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キャッチボール

    キャッチボール

    「クローズドクエスチョンは避ける」

    接客の現場で、よく聞くアドバイスの一つ。

    確かに、
    お客様の行動や表情を見ながら、
    会話のきっかけを作ることは大切だと思う。

    実際に自分自身も、
    そういった教育を受けてきた。

    ただ、経験を重ねる中で感じたことがある。

    質問の形そのものが重要なのではなく、
    “やり取り”が成立しているかどうかの方が大事だということ。

    どれだけオープンな問いかけをしても、

    「大丈夫です」  
    「結構です」

    と返されることは多い。

    その瞬間、
    会話は止まってしまう。

    でも、後から気づいた。

    その人も、
    何も目的がなく入店しているわけではない。

    ただ、
    まだ言葉にしていないだけ。

    店内で手に取るもの。  
    視線の動き。  
    年齢や服装。

    そういった小さな情報から、
    「こんな感じを探しているのかな」と仮説を立てる。

    そして、

    “答えやすい形”で言葉を投げる。

    すると、

    「そうなんですよ」

    と、自然に会話が返ってくる。

    もちろん外れることもある。

    でも、その繰り返しで、
    少しずつ精度は上がっていく。

    気づいたのは、

    会話は“質問”ではなく、
    “キャッチボール”だということ。

    一方的に投げるだけでは続かないし、  
    強すぎても、弱すぎても続かない。

    相手が受け取りやすい球を投げる。

    そして、返ってきたものを受け止める。

    その積み重ねが、
    心地よい空間をつくる。

    この感覚は、
    接客に限った話ではないと思う。

    バーテンダーや美容師、トレーナーなど、
    人と向き合う仕事をしている人たちの会話には、
    どこか共通点がある。

    相手が何を求めているのか。  
    この空間は心地よいのか。

    それを感じ取りながら、
    やり取りを続けている。

    アパレルの接客を通して学んだのは、

    人は、言葉を交わしているようでいて、  
    本当は“空気”をやり取りしているのかもしれない、
    ということだった。

    良い接客は、話す量ではなく、続くかどうかで決まる。

     
     
    「似合う」を育てる記録。 服だけじゃない。 身体も。 暮らしも。 人との関わり方も。 接客で学び、 日々の暮らしで気づき、 40歳から始めた「MOVE.50」とともに、 50歳の自分を育てています。

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