
    この楽曲は、のちにTVアニメ『ONE PIECE』エッグヘッド編のおまけコーナー使用曲にもなりました。

    『ONE PIECE』106巻 公式テーマソング「未来島 ~Future Island~」PV

    Mori Calliope「未来島 ~Future Island~」MV

    また、『Suicide Squad ISEKAI』ではEDテーマ「Go-Getters」も担当しています。
    レーベルとしては、EMI Records/Universal Musicの導線があります。

    Mori Calliope「Go-Getters」

    この例で大事なのは、
    「歌が上手い」だけではなく、英語圏、ラップ、海外ファン、作品との相性があることです。

    アニメや大型IPに起用される時、
    その人を起用する理由が必要になります。

    Mori Calliopeさんの場合は、海外にも届くVTuberアーティストであり、ラップや英語表現を持っていることが大きな特徴です。

    これは、これからの音楽Vにとってかなり大事な視点です。

    自分はどんな作品に合うのか。
    どんなジャンルで呼ばれやすいのか。
    どんなファン層を持っているのか。

    その答えが見えている人ほど、アニメや商業音楽に接続しやすくなると思います。


    にじさんじ勢:アニメ音楽レーベルとの接続

    にじさんじ所属のVTuberも、アニメ主題歌に多く起用されています。

    樋口楓さんは、
    『英雄教室』OPテーマ「Bravery? Naturally?」
    『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』OPテーマ「キュンリアス」
    同作品第2期OPテーマ「CALLING†」など、複数のアニメタイアップがあります。

    レーベルはLantisです。

    樋口楓「キュンリアス」

    葛葉さんはNetflixアニメ『グッド・ナイト・ワールド』のOPテーマ「Black Crack」を担当。
    レーベルはVirgin Music/Universal Musicです。

    葛葉「Black Crack」

    同じ『グッド・ナイト・ワールド』では、NornisがEDテーマ「salvia」を担当しています。
    Nornisはにじさんじの音楽レーベルAltonic Recordsからリリースされています。

    Nornis「salvia」

    叶さんは『オーバーテイク!』OPテーマ「Tailwind」を担当。
    レーベルはLantisです。

    TVアニメ『オーバーテイク!』ノンテロップOP

    ここから見えるのは、にじさんじ内でも、
    ソロアーティスト型、ユニット型、Netflix作品、TVアニメなど、複数の接続方法があることです。

    ただし、どの例も、個人が直接アニメ制作側に行っているというより、
    事務所、レーベル、作品側の導線があると見た方が自然です。


    緋月ゆいさん:Neo-Porteからポニーキャニオンへの例

    Neo-Porte所属の緋月ゆいさんも、アニメ主題歌の例として重要です。

    『異世界のんびり農家』EDテーマ「Feel the winds」
    『婚約破棄された令嬢を拾った俺が、イケナイことを教え込む』OPテーマ「イケナイエトランゼ」
    『異世界のんびり農家2』EDテーマ「Sunny Steps」

    など、複数のアニメタイアップがあります。

    レーベルとしては、ポニーキャニオンの導線があります。

    緋月ゆい「Feel the winds」公式音源

    緋月ゆい「イケナイエトランゼ」

    この例は、ホロライブやにじさんじ以外でも、事務所とレーベルの導線があればアニメ主題歌に接続できることを示していると思います。

    大手2社だけではなく、別の事務所やレーベルからも道はある。

    ただし、ここでもやはり、音楽流通やレーベルの存在は大きいです。


    赤見かるびさん:個人勢スタートでも届く可能性

    個人勢スタートの例として特に注目したいのが、赤見かるびさんです。

    『友達の妹が俺にだけウザい』のOPテーマ「ウザ可愛くて何が悪い!」を担当しています。

    レーベルはPolydor Recordsです。

    公式アニメMUSICページ

    この例はかなり重要だと思います。

    赤見かるびさんは、企業VTuberというより、個人勢VTuberとして存在感を作ってきた方です。
    今は所属の形になっていますが、それでも「個人勢スタートでもアニメOPに届く可能性がある」と見られる例だと思います。

