
同じことを、違う言葉で。
今日は、話し方について少し書いていこうと思う。
販売員になりたての頃は、まず覚えること。
その服の特徴。
機能性。
ストロングポイント。
とにかく、知っていることをお客様に伝えることが仕事だと思っていた。
でも、接客する相手は老若男女問わず幅広い。
若い女性に説明するのか。
少し年配の男性に説明するのか。
同じ商品の、同じ機能を伝えるとしても、同じ言葉では伝わりにくい。
ある時から、そんなことを意識するようになった。
例えば、機能性のある服を若い女性や学生の方に紹介する時。
難しい言葉を並べるよりも、
「雨の日でも、これならあまり気にせず着られますよ」
「軽いので、一日着ていても楽だと思います」
そんなふうに、実際の生活を想像しやすい言葉で伝える。
反対に、年配の男性のお客様であれば、同じ機能でも、素材感や仕立て、品の良さや高級感が伝わるような表現を選ぶこともある。
商品は同じ。
伝えている機能も同じ。
それでも、入り口となる言葉は変えられる。
そう考えるようになってから、普段から「同じことを違う言葉で表現する」ことを意識するようになった。
これは、接客のためだけではなかった。
いろんなライフスタイルを想像してみる。
自分だったら、どんな場面でこの服を着るだろう。
この人だったら、どんな時にこの機能が役に立つだろう。
そして、実際にたくさんのお客様と接客する。
一人ひとり違う生活があり、違う価値観がある。
その経験が少しずつ、自分の中の言葉の引き出しを増やしていった。
今振り返ると、僕は商品の魅力を説明していたというより、
その人の生活の中に、その商品の魅力を置き換えていたのかもしれない。
「撥水性があります」ではなく、
「こういう時に便利ですよ」と伝える。
「軽量です」ではなく、
「こういう一日を過ごすなら、きっと楽ですよ」と伝える。
知識を覚えることは、販売員としての土台。
でも、その知識を相手に届く言葉へ変えていくこと。
それも、接客の大切な部分だったのだと思う。
相手をよく見る。
そして、その人に合った商品の魅力への入り口を探す。
そのために、たくさんの人と話す。
たくさんの生活を想像する。
たくさんの言葉を使ってみる。
そうやって積み重ねてきた経験が、今の自分の「話す」というスキルにつながっているのだと思う。