
『真夜中の黒い影』 未確認飛行パンプキン|毎日ショートショートnote
その日ソフィーは仕事で帰りが遅くなった。
他人のミスを押し付けられ言い返せなかったのだ。暗い石畳をひとり歩く。
ソフィーは街灯に照らされた自分の影が奇妙な形をしていることに気づく。
人の形ではない。輪郭が見えない巨大な影。
ゾクリとし、踵の高い靴を投げ捨て路地に飛び込む。
無我夢中で角を何度か曲がると気配が消えた。
ソフィーは身を屈め、口を塞いで激しい呼吸を必死に堪える。
「ここにいたのか」
ヒッと声を上げ振り返ると歪な黒い煙が蠢き顔が浮かび上がる。
手が生え、爪が伸びソフィーを斬り裂いた。
痛みが走り太ももには血が滲む。
死を覚悟した時、空からオレンジの光が黒いマントをなびかせて舞い降りてくるのが見えた。
ウィッチハットを被ったオレンジの光は懐から細い剣を取り出し舞うように黒い煙を斬りつける。
煙は叫び声を上げ、消えた。
オレンジの光はソフィーを少しだけ見て空高く飛び上がる。
その光はカボチャをくり抜いた隙間から漏れ出す蝋燭の光だった。

(410文字)
こちらのお題に参加させていただきました🙇