
「着てみてもいいんじゃない?」
服を買いに行くとき、誰と行くだろう。
一人のときもあれば、友人、家族と行くこともある。
今回は、ある家族を想像してみる。
旦那様が服を探している。
隣には奥様と、二人の娘さん。
奥様は普段から、ご主人が着る色やシルエットをよく知っている。
娘さんたちも、お父さんといえば「いつもの服」というイメージがある。
そんな中で、旦那様が普段なら選ばない色のシャツを手に取った。
すると、
「それ似合わないんじゃない?」
「いつもの色のほうがいいよ」
そんな声が聞こえてくる。
もちろん、悪気はない。
いつものお父さんを知っているからこそ出てくる言葉だと思う。
でも、そのシャツを手に取った理由は、本人にしか分からない。
何か新しい色に挑戦してみたかったのかもしれない。
少しだけ、自分の新しい扉を開いてみたかったのかもしれない。
ファッションは、人に決めてもらうものではないと僕は思っている。
いつもの旦那さん。
いつものお父さん。
見慣れた服は、安心できる。
だからこそ、
「着てみてもいいんじゃない?」
その一言があるだけで、4人の空気は少し変わる。
試着してみる。
それだけでも、一歩前に進んでいると思う。
似合うかどうかは、着てみなければ分からない。
もしかしたら、似合わないかもしれない。
でも、着てみたことで初めて気づけることがある。
「意外と、これもいいかもしれない」
そんな発見が、自分の「似合う」の幅を広げていく。
服を選ぶことは、今の自分を確認することだけじゃない。
まだ知らない自分に、出会うことでもある。
だから僕は、
「それ、着てみてもいいんじゃない?」
という言葉が好きだ。
ファッションの楽しさって、そんな小さな一歩の中にもあると思う。