
値札。
7月の終わりになると、店頭には「SALE」の文字が並び始める。
あと2か月もすると、店内には長袖が並び始める。
アパレルは、いつも季節より少し先を歩いている。
SALEは、お客様にとって楽しみな期間だと思う。
「気になっていた服が30%OFFになっているかもしれない。」
もし運良く残っていたら、それは嬉しい出会いになる。
一方で、販売する側から見れば、次の季節へ向けて在庫を整理する大切な期間でもある。
どちらも間違ってはいない。
でも私は昔から、SALEという期間になると少しだけ気になることがあった。
それは、服ではなく”値札”を見る時間が増えてしまうことだった。
30%OFF。
50%OFF。
「お得」という言葉が先に立つと、本来見ていたはずのシルエットや素材、色、自分に似合うかどうかという視点が、少しだけ後ろへ下がってしまう。
私自身もSALEで服を買ったことは何度もある。
でも振り返ると、そうして買った服ほど、着る時間は短かった。
気付けばクローゼットの奥へしまわれ、いつしか倉庫番になっていた。
買った理由が、
「好きだったから。」
ではなく、
「安かったから。」
になっていたのかもしれない。
もちろん、SALEが悪いと言いたいわけではない。
本当に欲しかった一着に出会えることもある。
だからこそ私は、値札を見る前に一度だけ考えるようにしている。
「来年も、この服を着たいと思えるだろうか。」
その答えが「はい」なら、きっとその服とは長い付き合いになる。
値札は、買うきっかけにはなる。
でも、その服を好きでいられる理由にはならない。
だから私は今日も、値札より先に、その服を見ていたいと思う。