
聞き上手な人は、よく見ている
買い物の体験の中で、
なぜかずっと記憶に残っている接客がある。
それは、
すごく話が上手かった訳でも、
強く薦められた訳でもない。
静岡・沼津にある古着屋での体験だった。
アメリカやヨーロッパで買い付けられた、
一点物の古着やアクセサリーが並ぶ店内。
ラックやガラスケースを眺めているだけでも、
服好きにはたまらない空間だった。
でも、
印象に残っているのは商品だけじゃない。
店主のお二人の距離感だった。
知識を押し付ける訳でもなく、
必要以上に話しかけてくる訳でもない。
ただ、
「気になることがあれば聞いてくださいね」
そんな空気が自然とある。
でも実際には、
お客様のことをよく見ている。
長く見ているアイテム。
手に取る素材。
反応するディテール。
そういった小さな動きから、
好みを理解しようとしているのが伝わってくる。
だから不思議と、
こちらから話しかけたくなる。
商品の背景や特徴を、
自然と聞きたくなる。
そこには、
“売ろう”という空気よりも、
“服が好き”という熱量があった。
服飾の勉強を通して、
歴史や知識は沢山学んできた。
でも、
こういう空気感の作り方は、
座学では学べない。
聞き上手な人は、
話すのが上手いのではなく、
相手をよく見ている人なのかもしれない