メインコンテンツへスキップ
見出し画像

僕の一日は、人を見ることから始まっていた

    朝起きて、洗面所で顔を洗う。

    朝食は必ず食べるようにしていた。
    白米と味噌汁に、副菜はその日によって変わる。

    朝ごはんを食べないと、その日の活力が生まれない気がする。

    歯を磨きながら、その日の予定を整理する。
    何をするのか、何から始めるのか。
    頭の中で一日の組み立てをしてから、家を出る。

    横浜に住んでいた頃は、電車通勤だった。
    片道1時間ほど。

    その時間を、ただ会社へ向かうためだけに過ごしていたわけではない。

    季節の変わり目には、電車に乗っている人の服装を観察していた。

    足元。
    バッグ。
    アクセサリー。

    年齢や性別に関係なく、
    「この人は、普段どんな生活をしているんだろう」
    と想像しながら、その人なりのトレンドの取り入れ方を見る。

    「おしゃれだな」で終わることもあれば、
    「こういう合わせ方もあるんだ」
    と、自分の中に残ることもあった。

    今思えば、この時間も販売員としての仕事の一部だったのかもしれない。

    会社に着くと、店舗のオープン準備を始める。

    レジを開ける。
    店内を掃除する。
    ディスプレイを整える。

    そして、オープン。

    店舗の前を歩く人もいれば、店内に足を運んでくださる人もいる。

    お客様と会話をしながら、何を探しているのか、どんな言葉なら伝わるのかを考える。

    一人ひとり違う人と向き合う。

    休憩時間には、街へ出ることも多かった。
    休んでいるはずなのに、また人を見る。

    街を歩く人の服装。
    音楽。
    カルチャー。

    その人が何に興味を持ち、どんな毎日を過ごしているのかを想像する。
    いろんな人と接点を持ち、話をする。
    そんなことが、僕は好きだった。
    今振り返ると、接客業が自分に向いていた理由は、ここにあったのだと思う。

    「服が好きだったから」だけではない。

    人を見ること。
    人の話を聞くこと。
    その人のことを考えること。

    それが好きだった。

    仕事が終わると、帰りの電車でその日の接客を振り返る。

    あの言葉は良かった。
    もう少し違う伝え方があったかもしれない。

    うまくいったことも、うまくいかなかったことも思い出しながら、明日以降の接客につなげていく。

    そう考えると、僕にとって仕事は、店にいる時間だけではなかった。

    家を出て、電車の中で人を見る。
    店で人と話す。
    帰りの電車で、その日のやり取りを振り返る。

    一日の中に、ずっと「人」がいた。

    今は福島で暮らしているから、車通勤になった。
    あの頃のような、ぎゅうぎゅうの電車に乗ることもない。
    でも、振り返ってみると、あの片道1時間は、ただ会社へ向かうための時間ではなかった。

    人を見て、考えて、店に立つ。

    あの時間も含めて、僕にとっては販売員だった頃の仕事の一部だったのだと思う。
    そして今思う。

    僕の一日は、人を見ることから始まっていた。

     
     
    「似合う」を育てる記録。 服だけじゃない。 身体も。 暮らしも。 人との関わり方も。 接客で学び、 日々の暮らしで気づき、 40歳から始めた「MOVE.50」とともに、 50歳の自分を育てています。

    あなたへのおすすめ