    ただし、ここでも完全に個人だけで完結しているわけではありません。
    アニメ公式ページにはPolydor Recordsの表記があります。

    つまり、個人勢スタートでもアニメ主題歌に行ける可能性はある。
    でも、その時にはやはりレーベルや音楽制作の導線に乗っている。

    個人Vがアニメ主題歌を目指す上で、一番現実的なヒントがここにあると思います。


    七海うららさん:リアルとバーチャルを行き来する歌手の道

    七海うららさんは、厳密には個人VTuberというより、
    リアルとバーチャルを行き来するパラレルシンガーとして見た方が正確だと思います。

    『未来の黒幕系悪役令嬢モリアーティーの異世界完全犯罪白書』OPテーマ「感情革命ロックンロール」を担当。
    また、再放送版『暗殺教室』の新EDテーマも担当しています。

    所属・音楽窓口としては、avex/muchooの導線があります。

    七海うらら「感情革命ロックンロール」

    七海うららさんの例は、
    「VTuberとしてアニメ主題歌に行く」というより、
    バーチャル表現を持つ歌手として、音楽業界に接続していく道だと思います。

    これは音楽特化の人にとって、かなり大きなヒントです。

    必ずしも完全にVでなければいけないわけではない。
    リアルとバーチャルを行き来しながら、歌手として活動する道もある。


    KAMITSUBAKI・花譜さん・V.W.P:スタジオ型の成功例

    花譜さんやV.W.Pも、アニメ主題歌やアニメプロジェクトと深く関わっています。

    ただし、ここは個人Vの参考例として見るより、
    KAMITSUBAKI STUDIOという強い制作チーム、世界観、音楽プロジェクトの中で育ったスタジオ型の成功例として見た方が正確だと思います。

    花譜さんは『中禅寺先生物怪講義録 先生が謎を解いてしまうから。』のOP主題歌に参加。
    V.W.Pは『未ル わたしのみらい』や『神椿市建設中。』など、プロジェクト型のアニメ音楽と強く結びついています。

    これは個人Vがそのまま真似するには難しいです。

    でも、学べることはあります。

    音楽、世界観、映像、物語、ライブ。
    それらを一体で見せると、バーチャルアーティストはかなり強いIPになります。

    個人で始める場合も、最終的には
    「自分はどんな世界観の音楽を届ける人なのか」
    を考える必要があると思います。


    主な起用例とレーベル・音楽導線

    確認できた範囲で、主な例をまとめるとこうなります。

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    こうして見ると、かなりはっきりします。

    アニメ主題歌に起用されているVやバーチャル系アーティストの多くは、
    レーベル、音楽プロダクション、事務所内レーベル、もしくは音楽制作の窓口を持っています。

    ホロライブだから起用される。
    にじさんじだから起用される。
    もちろんその面もあります。

    でも、それだけではありません。

    そこには、
    Sony Music、Lantis、Universal Music、Pony Canyon、Victor、avex、Warner Music Japan、KAMITSUBAKI STUDIO、hololive RECORDS、ANYCOLOR系レーベルなど、
    音楽業界側の導線が見えます。


    アニメ主題歌をやりたい個人Vに必要なこと

    ここから、音楽特化の個人Vが学べることは何でしょうか。

    私は、まずこの5つだと思います。

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    1. 歌が上手いだけではなく、「何を歌う人か」を作る

    歌が上手い人はたくさんいます。

    だからこそ、
    自分はどんな歌を歌う人なのか。
    どんな作品に合う声なのか。
    どんな感情を届ける人なのか。
    そこを作る必要があります。

    「この作品ならこの人に歌ってほしい」と思われる理由が必要です。

    2. 作品として残る音楽を積み上げる

    配信で歌が上手いだけでは、外部の人には伝わりにくいです。

    歌ってみた。
    オリジナル曲。
    MV。
    ショート歌唱動画。
    ライブ映像。
    音楽配信。

    こういう形で、外から見ても分かる実績を残すことが大事です。

    3. レーベルや制作チームと組める状態を作る

    アニメOP・EDは、個人で直接取りにいくのがかなり難しい場所です。

    だから、どこかのタイミングで、

    ・音楽プロデューサー
    ・レーベル
    ・作曲家
    ・MIXエンジニア
    ・MV制作チーム
    ・事務所
    ・イベント制作会社
    ・アニメ制作側の関係者

