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君が思い出になる前に。

    ペットボトルのラベルを剥がした瞬間、急に正体不明の液体に見えることでおなじみのラッタです。

    けっこうセンシティブというか、

    今回はちょっと重たい話になってしまう気がします。

    重たい話を聞きたくないよって場合は、今回の記事は閉じていただいてもいいかなと思います。


    えー、あれです。

    スピッツが好きなんです。

    バンドの。

    音楽性もボーカルの声も演奏も。そして歌詞も。小学生のころから、ずーっと好きです。

    父親が好きだったんですよね。車に乗ると必ずスピッツのカセットがかかっていたので、その影響もあるんだと思います。


    スピッツの音楽って爽やかな曲調のものが多いんですけど、

    よくよく歌詞を読んでみると、奇妙だったり、暗かったり、怖かったり、あるいは官能小説のようなエロティシズムを感じることもあります。

    そして、すべての作詞を担当している草野マサムネさんは、スピッツの歌詞について「死と性がテーマ」と公言されているのは有名な話。


    で、この記事のタイトルにもした『君が思い出になる前に』という曲。

    僕はこの曲を聴くと、亡くなった親しい人のことを思い出します。父のことや、友達、かつての恋人のこと。

    思い出すというか、そういう「誰かを見送る」場面に立ち会うたびに、この曲が脳内再生されることも多い。最近だと祖父母だったり、2匹の猫だったり。


    その初体験は、父親が亡くなって1ヶ月とか経ったころ。中学の卒業式と高校の入学式のあいだくらいのころですね。

    なんとなくスピッツ聴きたいって気分になって、この曲を聴きました。

    まあ先述のとおり車の中でしょっちゅうかかってましたから。

    そのときに涙がぶわっと出てきたのが初かな。『君が思い出になる前に』を、そういう聴き方するようになったの。


    で、この曲の歌詞の解釈っていろいろできると思います。

    恋人どうしの別れの歌としても受け取れますが、

    僕には死別の歌に聴こえます。

    ・明日の朝 僕は船に乗り 離ればなれになる

    ・きっと僕ら導かれるままには歩き続けられない 二度と これからは

    ・かたまりになって坂道をころげてく

    ・追い求めた影も光も消え去り 今はただ君の耳と鼻の形が愛しい

    フレーズとしては、このあたり。

    「二度とこれからは」ってすごい言葉ですよね。恋人どうしの別れであっても、長い人生のなかで「二度とない」と断言することって、なかなかないし。


    極めつけは、

    ・忘れないで 二人重ねた日々は この世に生きた意味を越えていたことを

    ・虹のように 今日は逃げないで

    明日の朝には船に乗っていってしまうから、せめて「”今日”は逃げないで」と。

    これらのフレーズから想起されるのは、病室のベッドの上で、今にも息絶えてしまいそうな人の視点。


    もちろん、あくまで僕の解釈ですし、草野さん自身、「聴いた人が好きなように解釈してね」というスタンスで作詞しているので、実際のところはわからないけどね。

    ただ、この曲の歌詞が「死別」をテーマとしたものであるという解釈は、ファンのあいだではかなり有名で、

    YouTubeに上げられたMV動画のコメント欄を見ても、亡くなった家族と一緒に聴いていたというような、故人をしのぶ言葉が多く書かれています。


    こういう、恋人どうしの別れの歌としても成立するし、死別の歌としても成立するような、

    解釈のレンジが広い文章が僕は好きです。

    繰り返すけど、『君が思い出になる前に』が、実際にどんな場面を想定して書かれた歌詞なのかはわかりません。

    草野さんが病室のような場面を思い浮かべていたのかも、僕にはわからないです。

    ただ、歌詞のなかに具体的な言葉があるからこそ、僕はそこから病室の情景を想像し、自分が見送ってきた人たちのことを思い出しました。これはこれで事実。


    この曲を聴いてあらためて感じたのは、一から十までシチュエーションのすべてを説明しなくても、

    具体的な言葉がいくつかあることで、受け取った人のなかにそれぞれの情景が浮かぶことがあるということです。

    たったひとりに向けて言葉を選びシチュエーションまで絞ったほうが、結果的に多くの人に刺さるってのは、僕自身これまでも再三話しているとおり。


    まあ、スピッツの歌詞って、自分なりに解釈したり、ほかの人の解釈を読んだりする楽しみ方ができます。

    「青い車」や「ロビンソン」あたりも、歌詞を読んでいくと、いろんな解釈ができます。

    僕には無理◯中や後追い自◯の曲って読める。


    とくに「ロビンソン」なんかは、プロモーションビデオまで含めて見ると、まあ・・・露骨です。

    ただ、どうなんだろうなー。

    ここまで露骨に「ロビンソン」の解釈の幅を狭めているからには、実際は別の意図で書かれた歌詞なのかな?あえてミスリードを狙っているのかもしれません。草野さんのことだから。


    ともあれ、

    僕たち情報発信者は文章を扱うわけで、「この言葉はどういう意味なんだろう」と立ち止まって考える時間は、言葉の感度や感性を育てるうえでも大事だと思います。

    ひとつのエクササイズとしてかっこうの教材とも思いますので、スピッツの歌詞、注目して読んでみるのもいいかもです。


    ではー

    Have a Nice Day&Night!



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