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接客とは、声をかけることではない。

    アパレルで働いていた頃、入店されたお客様への最初の声掛けを「ファーストアプローチ」と呼んでいた。

    「ごゆっくりご覧くださいませ」
    「サイズよかったらお伺いしますよ」

    よく聞く言葉だ。

    もちろん、声を掛けること自体が悪いわけではない。

    ただ、いつしか「とりあえず声を掛けておけばいい」という行為になってしまうことがある。

    販売員としては「アプローチした」という結果が残る。
    でも、お客様にとって、それが心地よい接客だったとは限らない。

    僕自身、ラルフローレンで働いた経験が大きかった。

    そこで教わったのは、"お客様を自宅に招き入れるようにお出迎えし、もてなす"という考え方。

    必要なら声を掛ける。
    一人で見たいなら、そっとしておく。
    相手の様子を見ながら、距離を変える。

    決して声を掛けないという事ではない。
    声を掛けることが接客なのではない。

    相手が今、何を求めているのか。

    どのくらいの距離なら心地よいのか。
    それを空気感や目線から感じ取る。
    そのうえで、必要なタイミングに一歩だけ近づく。

    それが、僕にとっての接客だった。

    ブランドが変わっても、職種が変わっても、この考え方だけは変わらない。

    接客とは、声をかけることではない。

    相手が心地よくいられる空気をつくること。

    今でも、僕はそう思っている。

     
     
    「似合う」を育てる記録。 服だけじゃない。 身体も。 暮らしも。 人との関わり方も。 接客で学び、 日々の暮らしで気づき、 40歳から始めた「MOVE.50」とともに、 50歳の自分を育てています。

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