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先読み

    相手のことを想い、心地よい空間をつくる。
    接客でも、日常でも、とても大切なことだと思っている。

    では、それを無意識にできるようになるには、どうしたらいいのか。

    僕は、大きく二つあると思う。

    一つは、自分自身がたくさん困り、誰かに助けてもらうこと。
    自分が気づかないうちに誰かがしてくれたことが、あとになって「心地よかった」と気づく。

    もう一つは、相手が困りそうなことを先読みして、自ら動くこと。
    まだ頼まれていないけれど、先に仕掛ける心地よさだ。

    例えば、試着を終えて靴を履こうとしたとき、靴ベラをさっと差し出してもらったことがある。

    朝、自宅を出るときにいつも指を挟みながら、しゃがんで履いている靴。
    それが、その瞬間だけは苦労せず履けた。
    ほんの小さなことだけど、心地よかった。

    その販売員は、僕が「靴ベラください」と言うのを待っていたわけではない。

    靴を履く動作を見て、

    「必要かもしれない」
    と先読みして動いた。

    きっとこういうことは、自分自身が誰かにしてもらった経験がなければ、なかなか気づけない。

    そして、相手のことを想う意識を普段から持っていなければ、先読みすることもできない。

    声を掛ける。
    商品を説明する。
    納得して購入していただく。

    その一つひとつの流れの中にも、販売員が先読みできる場面はたくさんある。

    お客様が何を求めているのか。
    次に何が必要になるのか。
    困る前に、そっと手を差し出せるか。

    接客とは、言葉だけではない。

    相手を想い、少し先を考えて動く。
    その積み重ねが、心地よい空間をつくる。

    「先読み」する意識を、無意識にできるまで持ち続ける。

    それも、接客という仕事の大切な一つだと、今でも思っている。

     
     
    「似合う」を育てる記録。 服だけじゃない。 身体も。 暮らしも。 人との関わり方も。 接客で学び、 日々の暮らしで気づき、 40歳から始めた「MOVE.50」とともに、 50歳の自分を育てています。

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