
第5章_4-7 アクセルの外側で
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【第5章】
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ブログは、相変わらず閉じずに残していた。
ただ、内容は大きく変わっていった。
「走り屋引退」を書いたあとは、峠の話やタイムの話はほとんど出てこない。
代わりに、「通勤のためにプレリュードをいじった話」や、「仕事でこういうことがあった」という日常の話が増えた。
「走りなしの生活」を書くことに、最初は抵抗があった。
車ブログでそんなことを書いて、誰が読んでくれるのかと思っていた。
それでも、時々ポツポツとコメントがついた。
「同じように引退しました」「自分も今は足車だけです」といった、どこか共犯めいた言葉が並ぶ。
「またいつか一緒に走れるといいですね」というメッセージも相変わらず来た。
それには曖昧なスタンプや、「今は様子見ですね」くらいの返事をすることが多かった。
でも一方で、「走り屋をやめたあとどうしてるんですか?」と、純粋な興味から聞いてくる人もいた。
あるとき、自分の過去の走り記事を読んだという人から、こんなコメントが来た。
「この記事読んで、そろそろ自分も引退したほうがいいかもって思いました」
それは、「かっこいい」とか「速いですね」といったコメントとは、まったく違う重さを持っていた。
——書いたものが、誰かのブレーキになることもあるんだ。
その感覚は、峠で誰かを追い抜いたときの高揚感とは別の種類のものだった。
文章を書くことが、単なる自己満足以上の意味を持つかもしれない——そんな予感が、うっすらと胸の奥に残った。