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会話の続く人

    「すいません、お待たせ致しました」

    サイズ違いの商品をストックから持ってくる。

    店頭ではよくある光景。

    実はその短い時間に、
    販売員は意外と多くのことを考えている。

    服装、年代、選んだ商品の傾向。

    何を求めているのか。

    自分自身も、
    そうやって次の会話を探していた。

    ただ、
    今振り返ると思う。

    “提案”ばかりになっていた、と。

    「着回しが効きます」
    「こちらのボトムとも相性が良いです」

    もちろん間違いではない。

    でも、
    それだけだと会話は続かない。

    本当に大事だったのは、
    お客様を“知ろうとすること”だった。

    試着中、
    鏡越しに見えたデニム。

    リーバイスの大戦モデル。

    「ペンキステッチの存在感って良いですよね」

    そう一言添えると、
    服の話ではなく、
    いつの間にかデニムの話で盛り上がっている。

    売ろうとしていたはずなのに、
    気づけば“会話”になっていた。

    そして最後に、

    「これ買うよ」

    と言ってもらえる。

    その瞬間に感じるのは、
    商品を気に入ってもらえた嬉しさだけじゃない。

    “信頼してもらえた”

    という感覚だった。

    今でも思う。

    人は、
    モノだけにお金を払っているわけじゃない。

    その時間や、
    その会話
    その空気ごと記憶に残っている。

    だからこそ、
    会話が続く人には、
    また会いに行きたくなるのかもしれない。

     
     
    「似合う」を育てる記録。 服だけじゃない。 身体も。 暮らしも。 人との関わり方も。 接客で学び、 日々の暮らしで気づき、 40歳から始めた「MOVE.50」とともに、 50歳の自分を育てています。

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