    とつながれる状態を作る必要があります。

    これは、最初から大手に所属しなければいけないという意味ではありません。

    個人で実績を積み、
    「この人は本気で音楽をやっている」
    「この人と組むと作品になる」
    と思ってもらえる状態を作ることが大事です。

    4. ファン層を作る

    アニメ主題歌は、作品のための音楽です。
    でも同時に、宣伝でもあります。

    この人を起用したら、どんな人が反応するのか。
    作品の視聴者と相性が良いのか。
    SNSで広がるのか。
    海外にも届くのか。

    起用される理由は、歌唱力だけではなく、ファン層にもあります。

    5. 権利や信頼を整える

    音楽の仕事では、権利処理がとても大事です。

    楽曲の権利。
    歌唱契約。
    配信権。
    CD化。
    MV使用。
    イベント使用。
    海外配信。
    YouTubeでの使用。
    ショート動画での使用。

    個人で活動していると、このあたりが曖昧になりやすいです。

    でも商業音楽に入るなら、曖昧なままでは難しい。

    だからこそ、個人Vでも、
    自分の活動を仕事として扱う準備が必要になります。


    個人Vが目指せる現実的な道

    音楽特化の個人VがいきなりアニメOPを取るのは難しいと思います。

    でも、道がないわけではありません。

    現実的には、こういう流れが考えられます。

    1. 歌枠や歌ってみたで見つけてもらう

    2. オリジナル曲を作る

    3. MVを出す

    4. 音楽配信をする

    5. 小さなライブやイベントに出る

    6. 作曲家やクリエイターと継続的に組む

    7. 自分の音楽性を言語化する

    8. ファン層を作る

    9. レーベルや事務所、音楽チームと接続する

    10. アニメ・ゲーム・広告・イベントのタイアップを目指す

    アニメ主題歌は、最後の方にある目標です。

    でも、そこに行くまでの道は、今の個人Vにも作れると思います。

    星街すいせいさんのように、個人から始まり、企業に入り、音楽IPとして広げていく道。
    赤見かるびさんのように、個人勢としての存在感を持ちながら、レーベル導線でアニメ主題歌に入る道。
    七海うららさんのように、リアルとバーチャルを行き来しながら、歌手として音楽業界へ接続していく道。

    ひとつの正解ではなく、いくつかのルートがあります。


    まとめ:歌をIPにするために必要なこと

    音楽特化VTuberにとって、アニメOP・EDは大きな夢のひとつです。

    でも、アニメ主題歌に起用された先輩たちを見ていると、
    ほとんどの例で、レーベルや音楽制作チーム、事務所、音楽業界との接点があります。

    つまり、アニメ主題歌を目指すなら、
    ただ「歌が好きです」だけでは足りません。

    この人は何を歌う人なのか。
    どんな作品に合う声なのか。
    どんなファンがいるのか。
    どんな楽曲実績があるのか。
    誰と組める状態なのか。
    権利や制作体制を整えられるのか。

    そこまで含めて、音楽活動を設計する必要があります。

    でも逆に言えば、個人Vにもチャンスはあると思います。

    最初から大きな事務所に入れなくてもいい。
    最初からレーベルに所属していなくてもいい。

    まずは、自分の歌を作品として残す。
    自分の音楽性を言葉にする。
    ファンに「この人の歌が好き」と思ってもらう。
    クリエイターや音楽チームと少しずつつながる。
    そして、いつか大きな場所に届く準備をしておく。

    音楽特化の個人VTuberが目指すべきなのは、
    ただ歌うことではなく、
    自分の歌を、自分のIPにしていくことなのだと思います。

    アニメ主題歌は、その先にあるひとつの大きな入口です。

    だからこそ、今から始める人は、
    「いつかアニメの主題歌を歌いたい」と夢を見るだけではなく、
    「その時、なぜ自分が選ばれるのか」
    を少しずつ作っていくことが大切なのだと思います。

     
     
    アニメ・本・音楽から「人はなぜ誰かを応援したくなるのか」を考えています。200万人超えの登録者作り出すのエンタメ裏方です。キャラクター分析と自己プロデュースの記録。

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