メインコンテンツへスキップ
見出し画像

【2027概算要求】外国人政策の総合的対応策、369個の施策は予算要求にどう反映されるのか|法務省・内閣府・文部科学省

    要点:外国人政策の総合的対応策。1 いま:二つの柱に並ぶ施策は369施策。2 予算:2027年度の概算要求で、対応策を根拠に予算を求めた府省は、法務省・内閣府・文部科学省。
    • 外国人政策の総合的対応策には、二つの柱に369個の施策が並んでいます。

    • 2027年度の概算要求では、法務省・内閣府・文部科学省の3府省が、対応策を根拠に予算を求めています。

    • 公開されている資料では、国会で例に挙がった施策でも、対応策から該当の事業を結びつけることはできませんでした。

    「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」は、369の施策を二つの柱で並べている

    総合的対応策は、政府の関係閣僚会議が2026年1月に決めた、外国人の受入れと共生についての方針です。

    「国民の安全・安心のための取組」では、出入国・在留管理、税・社会保障などの制度の適正化、土地取得等のルールを扱います。
    「外国人が日本社会に円滑に適応するための取組」では、日本語教育、相談体制、ライフステージに応じた支援、自治体への支援を扱います。
    この二つの柱に基づいた施策が369個挙げられています(注1)。

    これらの施策の対象は、日本に在留する外国人(2025年6月末で395万6,619人)と訪日外国人です。
    外国人を受け入れる企業や学校、地方公共団体が果たす役割についても、施策が設定されています。

    総合的対応策のうち、国民の安全・安心のための取組の施策と時期。2026年度(令和8年度)に不法滞在者ゼロプランの強力な推進、特定在留カード等の運用開始と普及の促進、来日前・来日後の日本語教育の充実、民泊データの一元管理、安全保障の観点からの土地取得等のルールの骨格のとりまとめなど、2026・2027年度に永住者の審査の厳格な運用と許可基準の見直し、医療費不払の情報共有の基準額の引下げと中長期在留者への拡大、2027年度に護送官付き国費送還を2024年の249人から倍増、入管庁が国民健康保険料・国民年金保険料の納付情報などの提供を受けること、税・国保料などの情報連携を在留審査等に活用、2027年度以降に外国人によるマンション取得の実態の把握、2028年度に電子渡航認証制度(JESTA)の導入

    注1:施策の数は、「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」本文に付いた施策番号で数えています。

    国会の答弁は、不法滞在者ゼロプランや未納防止を施策の例に挙げた

    1月に取りまとめた対応策の中身は、2026年3月の衆議院予算委員会で、内閣府特命担当大臣が答弁で説明しています。
    答弁では、「不法滞在者ゼロプランの強力な推進」や「税や社会保険料の未納防止」などが施策の例に挙がりました。

    国会の会議録から:2026年3月2日、衆議院 予算委員会。小野田紀美 内閣府特命担当大臣の答弁「本年一月二十三日、外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策を取りまとめました。……例えば、不法滞在者ゼロプランの強力な推進、在留審査の厳格化、永住許可や帰化についての審査の厳格化、税や社会保険料の未納防止など、幅広い施策を盛り込んでおります。」

    2027年度の要求は、3府省が対応策を根拠に挙げている

    2027年度の概算要求では、この対応策を根拠に、法務省・内閣府・文部科学省の3府省が予算を求めています(注2)。

    2027年度概算要求のうち、総合的対応策を根拠に挙げている項目と要求額。法務省(出入国在留管理庁)外国人材の適正かつ円滑な受入れ・秩序ある共生社会実現のための取組等263.7億円(前年度136.5億円。うち公正な在留管理の推進・秩序ある共生社会の実現(マイナンバーを用いた税・社会保障に係る情報連携、日本語・生活学習プログラム(仮称)の開発 等)155.1億円、治安の維持、不法滞在者対策(被退去強制者の送還促進、不法滞在者対策の強化 等)12.9億円、難民等の適正かつ迅速な庇護の推進16.0億円、上記のほか79.6億円)、内閣府 安全保障の観点からの新たな土地取得等のルールの在り方に関する措置の実施等12.0億円+事項要求(前年度6.8億円)、文部科学省 外国人等に対する日本語教育の推進(事業番号:1805)23億円+事項要求(前年度16億円。うち日本語・生活学習プログラム(仮称)の創設は事項要求)

    注2:対応策を根拠に挙げている項目は、18の府省庁の2027年度概算要求の概要のうち、「総合的対応策」の名前が出てくるものです。
    出入国管理のシステム経費の一部は、デジタル庁がまとめて要求しています。

    総合的対応策の施策・概算要求の項目・国の事業は、公開資料では結びつけられない

    「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」の施策、2027年度の概算要求の項目、行政事業レビュー(国の事業ごとに予算と使い道をまとめた資料)の事業の3つは、それぞれ別の単位で書かれています。
    公開されている資料では、この3つを事業番号や金額で結びつけられません(注3)。

    答弁が挙げた施策は、法務省の2027年度概算要求の項目まではたどれます。

    • 不法滞在者ゼロプランは、「治安の維持、不法滞在者対策」(12.9億円)の説明の中に出てきます。

    • 税や社会保険料の未納防止に関わる情報連携は、「公正な在留管理の推進・秩序ある共生社会の実現」の中身にあります。

    そして、法務省の2027年度概算要求の項目の中身の一部は、行政事業レビューの事業「出入国管理業務の実施」(事業番号936)の2027年度の要求にも掲載されています。
    ただし、項目と事業では名前も額も異なり、項目に含まれているのは事業の予算の一部だけです(注4)。

    そのため、事業の予算のどの部分が対応策の施策に当たるのかは、たどれません。

    注3:対応策の本文と概要、法務省・内閣府・文部科学省の2027年度概算要求の資料、2026年度の行政事業レビューを確認しました。
    注4:法務省の2027年度概算要求資料に記載されている「外国人材の適正かつ円滑な受入れ・秩序ある共生社会実現のための取組等」の項目の2026年度の当初予算には、事業番号936の全額は含まれていません。当該項目の2026年度の当初予算は136.5億円で、事業番号936の2026年度の当初予算151.0億円より少ないためです。

    もっと知りたい:「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」の369の施策は、それぞれどの事業と対応するのか。どこで、何を使って事業進捗を確かめるのか。「外国人が日本社会に円滑に適応するための取組」にあたる施策の対応時期は、いつごろ決まるのか。

    政策を、事業として語ろう。誰が、何に、いくら使って、何を目指すのか。事業計画を読むのと同じように、公共政策を考えてみませんか?

    (ひとこと)
    複数の府省庁にまたがる政策文書なので、構造を理解するのにとても苦労しました。。
    スキしてくださると次もがんばれます!


    参考

     
    国・自治体の施策に関わる方や、政策をより良くしたいと考える方向けに、国の予算や行政事業のデータをグラフで読み解き、少しだけ深掘りしてお届けします。 事業ごとの投資対効果を見える化し、より良い政策運営につながることをゴールとしています。

    あなたへのおすすめ