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僕が燃やした遺曞【2026創䜜倧賞応募䜜品】

    あらすじ必芁ではありたせんがなんずなく
    名前も、どこに䜏んでるのかも、趣味も、コヌヒヌか玅茶掟かなんお。䜕も知らない僕ず圌女。深い埌悔から始たるこの゚ッセむでは、䞻人公の抜象的でそれでいお生々しい思いが綎られおいたす。季節の色や音ずずもに人生の儚さず矎しさを衚珟しようず䞻人公は語りたす。ドロドロずした感情の䞭に、どこか少幎のようなあどけなくお、぀かみどころがなくお、いたいち理解できない郚分があるかもしれたせんが、もし自分が”僕”だったずしたら、貎方にずっおの”圌女”は誰ですか守りたい、閉じ蟌めお傍に眮きたい、解攟しおあげたい、自由に生きおほしい,,,そんな愛ゆえの矛盟にどうぞ貎方も苊しめられおください。



    僕はなんお最䜎な人間なのだろうか。

     人間倱栌ずか、そういった話ではないず思う。
    蜜を頭から被った矜のように、
    肺から飛び立った二酞化炭玠の矀れの䞭で窒玠ずぶ぀かっお倒れこむように、自らの手で自らの人間ずいうステヌタスを排陀する。
    䜓の䞭の欠陥を巡っおわざわざ脳内の思い出や感情にたで逐䞀別れを告げる。瞳から溢れ出た䞍玔物。 
    なんなんだよ。出おいくんじゃなかったのかよ。「なんで自分だけ」なんお䞻人公モヌドに突入する。
    尟鰭が無いわけでもないのに
    矀れに速床を合わせなくなった魚は、今の自分に䜕ができるかを懞呜に考えた。眪深い、暗い、黒い他人の涙のあず味をずっず芚えおいようず思った。
     
    それしかできないず。
    するべきではないず。
     

    僕は圌女の遺曞を燃やした。

     遺曞を手にした僕だが、未だに圌女の名前も知らない。
    聞かなかった、吊、聞けなかったに等しい。
    圌女の終わっおいく、朜ちおいく、鱗のような、风玉のような瞳が。
    恐ろしかった。怖かった。
     幌いころから母は僕をガラス補品に觊れさせなかった。父の圢芋のノェネツィアで買ったグラスを割ったから。殺人珟堎のように血で静たり返った郚屋で、母は涙を抌し殺しお僕を抱きしめた。
    今ならあの時母がどんなに、、、。
    僕が衚珟するには、僕の脳は未熟で無知だ。
     だから怖かった。
    あの時のグラスよりも黒く透明な圌女の目から溢れるのが、零れるのが。
    掬いきれない金魚たち。
    青い自由の䞭で消えおゆく。
    守りたかった。
    圌女が出たがっおも。
    青くおきれいな氎の䞭で、死んで欲しかった。奜きだった。
    黒く濁った僕の海で、死んで欲しかった。それくらい。

     倏だった。
    倧抵映画のヒロむンは涌しげな颚ず共に登堎したり、颚鈎の音が鳎っおスロヌモヌションになったりしおいるが、圌女は真逆だった。
    吐いた息は䞊昇気流に攫われお雲ず口づけをする。
    小麊色の垜子が汗を飲み蟌んで幟分か重くなる。
    あの時肌で感じた熱を、汗を、忘れられない。奜きだ。
    雪の䞭をかき分けお来たような倏だった。
    草原を歩く雷のような。眩しくお、痛かった。奜きだったんだ。

     なんおこずない、くだらない遺曞だった。ほが僕に宛おた手玙だった。
    だから燃やしお、䞖界ず圌女を遮断した。
    矎しい貎方に僕の心臓をあげるから、どうか僕の䞭で死んで䞋さい。
    深くおぬるい浅瀬で貝殻ず䞀緒に眠っお䞋さい。
    そう思うくらいには奜きだった。
     
     冬だった。吞い蟌んだ倧気が肺を刺しお、絡み぀いたマフラヌが芖界を遮っおいた。換毛期のない僕たちには、冬なんお䞊手くいかないこずだらけだ。寒いし。シャツのボタン䞀぀䞊手く止められない僕には雪の䞊で跳ね回る君が矚たしかった。奜きだったし、埮笑たしかったし、憎らしかった。
     
     掗濯物をかき分けお登堎する初恋のような春だった。柔軟剀が連れおくる暖かい朚の葉。ちょうどいいくらいの二酞化炭玠。パステルカラヌの䞖界。僕の靎䞋の先の先で笑うちょっずした春。そんな君が奜きだったんだ。
     
     そう思うず、なんお無茶をした䞀幎だった。
    末期の舌癌患者を青癜い城から攫っお、いろんな季節を巡った。
    手銖に抱き着いたシヌルが思ったよりも頑固で盗れなかった。歪んだバヌコヌドの列が君が前より随分やせたっお、教えおくれる。ここには䜓重蚈なんおないしさ。
    痩せおも、話せなくなっおも、手を぀なぐ力が入らなくおも、骚になっおも、倧奜きだ。「きれいね」っお笑う涙が、「すごいね」っお驚く足が、もうこんなにも僕を䟵食する。もしかしたら君の病気よりも進行が速いかも。
    「もういいよ」っお蚀っおあげられるくらいには、奜きだった。
    「もう少し先で埅っおお」っお蚀えるぐらいには、狂っおいた。
     
    灰になっおも
    骚になっおも
    癌でボロボロになっおも
    話せなくおも
    歩けなくおも
    たずえ君が歪んだ性栌でも
    僕のこずが奜きじゃなくおも
    顔が敎ったほうじゃなくおも
    もう䜕が䜕でも
     
    倧奜きだ。
     
     
     
     
    秋だった。
    䞀人になった。
     
    焌き芋の傍で灰になった遺曞。
     
    あぁ、読むんだったなぁ。
     
    感謝の蚀葉でも綎っおくれただろうか
    私も奜きだっお、曞いおくれただろうか
    今曎聞けない名前が曞いおあっただろうか
     
    もういない。
    もう逢えない。
    もう聎けない。
     

    おやすみ。僕の埌悔。

    #創䜜倧賞2026 #゚ッセむ郚門

     
     
    こんばんは。詩を曞く猫の飌い䞻です。 本の玹介よりもたず、数倚くの本や詩集の䞭から私の詩を遞んでくださり、手に取っお䞋さった読者の方々に感謝の気持ちでいっぱいだずお䌝えしたいです。 う぀病ず闘いながら、物曞きを目指したす。 趣味のネむルも投皿しおいこうず思いたす❀

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